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H.264

ページごとに背景を描き直さず、動く人物だけを描き足していくパラパラ漫画の技法とそっくりです。

  • 約3分
  • 図 1点
  • 2026-10-16 検証

定義

H.264は、高画質な映像の品質をできるだけ保ったまま、ファイルサイズを数十分の一に減らしてくれる動画圧縮技術(ビデオコーデック)です。YouTubeなどのストリーミングから放送、スマホでの録画まで、デジタル映像のほとんどの場面で標準のように使われています。

なぜ動画をそのまま送れないの?

スマホで見ている高画質な動画は、実は1秒あたり30枚や60枚の写真をつなげたものです。写真1枚のサイズもかなり大きいのに、それが毎秒何十枚も流れてくるわけです。

この写真を圧縮せずにそのまま送ると、1分の動画があっという間に数ギガバイト(GB)にもなってしまいます。データ通信料が跳ね上がるだけでなく、通信網そのものが耐えられず、映像が止まってしまいます。

だから、画質の劣化をできるだけ抑えながらファイルサイズだけを賢く減らす技術が欠かせません。H.264は、人間の目が気づきにくい細かな色の情報を削り、重複したデータをまとめることで、元のサイズの数十分の一まで容量を圧縮してくれます。

どうやって画質を守りながら容量を減らすの?

H.264が容量を大きく減らすカギは、「変わらない部分は二度送らない」という考え方です。ニュース番組を思い浮かべてください。スタジオの背景はじっと動かず、キャスターの口と手だけが動きますよね。

H.264は、一定の間隔ごとに基準となる場面(キーフレーム)の画面全体をそのまま保存します。その間の場面では、前の場面から変わった動きの情報だけを選んで記録します。手が少し右に動いたなら、手の画像をまるごと送り直すのではなく、「手の領域が右に5ピクセル移動した」という簡単な座標の信号(動きベクトル)だけを送るのです。基準となる場面が数秒ごとに入り直すおかげで、再生バーを動画の途中までドラッグしても、最初から計算し直さずにすぐ再生を始められます。

さらに、青空や単色の壁のように似た色が広く続く部分も、1ピクセルずつ保存せず、まとめて単純化します。画面の中の重複と時間の重複を同時に取り除く、賢い戦略です。

もう少し正確にいうと

もう少し正確にいうと、H.264は2003年に完成した技術で、技術的にはH.265(HEVC)やAV1のような、はるかに優れた次世代の圧縮技術がすでに登場しています。これら最新の技術は、H.264よりさらに容量を半分近く減らせます。

それでも、H.264は今でもいちばん広く使われている動画コーデックのひとつです。YouTubeやNetflixのような大きなサービスは、視聴回数の多い動画にAV1などの最新コーデックを併用していますが、さまざまな機器で幅広く再生する必要があるときは、H.264も一緒に用意しておくことが多いのです。最大の理由は、圧倒的な機器との互換性と、処理の軽さにあります。

発売から年月がたった古いスマホ、安価なスマートテレビ、車載のドライブレコーダーなど、ほとんどの電子機器の半導体チップの中に、H.264を専門に処理するハードウェアエンジンが標準で入っているからです。最新技術がどれだけ優れていても、世の中のあらゆる機器でとぎれずに再生できるという普遍性には、なかなか勝てません。

よくある誤解

誤解

H.264とMP4はまったく同じ意味の言葉だ。

事実

MP4は映像と音声をいっしょに入れる「梱包用の箱(コンテナ)」で、H.264は箱の中の映像データを圧縮する「中身の技術(コーデック)」です。MP4という箱の中に、H.264で圧縮された映像が入っている関係です。

日常で出会う場面

  1. メッセンジャーやWebサイトで受け取った動画が、古い機器でもすぐ再生できるとき、H.264で圧縮された動画であることが多いです。

  2. ドライブレコーダーがメモリーカードをすぐいっぱいにせず、長時間くっきりと録画できるのも、この技術のおかげです。

つまり ひとことで

H.264は、映像の重複した部分と動きの変化だけを選んで記録することで、ほとんどの機器で軽く、くっきりと再生できるようにした標準的なビデオ圧縮技術です。

作成 2025-10-13 更新 2026-10-16 検証 2026-10-16