定義
二つの出来事が相棒のようにそろって増えたり減ったりする関係を相関関係といい、一方が本当の原因になって、もう一方の結果を生み出す関係を因果関係といいます。世の中の多くの現象は、一緒に起きているように見えても、片方がもう片方の原因になっているとは限りません。
一緒に動いても、原因とは限りません
夏の海水浴場では、アイスの売上がぐっと伸びるとき、水の事故で溺れる件数も並んで増えます。二つの数字をグラフにしてみると、そろって上がり下がりする様子がはっきり見えます。
では、アイスを食べることが人を水に落としたのでしょうか。もちろん違います。二つの出来事の裏には、うだるような夏の暑さという本当の共通の原因が隠れています。気温が上がってアイスに手が伸びる人が増え、同時に水遊びに出かける人も増えて、事故も増えたのです。
このように二つの現象が時期や方向をそろえて動くことを、相関関係と呼びます。いっぽう、ある出来事が引き金になって別の出来事を実際に起こす関係を、因果関係といいます。この二つを混同すると、「溺れる事故を防ぐためにアイスの販売を禁止しよう」という、的外れな対策を出すことになってしまいます。
隠れている第三の要因
毎朝、田舎の村で雄鶏が大きな声で鳴くと、しばらくして必ず日が昇ります。毎日何百回も繰り返し観察されるこの二つの現象は、見た目には完璧な相棒のようです。
けれども、雄鶏の鳴き声が大きな太陽を空に引き上げているわけではありません。二つの出来事の裏には、地球の自転という大きな自然の法則があります。このように、二つの出来事のあいだにこっそり隠れていて、両方に影響を与える要因を交絡因子(結果をゆがめる隠れた要因)と呼びます。
日常生活やニュースでも、こうした間違いはよく起こります。コーヒーをたくさん飲む人は長生きするという統計が出たとき、コーヒーそのものが寿命を延ばしたのか、それともコーヒーを楽しめるだけの経済的・時間的なゆとりのある生活習慣のおかげなのか、慎重に見きわめる必要があります。
もう少し正確にいうと:因果関係を確かめる方法
相関関係は、コンピューターで大量のデータを集めて、二つの値が一緒に変わるかどうかを計算するだけで、比較的かんたんに見つけられます。けれども、本当の原因と結果を明らかにするのは、ずっと難しく、徹底した検証が必要です。
そのために科学者は、参加者をくじ引きで二つのグループに分け、ほかの条件が両方に均等にばらけるようにしたうえで、原因の候補をひとつだけ変えて比べるランダム化比較試験を行います。片方のグループには本物の新薬を、もう片方には見た目だけ同じ偽の薬を渡して、結果の違いが薬の成分だけで生まれているかを調べるといった具合です。
時間の順序もとても大切です。原因は必ず結果より先に起きていなければなりませんし、原因を取り除いたときに結果が減るかどうかも確かめます。こうした手順を踏むほど、相関関係を超えて因果関係だという結論に、より大きな信頼を置けるようになります。実験が難しい問いについては、いくつもの観察研究の証拠を集めて判断することもあります。
よくある誤解
二つのデータがグラフで同じ形に動くなら、一方がもう一方の原因だ。
単なる偶然の一致かもしれませんし、両方に影響を与える第三の隠れた要因(交絡因子)のせいかもしれません。一緒に動いているからといって、必ず原因と結果になるわけではありません。
日常で出会う場面
小学生は靴のサイズが大きいほど語彙力が高い、という調査があります。でもそれは、靴が大きいからではなく、年齢が上がったからです。
消防士がたくさん出動した火事ほど被害が大きくなりますが、消防士が被害を広げたのではなく、火が大きかったからです。
つまり ひとことで
一緒に起きているからといって原因と結果とは限りません。隠れた共通の原因がないか、しっかり確かめましょう。