定義
ダークウェブとは、GoogleやYahoo!のような一般の検索エンジンでは見つけられず、専用の特殊なブラウザをインストールしないとアクセスできない、暗号化されたインターネット空間です。通常のウェブと違い、アクセスする人とサーバーの身元を隠すように設計されています。
氷山でわかるウェブの3つの層
私たちが毎日使っているインターネットは、大きな海に浮かぶ氷山にたとえられます。水の上に出ていて誰でも簡単に見られる氷山の頂上がサーフェスウェブ(表層ウェブ)です。GoogleやYahoo!の検索窓に言葉を入れるとすぐ出てくる一般のホームページやニュース記事が、ここにあたります。
でも、海の中には水の上よりずっと大きな氷のかたまりが隠れています。検索には出てこないけれど、パスワードを入れて入る自分のメールボックスや銀行の取引履歴、非公開のクラウドといった場所をまとめてディープウェブと呼びます。インターネット上のデータの大部分は、実はこのディープウェブに属しています。
ダークウェブは、この巨大なディープウェブの中でもいちばん深い底に隠された特別なエリアです。ただリンクをクリックすれば入れるわけではなく、居場所や痕跡を徹底的に隠してくれる特殊なソフトウェアを使わないと足を踏み入れられません。
どうやって身元を隠すの?
ふつうのインターネットは、手紙にたとえると、差出人の住所(IPアドレス)と宛先の住所が封筒にそのまま書かれているようなものです。通信会社やサーバーの管理者がその気になれば、私がいつ、どこから、どのサイトにアクセスしたのか、経路を簡単にたどれます。
いっぽうダークウェブは、玉ねぎの皮のように何重にも暗号化された通り道を使います。送ったデータは、世界中に散らばった何台もの中継コンピューターを通っていきますが、それぞれのコンピューターが知っているのは、すぐ前と後ろのコンピューターのアドレスだけ。最初の出発地も最終的な目的地もわかりません。
封筒の中にまた封筒を入れ、配達員がそれぞれ自分の分の外側の封筒だけを開けて次の配達員に渡していくやり方と同じです。そのため、サーバーの運営者もアクセスしている人が誰かわからず、アクセスする人もサーバーの本当の場所がわからない、とても高い匿名性が生まれます。ただし、利用者のミスやセキュリティの穴から捜査機関に身元がわかり、運営者が逮捕された例もいくつもあります。
もう少し正確に言うと
「ダークウェブ」という名前から、最初から悪い犯罪のためにつくられた場所だと思いがちです。けれども、この技術はもともと1990年代にアメリカ海軍研究所で、情報機関の通信を守るために開発されました。その後、独裁国家で言論の自由と身の安全を守るために広く使われるようになりました。監視を逃れて真実を伝える内部告発者やジャーナリストにとっては、命綱のような場所です。
しかし、追跡がほぼ不可能なことが悪用され、麻薬取引、違法な個人情報の流通、悪質なソフトウェアの販売など、さまざまな違法行為が行われる闇の市場が生まれました。匿名性が犯罪者の逃げ場に変質してしまったわけです。
また、ダークウェブへのアクセス自体は違法ではない場合が多いものの、対策なしで好奇心からアクセスすると、パソコンがウイルスに感染したり、詐欺にあったりしやすくなります。守ってくれるものがない分、罠も多い危険な空間だということを覚えておきましょう。
よくある誤解
ディープウェブとダークウェブは同じ意味で、どちらも違法なサイトの集まりである。
ディープウェブとは、検索にひっかからないすべてのウェブページ(メールボックス、社内イントラネット、銀行口座の照会など)を指す、日常的で合法的な領域です。ダークウェブは、ディープウェブの中でも特殊な暗号化ブラウザでしかアクセスできない、ごく一部の特別な空間です。
日常で出会う場面
言論弾圧のひどい独裁国家のジャーナリストが、政府の監視を逃れて実態を外部に伝えるときに使われます。
匿名性をねらって、違法なハッキングツールの取引や流出した個人情報の売買が行われる、闇市場として悪用されることもあります。
つまり ひとことで
ダークウェブとは、特殊なプログラムで通信経路を何重にも暗号化し、アクセスする人とサーバーの場所を隠す、秘密のインターネット空間です。