定義
アルカリ土類金属は、周期表の2番目の縦の列(2族)に属する、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウムのことです。いちばん外側の殻に電子を2個持っているため、電子を手放しやすく、ほかの物質と結びつこうとする性質が強いです。
なぜ「土類金属」という名前がついたのでしょうか?
頑丈な貝殻や大理石の柱、あるいは夜空を彩る花火を見たことはありますか?昔の化学者たちは、土や石のように燃えず、水にも溶けにくい天然の物質を「土(つち)」と呼んでいました。
石灰やマグネシアのように、水に触れると塩基性(アルカリ性)を示すこうした「土」を、「アルカリ土」と呼びました。ところが1808年ごろ、この土が実は金属と酸素が結びついた物質だと分かり、中の金属が取り出されたことで、これらの金属にアルカリ土類金属という名前がつきました。
私たちの体の骨や歯をつくるカルシウム(Ca)と、軽くて丈夫なのでスマートフォンの外装に使われるマグネシウム(Mg)が、この一族の代表選手です。建築材料のセメントや石灰石の主成分としても使われ、人類の文明の土台を築いてきました。
このようにアルカリ土類金属は、地中の岩や土だけでなく、生き物の体の中から最先端の産業の現場まで、とても幅広く入り込んでいます。見た目にはただの土のようにひっそりしていますが、実は私たちの毎日をしっかり支えてくれる、ありがたい元素たちです。
電子を2個手放したがる元気な性格
原子は、いちばん外側の殻に電子を8個ぎっしり詰めて安定した状態になりたがる性質(オクテット則)があります。アルカリ土類金属の原子は、いちばん外側にちょうど2個の価電子を持って生まれてきました。
8個にするには電子を6個もどこかから苦労して連れてこなければなりません。それより、持っている2個を早く他へ渡してしまうほうがずっと簡単で安定します。だからチャンスさえあれば、2個の電子をすっきり手放して、陽イオン(+2)に変身します。
すぐ隣の1族のアルカリ金属よりは反応が少しおだやかですが、それでも空気や水とはとても簡単に反応します。そのため自然界では、純粋な金属のかたまりとして単独では存在できず、いつも酸素や炭酸などと結びついた鉱物の形で、しっかり束縛された状態で見つかります。
こうした性質のため、純粋なマグネシウムやカルシウムの金属を得るには、溶かした化合物に電気を流して分離したり、高温で別の物質に酸素を奪わせたりする、特別な製錬の工程が必要です。電子を手放して他の元素とペアになろうとする力が、それだけ強いからです。
もう少し正確に言うと
周期表で同じ縦の列を下へ下りていくほど、原子の大きさはだんだん大きくなります。原子核といちばん外側の電子との距離が離れるため、核が電子をつかまえておく力が弱まり、電子がずっと飛び出しやすくなります。
そのため、ベリリウム(Be)からラジウム(Ra)へと下へ行くほど化学反応性がはっきりと激しくなります。いちばん上のベリリウムは常温の水とほとんど反応しませんが、カルシウムは冷たい水の中でも水素ガスをぶくぶくと出しながら溶け、バリウムは空気中でもすぐに酸素と反応するので、油の中に入れて保管するほどです。
また、1族のアルカリ金属と比べると、電子を2個も出して結びつくため、原子どうしが集まる金属結合の力がより強くなります。その結果、アルカリ金属よりも融点がずっと高く、より硬くなります。ただし、下のほうのカルシウム・ストロンチウム・バリウムは、それでもナイフで切れるほど軟らかいほうです。
炎に入れるとそれぞれ固有の色を放つ「炎色反応」も、アルカリ土類金属の見逃せない魅力です。カルシウムはオレンジ色、ストロンチウムは濃い赤色、バリウムは黄緑色を帯びて、夜空のお祭りの華やかな花火の色をつくりだす立役者になっています。
よくある誤解
アルカリ土類金属は、アルカリ金属と性質も位置もまったく同じだ。
アルカリ金属は1族の元素(電子1個)で、アルカリ土類金属は2族の元素(電子2個)です。手放す電子の数が1つ多いぶん、アルカリ金属より反応性が少し低く、より硬く、融点も高くなります。
日常で出会う場面
私たちの体の骨や歯を丈夫に支えてくれるカルシウム(Ca)が代表的です。
航空機の部品やカメラのボディのように、軽くて丈夫な合金をつくるときにマグネシウム(Mg)を使います。
華やかなお祭りの花火で、赤い炎を出すときはストロンチウム(Sr)、緑色の炎を出すときはバリウム(Ba)の化合物を入れます。
つまり ひとことで
アルカリ土類金属は、外側の電子2個を手放して+2価の陽イオンになる2族の元素で、骨や合金から花火まで幅広く使われています。