定義
パソコンの頭脳であるCPUと、作業机にあたるメインメモリ(RAM)のあいだのデータの通り道を2本にまとめて、一度に送れるデータ量を2倍にする技術です。同じ容量でも、メモリを1枚だけ挿すより2枚に分けて挿したほうが、メモリをたくさん使う作業が速くなることがあります。
1車線の道路と2車線の高速道路の違い
片側1車線の道路では、トラックが何台も一列に並んで順番に通るしかありません。どんなに速いスポーツカーでも、前の車が通り過ぎるまで後ろでじれったく待つことになります。パソコンの中でも、頭脳役のCPUと作業机役のメモリ(RAM)のあいだに、こんなデータの道が通っています。
メモリを1枚だけマザーボードに挿すと、データが行き来する通り道は1本しか開きません。これをシングルチャネルと呼びます。高解像度のゲームや動画編集のような重い作業でデータが集中すると、ボトルネックが起きます。道が狭くて、データが列をつくって渋滞してしまうのです。
ところが、同じ容量でもメモリを2枚に分けて挿すと、驚くことが起こります。1車線の道のとなりに、同じ幅の新しい道がもう1本通るようなものです。両方の道でデータが同時に行き来できるので、データ転送の帯域幅が2倍になり、一気にすっきり流れるようになります。
マザーボードのスロットに隠れたルール
メモリを2枚挿せば、いつでもデュアルチャネルになるわけではありません。パソコンの本体基板(マザーボード)にはメモリを挿す溝(スロット)が通常4つあり、ペアの組み方にはルールがあります。適当に隣どうしへ挿すと、通り道が1本にまとまらないことがあるのです。
多くのメーカーは、ペアになるスロットが見分けられるように、スロットの色を交互に変えたり番号をふったりしています。一般的には、1番と3番、または2番と4番のように、1つ飛ばしで装着すると、2本の独立した通り道がきれいにペアとして動きます。
最近の新しいパーツは、規格が少し違っていても柔軟にデュアルチャネルにしてくれることもあります。それでも、いちばん安定して速い性能を得たいなら、容量・動作速度・メーカーが同じ「双子」のメモリを使うのがもっとも確実です。
もう少し正確にいうと:内蔵グラフィックスでなぜ効果が大きいの?
デュアルチャネルにしても、パソコンの計算速度そのものが魔法のように2倍になるわけではありません。頭脳の処理能力は変わらず、仕事(データ)を頭脳に届ける配達の速度が2倍になって、頭脳がぼんやり待つ時間を減らす、という仕組みです。
特に、専用のグラフィックボードがないノートパソコンやエントリークラスのパソコンでは、デュアルチャネルが大きな力を発揮します。こうしたパソコンの内蔵グラフィックス(CPUの中にある画面処理装置)は専用のメモリを持たず、メインメモリ(RAM)の領域と通り道を借りて使っているからです。
画面に3Dグラフィックスをリアルタイムで描くときは、膨大な量の色のデータが行き来します。ここで通り道が2本のデュアルチャネルにすると、内蔵グラフィックスの体感性能がはっきり向上するという、劇的な変化を味わえます。
よくある誤解
16GBのメモリ1枚を挿すのと、8GBのメモリ2枚を挿すのとでは、性能はまったく同じ。
合計容量はどちらも16GBですが、8GBを2枚挿してデュアルチャネルにすると、データの通り道の幅が2倍になります。ゲームや内蔵グラフィックスのようにメモリをたくさん使う作業ではっきり速くなりますが、文書作成のような軽い作業では差が小さいこともあります。
日常で出会う場面
8GBのメモリ2枚をマザーボードの2番と4番のスロットに装着して、3Dゲームのフレームレートを上げる自作パソコンの構成
専用のグラフィックボードがない超軽量ノートパソコンにデュアルチャネルのメモリを載せて、内蔵グラフィックスのゲームやグラフィックス作業の性能を高める方法
つまり ひとことで
同じ容量のメモリでも2枚に分けて挿し、データの通り道を2倍に広げる、パソコンの高速化技術です。