科学

親水性と疎水性

磁石のN極とS極が引き合うように水とぴったりくっつく性質と、油のように水をはじいて逃げていく性質、この二つはいつもペアで語られる仲間です。

  • 約3分
  • 図 2点
  • 2026-10-13 検証

定義

親水性とは水の分子となじみやすく、仲良くくっつく性質のことで、疎水性とは水をはじいて混ざろうとしない性質のことです。物質をつくる分子が電気を帯びる偏り(極性)によって、水と仲良くなれるか離れてしまうかが決まります。

水と仲良しの物質、水を避ける物質

雨の日に防水ジャケットを着ると、雨粒はしみ込まず、丸い粒になってころころと転がり落ちていきます。反対に、綿のTシャツで雨に濡れると、生地があっという間に水をたっぷり吸い込んで、じっとり濡れてしまいますよね。

綿の繊維は水とよくくっつく性質を持っているので、触れた水滴を広げながら内側へ引き込みます。一方、防水ジャケットの表面は水を嫌う疎水性の表面に加工されているため、水滴は広がれず、丸くまとまってはじかれていきます。

身の回りの物質は、水とどう反応するかによって大きく二つのグループに分かれます。窓ガラスの上で水が薄く広がる現象も、砂糖が水にすーっと溶けていくのも、ハスの葉の上で水滴が玉のように転がるのも、すべて親水性と疎水性が生み出す不思議な現象です。

両端で電気が違う、極性の秘密

水の分子は酸素原子1個と水素原子2個が結びついた構造で、酸素側はマイナス(-)の電気を、水素側はプラス(+)の電気を帯びています。両端が反対の電気を帯びている点では棒磁石に似ていますが、この力は磁力ではなく、+と-の電気が引き合う力です。このように分子の中で電気が片側に偏っている状態を分子の極性と呼びます。

+と-が引き合うように、極性を持つほかの分子やイオン(電気を帯びた原子)は、水の分子と強く引き合います。水と手をつなぐ親水性の物質は、水分子と水素結合(水素が仲立ちになる強い引力)をつくったり、電気的な引力で水に取り囲まれたりして、自然に混ざり合います。

一方、ごま油やサラダ油のような油は、電気が均等に広がっている無極性の物質です。もう少し正確にいうと、水が油を無理やり押しのけるというより、水分子どうしが引き合う力がとても強いので、油の分子はその間に割り込む隙を見つけられず、外へ追い出されるイメージに近いのです。油が割り込むと、まわりの水分子は水素結合の並びを無理に変えて整列しなければならず、不利になるためです。

両手利きの分子が起こす魔法

豚バラ肉を焼いたあとのフライパンは、冷たい水でいくらすすいでも、ぬるぬるした油汚れがそのまま残ります。水と油は、なじまない疎水性の関係だからです。ところが、台所用洗剤をたった一滴垂らすだけで、油汚れが魔法のように落ちていきます。

石けんや洗剤の中には、とても特別な分子が入っています。頭の部分は水が好きな親水性、しっぽの部分は油となじみやすい疎水性という、両手利きのような構造です。このような物質を界面活性剤と呼びます。

洗剤の分子は油汚れに出会うと、疎水性のしっぽで油を取り囲んで内側にぎゅっと閉じ込め、外側は水となじむ親水性の頭で囲んだ、丸い球の形をつくります。このカプセルのような構造をミセルと呼びます。外見が親水性で包まれているので、油汚れは水の中にぷかぷか浮かんだまま、水の流れに乗ってきれいに流れ落ちるのです。

驚くことに、私たちの体のすべての細胞を包む細胞膜も、これと同じ性質を利用しています。親水性の頭と疎水性のしっぽを持つリン脂質の分子が二重に壁をつくり、体内の水の環境の中で細胞の内部を安全に守っているのです。

よくある誤解

誤解

疎水性の物質は、水を物理的に押しのける力(斥力)を持っている。

事実

疎水性の分子が水を能動的に押しのけているわけではありません。水分子どうしが引き合う力がとても強いため、極性のない油の分子は水分子の間に割り込めず、はじき出されてしまうのです。油が割り込むと水分子は水素結合の並びを無理に変えなければならず、不利になるからです。

日常で出会う場面

  1. ハスの葉の表面にある微細な突起とワックス成分は強い疎水性を示し、雨粒を玉のように転がして落とします。

  2. 洗顔料やシャンプーは、親水性と疎水性の両方を持つ界面活性剤の働きで、肌や髪の油汚れを水で洗い流します。

つまり ひとことで

親水性は極性や電荷を帯びていて水と仲良くなれる性質、疎水性は電気が均等に広がっていて水分子の間から押し出されてしまう性質です。

作成 2025-01-26 更新 2026-10-13 検証 2026-10-13