定義
固定ビットレート(CBR、Constant Bitrate)は、動画や音楽などのデジタルデータを処理するとき、時間に関係なく毎秒一定のデータ量を保ったまま圧縮・伝送する方式です。画面の複雑さや音の大きさに関係なく、1秒あたりのデータ量がほぼ均一に保たれます。
蛇口をいつも同じ開き具合にしておく方式
毎秒1リットルの水が出る蛇口があると想像してみてください。小さなコップを洗うときも、大きな鍋を洗うときも、同じ量の水を流し続けている状態です。
固定ビットレートは、まさにこの蛇口のように働きます。ビットレート(Bitrate)とは、1秒間にやり取りするデータの大きさのことです。固定ビットレートでは、動きのまったくない静かな場面でも、何千発もの花火が上がる派手なアクション場面でも、毎秒まったく同じ量のデータを送ります。
こうすると、通信回線の管理がとても楽になります。送る側も受け取る側も「1秒にだいたいこれくらいのデータが来るな」と前もって見通せるからです。急にデータが増えて回線に無理がかかったり、機器が止まってしまったりする突発的なトラブルを防げます。
安定性は抜群ですが、もったいない無駄も出ます
固定ビットレートの一番の長所は、先を読める安定性です。データの大きさが一定なので、動画全体のファイル容量もとても簡単に計算できます。動画の長さに毎秒のデータ量を掛けるだけで、全体の容量がすぐ出るからです。
ただし、はっきりした短所もあります。真っ黒な画面だけが続くような単純な場面でも、必要以上に多くのデータを使ってしまい、容量を無駄にします。水がほとんどいらない小さなコップにまで、蛇口を全開にして注ぎ込むようなものです。
逆に、とても複雑で動きの速い場面ではデータが足りなくなることがあります。決まった上限に無理やり押し込めるため、画面がぼやけたりモザイクのように崩れたりする画質の低下が起こることもあります。
もう少し正確に言うと:ライブ配信を支える縁の下の力持ち
もう少し正確に言うと、固定ビットレートは保存用のファイルよりも、途切れにくさが求められるリアルタイムのストリーミング(ネットのライブ配信)で力を発揮します。ネット配信をしているとき、ネットワークの状態はいつ不安定になってもおかしくないからです。
そんなときにデータの送信量がバラバラだと、通信の遅れが出たり、配信画面がカクカク途切れたりしやすくなります。そのため、YouTube LiveやTwitchなどのプラットフォームへ配信するときは、画質の無駄が多少出てもかまわないので、一定の速度でデータを送り出せる固定ビットレートがよく使われます。
一方、Netflixのようにあらかじめ作ってある映画を保存したり楽しんだりする場合は、場面ごとにデータ量を調整する可変ビットレート(VBR)のほうが有利です。状況に応じて、安定性が最優先なら固定ビットレート、効率のよい容量と画質が大事なら可変ビットレートを選ぶわけです。
よくある誤解
固定ビットレートはデータが固定されているので、動画の画質もいつも一定である。
一定なのはデータの送信量だけで、画質は場面の複雑さによって変わります。単純な場面はきれいですが、複雑で動きの速い場面ではデータ不足で画面が崩れることがあります。
日常で出会う場面
YouTubeなどのネット配信用ソフトで、途切れにくい安定したライブ配信のためにCBRの設定をオンにします。
初期のデジタル音源ファイルで、曲の長さから容量を正確に計算し、均一に再生するために使われていました。
つまり ひとことで
場面の複雑さに関係なく毎秒一定のデータ量を送ることで、途切れにくい安定性を確保する方式です。