定義
協調フィルタリング(Collaborative Filtering)とは、膨大なユーザーの行動履歴や評価データを集めて分析し、好みが似ている人たちが気に入ったアイテムをあなたにお勧めする技術です。コンテンツのあらすじや成分をいちいち分析しなくても、人々の選択パターンの共通点を見つけるだけで精度の高いレコメンドを作り出します。
自分と好みがそっくりな友達を見つける
休日に観る映画を選ぶとき、普段から映画の好みがぴったり合う親友に「最近なんか面白い作品ない?」と聞いた経験は誰にでもあるはずです。
協調フィルタリングは、ネット上の無数のユーザーの中から、あなたと好みが驚くほど似ている「顔の見えない親友」を見つけ出す技術です。たとえば、あなたが最高評価をつけた映画3本に対して、同じように満点をつけている別の人たちをデータ分析で瞬時にグループ化します。
そして、その人たちが楽しんだのに、あなたがまだ観ていない別の映画を探し出して画面に提案してくれます。これをユーザーベース・フィルタリングと呼びます。人と人との好みの類似度を数学的に計算して、あなた専用のレコメンドリストを完成させる仕組みです。
アイテム同士の「相性抜群ペア」を探す
「人」を探す代わりに、よく一緒に選ばれるアイテム同士のペア関係を分析する方法もあります。スーパーで焼肉のお肉をカゴに入れた人の多くが、サンチュや焼肉のタレを一緒に買うのと同じ理屈です。
音楽配信サービスでも、楽曲Aを好む何万人ものユーザーが楽曲Bも一緒にプレイリストに入れている場合、システムは2つの曲に強い関連性があると判断します。歌詞やメロディの特徴を直接知らなくても、みんなの聴き方のパターンだけで関係性を察知するのです。
あなたが楽曲Aを再生すると、システムはこの相性をもとに楽曲Bを次の曲として推薦します。これをアイテムベース・フィルタリングと呼び、ユーザー数が極めて多い大規模なサービスで、高速かつ安定したレコメンドを提供する際によく使われています。
少し踏み込むと:初対面に弱いという弱点
協調フィルタリングは非常に強力ですが、避けて通れない弱点もあります。それは、データがまだ何もない新規ユーザーや、登録されたばかりの新商品には何もおすすめできないという点です。
冷えたエンジンが最初すぐにかからないのと同じように、比較するための過去の記録がない状態では推薦を始められないことから、これをコールドスタート(Cold Start)問題と呼びます。好みが似た友達も、一緒に消費されたセットデータもまだ存在しないために起こる現象です。
そのため、現在のスマートな推薦システムは、作品のジャンルやキーワード自体を分析する技術などを組み合わせて使っています。新しいアプリをインストールしたときに好きなジャンルや関心事をいくつか選ばせるのも、このスタートダッシュの空白を埋めるための巧みな工夫なのです。
よくある誤解
協調フィルタリングは、動画のストーリーや楽曲のジャンルをAIが直接鑑賞・分析しておすすめしている。
協調フィルタリングはコンテンツの中身そのものは見ません。ユーザーのクリック履歴や視聴時間、評価点といった「行動データ」だけを分析してレコメンドします。
日常で出会う場面
Netflixで「マイリスト」に入れた作品と傾向が似ている他のユーザーが高評価をつけた映画が、トップ画面に表示されるケース
オンラインショッピングで商品を見ているときに「この商品を買った人はこんな商品も買っています」というリストが表示されるケース
つまり ひとことで
大勢の行動履歴を集め、好みの似たユーザーや相性の良いアイテムのペアを見つけ出しておすすめを表示するアルゴリズムです。