科学

pH(ピーエイチ)

レモンのツンとする酸っぱさから石けんのぬるぬるまで、液体の中に隠れた「水素の粒の濃さ」をひと目で見せてくれる、信号のような目盛りです。

  • 約3分
  • 図 2点
  • 2026-10-17 検証

定義

pHは、ある液体の中に水素イオン(H+)がどれだけ多く溶けているかを数字で表した尺度です。0から14までの数字を使って、液体が酸性か、中性か、塩基性(アルカリ性)かをひと目で見分けられるようにしてくれます。

レモンと石けんのあいだ、7を境に分かれます

レモン汁を舌にのせるとピリッとするほど酸っぱく、手に石けん水がつくとぬるぬるします。このように、日常で出会う液体は、それぞれまったく違う性質を持っています。化学者たちは、この性質の違う液体を1本のものさしにのせて比べるために、pHの目盛りをつくりました。

この目盛りのちょうど真ん中で、基準になるのが数字の7(中性)です。不純物のないきれいな純水が、ちょうどpH 7にあたります。数字が7より小さくなるほど、ツンとした酸っぱさの酸性が強くなり、7より大きくなるほど、苦みとぬるぬるを持つ塩基性が強くなります。

私たちの胃の中の胃酸はpH 1.5〜3.5、レモン汁はpH 2前後の強い酸性で、ふだん飲む炭酸飲料はpH 2〜3ほどです。反対に、洗濯用洗剤はpH 9〜10、しつこい汚れを溶かす排水口クリーナーはpH 13前後の強い塩基性です。

数字がたった1変わるだけで、10倍も違います

pHの目盛りを見るとき、いちばん気をつけたい点があります。pHの数字が1から2へ、あるいは5から6へと1目盛り動いても、水素イオンの量が1だけ変わるわけではありません。pHは1目盛り違うごとに、濃度がなんと10倍ずつ変わるのです。

たとえば、pH 5のブラックコーヒーに比べて、pH 4のトマトジュースは、酸性のもとになる水素イオンが10倍も多く入っています。pH 3の酢とpH 5のコーヒーを比べるなら、2目盛りの差なので10の2乗、つまり100倍もの差があることになります。

数字の上では1や2のような小さな差に見えても、液体の中の環境は途方もなく違うのです。私たちの体もこの目盛りにとても敏感で、血液はpH 7.35〜7.45というとても狭い範囲をいつも守らなければならず、そこから少しでも外れると体に不調が出ます。

もう少し正確に言うと:なぜ数字が小さいほど強いのでしょう?

私たちが日常で使う数値の多くは、量が増えるほど大きくなります。それなのに、なぜpHは水素イオンが多いほど、数字がかえって小さくなるのでしょう。もう少し正確に言うと、pHの計算式にマイナスの対数(マイナス記号)が入っているからです。

液体の中の水素イオン濃度をモル単位で書くと、ふだんの数字で表すにはあまりに小さな値になります。中性の水1リットルに含まれる水素イオンは0.0000001モルのように、小数点以下にゼロが長く並びます。そのたびにゼロを7個も書いてやりとりするのは、とても面倒でした。

そこで科学者たちは、ゼロの桁数を簡単な整数に置きかえ、マイナスの数をなくすために頭にマイナス(-)をつける数学的なルールを取り入れました。その結果、小数点のあとのゼロが少ないほど、つまり水素イオン濃度が高く濃いほど、pHの数字は逆に1、2のように小さくなったのです。

よくある誤解

誤解

pHは必ず0から14のあいだの数字しか取れない。

事実

ふつうの水溶液を扱う実験室では主に0〜14の範囲で扱いますが、水素イオンが極端に濃い超強酸は0より小さいマイナスの値(-1など)になることもあり、超強塩基は14を超えることもあります。

日常で出会う場面

  1. 弱酸性のクレンジングは、およそpH 4.5〜5.5という肌の表面の弱酸性に合わせてつくられています。

  2. プールや熱帯魚の水槽のpHを定期的に確認して、生き物が暮らしやすい酸性度を保ちます。

つまり ひとことで

pHは水素イオン濃度を表す目盛りで、7(中性)より小さいと酸性、大きいと塩基性になり、1目盛りごとに10倍の差があります。

作成 2024-10-15 更新 2026-10-17 検証 2026-10-17