おすすめフィードのアルゴリズム

お客さんが何を食べてどんな表情をしたかを後ろからそっと観察し、好みにぴったりな次の料理を次々と運び続ける専属ビュッフェシェフのようなものです。

定義 おすすめフィード(レコメンドフィード)とは、SNSや動画アプリでユーザーが好みそうな投稿や動画をコンピュータープログラム(アルゴリズム)が自動で計算し、無限に選んで表示してくれる画面のことです。すべての人に同じ画面を見せるのではなく、一人ひとりの行動履歴を分析してオーダーメイド(パーソナライズ)でコンテンツを並べ替えます。

何気ない「いいね」ひとつも見逃しません

新しいアプリを開くと、画面にたくさんの動画や写真が流れてきます。このリストは偶然決まったものではありません。どの動画を最後まで見たか、どの写真に「いいね」を押したか、さらには画面を何秒間スクロールせずに立ち止まって見ていたかまで、リアルタイムで記録されています。

こうした記録を行動データと呼びます。レコメンド(推薦)システムは、ユーザーが残した無数の足跡を集めて興味・関心をスコア化(点数化)します。猫の動画を3秒でスワイプした人と、1分間じっくり2回繰り返して見た人とでは、次に推薦される画面がまったく違ったものになります。

アプリを使い続けるほど、自分と好みが似ている他のユーザーのデータも掛け合わされます。自分が料理動画をよく見ていたとすれば、同じような料理動画を見ていた他の人たちが気に入ったスイーツ動画まで連鎖的に推薦してくれる仕組みです。

ユーザー行動分析による推薦フィード生成 行動データ収集 嗜好スコア分析 個別フィード配信

もう少し詳しく:2つの推薦技術のタッグ

おすすめフィードが動く仕組みは、大きく2つに分かれます。1つ目は「コンテンツベース・フィルタリング」です。ユーザーが恐竜に関する投稿を読んだ場合、記事のタイトルやタグに含まれる「恐竜」という特徴を見つけ出し、似たような投稿をさらに表示する手法です。

2つ目は「協調フィルタリング」です。コンテンツの中身そのものよりも、人々の行動パターンに注目します。ユーザーAとユーザーBがこれまで「いいね」した映画の好みが90%一致しているなら、Aが面白がった新しい映画を、まだ見ていないBにもおすすめするという原理です。

現在のSNSは、この2つの手法を掛け合わせ、さらにAIのニューラルネットワークまで組み込んで動いています。そのおかげで、検索バーに言葉を直接打ち込まなくても、まるでこちらの心を見透かしたかのように次のコンテンツを途切れなく届けてくれるのです。

便利さの裏に潜む「フィルターバブル」に要注意

アルゴリズムによるおすすめフィードは、好みにぴったりな情報だけを選んでくれるため便利ですが、思わぬ副作用も生み出します。自分が好む種類の考え方や意見ばかりが画面に表示され続けるため、世の中の誰もが自分と同じように考えているという錯覚に陥りやすくなるのです。

自分だけの泡(バブル)の中に閉じ込められ、異なる視点が見えなくなってしまう現象をフィルターバブル(Filter Bubble)と呼びます。アルゴリズムには、利用者を少しでも画面に長く留まらせるような刺激的なコンテンツを優先しておすすめする傾向があるため、対立や偏見がさらに深まってしまうこともあります。

結局のところ、アルゴリズムが用意してくれた情報をごちそうのように受け身で食べ続けるだけでなく、ときには普段見ないテーマを検索してみたり、興味のないチャンネルを覗いてみたりして視野を広げる能動的なメディア習慣が大切です。

フィルターバブルと能動的探索による多様な視点の比較 情報バブル 偏った視点(偏向情報) 能動的なメディア習慣 広い視野(多様な情報)

🤔 よくある誤解

✕ 誤解

アルゴリズムはスマホのマイクでこちらの声を盗み聞きして、好みの動画を表示している。

✓ 事実

声を盗聴しなくても、画面をスクロールする速度、立ち止まった滞在時間、自分と行動パターンが似ている他のユーザーのデータなどを分析するだけで、好みを鳥肌が立つほど正確に予測できてしまうのです。

🧺 日常で出会う場面

1 動画アプリを開いたとき、何も検索していないのに普段よく見ているサッカーのハイライトがトップ画面にすぐ表示されるケースです。
2 ネット通販でキャンプ用の椅子を眺めたあと、SNSのフィードを開くとテントやキャンプ用ランタンのレビュー投稿がずらりと並んで表示されるような状況です。
💡 つまり ひとことで

自分が残した何気ない行動の足跡を分析し、好みそうなコンテンツを絶え間なく選び出して届けてくれるオーダーメイド型の推薦システムです。