ダークエネルギー
空高く投げたボールが落ちてくるどころか、空の彼方へますます猛スピードで飛び去っていくような、目に見えない押し広げる力です。
定義 ダークエネルギーとは、宇宙全体に満ちており、宇宙がますます加速して膨張するように押し広げている正体不明のエネルギーです。私たちが知っている星や惑星、ガスなどをすべて合わせたものより遥かに多く、全宇宙の約68%を占めています。
投げたボールが加速していく不思議な宇宙
ボールを空高く投げ上げるとどうなるでしょうか? 地球の重力によってボールのスピードはだんだん落ち、最後には地面に落ちてきますよね。天文学者たちも、宇宙はこれと同じ仕組みだろうと考えていました。138億年前にビッグバンという大爆発で宇宙が始まって以来、天体同士が引き合う重力によって、宇宙が広がるスピードも次第にブレーキがかかって遅くなるはずだと予想していたのです。
ところが1998年、遠くの超新星を観測していた科学者たちは信じられない事実を目の当たりにしました。宇宙の膨張スピードは遅くなるどころか、むしろますます加速して広がっていたのです。空へ投げたボールが失速するどころか、ロケットエンジンに点火したかのように上空へ向かって加速しながら飛んでいくようなものでした。
重力という巨大なブレーキに打ち勝ち、宇宙全体を外側へと押し広げる未知の巨大な力が存在していることになります。科学者たちは一体何が原因なのか分からなかったため、正体不明の「見えない暗闇」という意味を込めてダークエネルギー(暗黒エネルギー)と名付けました。
ダークマター(暗黒物質)とは正反対の働き
名前が似ているため、ダークマター(暗黒物質)とダークエネルギーを同じものだと混同しがちです。どちらも目に見えないという共通点はありますが、その役割はまったくの正反対です。ダークマターは質量(重さ)を持っており、天体同士を引き寄せてバラバラにならないようにつなぎ止める「宇宙の接着剤」の役割を果たします。
一方、ダークエネルギーは空間そのものを押し広げ、銀河同士を遠ざける宇宙の斥力(押し離す力)として働きます。例えるなら、ダークマターが「宇宙のブレーキ」なら、ダークエネルギーは「宇宙のアクセル」なのです。
現在の宇宙では、このアクセルがブレーキの効き目を完全に圧倒しています。その結果、遠くの銀河同士の距離は、今この瞬間も光より速いスピードで離れ続けています。
もう少し正確に言うと:何もない空間自体のエネルギー
もう少し正確に言うと、ダークエネルギーは何らかの特定の物体や粒子というより、空間そのものに備わっているエネルギーである可能性が最も高いと考えられています。物理学ではこれを「宇宙定数」や「真空エネルギー」と呼びます。通常の物質は宇宙が広がるにつれて薄まっていきますが、ダークエネルギーは空間が広がるほど、その増えた体積に比例して総量が増え続けるという不思議な性質を持っています。
これこそが、時間が経つにつれてダークエネルギーが宇宙を支配するようになった理由です。宇宙の初期には物質が密集していて重力が勝っていましたが、宇宙が広がるにつれて物質の密度は薄まり、一定の密度を保ち続けるダークエネルギーの力が優勢になったのです。
科学者たちは現在、最新の宇宙望遠鏡などを使ってダークエネルギーの正体を解き明かそうとしています。ダークエネルギーの性質次第で、宇宙が最終的にバラバラに引き裂かれるのか(ビッグリップ)、それとも冷え切って永遠の静寂に包まれるのか(ビッグフリーズ)、宇宙の最終的な運命が決まるのです。
🤔 よくある誤解
ダークエネルギーとダークマターは同じものである。
まったくの別物です。ダークマターは重力で物質を引き寄せる働きをし、ダークエネルギーは空間を押し広げて宇宙を加速膨張させる働きをします。
ブラックホールのような暗い天体から放出されるエネルギーである。
特定の天体から出ているのではなく、何もない宇宙空間そのものに均一に満ちている未知のエネルギーです。
🧺 日常で出会う場面
ダークエネルギーとは、重力に打ち勝ち、宇宙全体をますます加速させて押し広げている正体不明の未知のエネルギーです。