科学

質量保存の法則

レゴブロックで作ったお城をバラバラにしてロボットに作り変えても、使ったブロック全体の重さは1グラムも変わらない、という原理です。

  • 約3分
  • 図 2点
  • 2026-10-12 検証

定義

化学反応が起きるとき、物質の性質や形がどれほど劇的に変化しても、反応前の物質の総質量と反応後に新しくできた物質の総質量は(測定できる範囲で)常に等しいという自然の法則です。物質を作る基本の粒である原子は、勝手に消えたり突然生まれたりせず、ただ組み合わせ(結合の仕方)が変わるだけだからこそ起こる現象です。

レゴブロックを組み立て直すのと同じです

赤と青のレゴブロック100個を使って立派なお城を作ったあと、気が変わって全部バラバラにして自動車に作り変えたと想像してみてください。完成した形はまったく別物になりましたが、箱に入っているブロックの総数や重さは1グラムも変わりませんよね。

私たちの身の回りにある空気や水、土、そして私たちの体に至るまで、世の中のあらゆる物質は「原子」というごく小さなレゴブロックでできています。物質同士が出会って新しい物質に変わる化学反応が起きるときも、原子がどこかへ消え去ったり、何もないところからポンと生まれたりすることはありません。

もともと手をつないでいた原子同士が手を離し、別の相手と新しく組み合わさるだけなのです。レゴブロックの数が変わらないのと同じで、反応の前後で原子の個数がまったく同じだからこそ、全体の重さも常に一定に保たれます。

燃えて消えた薪はどこへ行ったのでしょう?

大きな薪をたき火にくべて燃やすと、残るのはほんの一握りの軽い灰だけです。目に見える部分だけを見れば、重かった木がまるで魔法のように宙に消え、軽くなってしまったように思えます。逆に、鉄の釘がサビると重さが増えるのも不思議に感じられますよね。

しかしこれは、「空気」という目に見えない参加者を忘れているからです。残った灰だけでなく、木が燃えるときに空気中へ飛び散った煙や二酸化炭素、水蒸気まで密閉したガラス瓶の中にすべて閉じ込めて重さを量ると、元の薪と燃焼に使われた酸素の重さを足したものとピッタリ同じになります。サビた鉄釘も同様に、空気中の酸素(や水分)が鉄と結びついた分だけ重くなったのです。

物質が外へ逃げたり外から入り込んだりできない密閉された空間で反応を観察すれば、どんな化学変化が起きても全体の質量は変わらないことがはっきりと確かめられます。

もう少し詳しく言うと:エネルギーとの密かな取引

日常の中で起きる料理、燃焼(物が燃えること)、腐食(サビること)といった一般的な化学反応では、質量保存の法則は事実上完ぺきに成り立ちます。これらの反応で出入りする熱や光のエネルギーはごくわずかで、質量の変化を通常の秤で測ることは到底できないからです。

しかし、原子の中心にある原子核が分裂したり合体したりする原子力発電や、太陽の内部で起きる核反応では、少し事情が異なります。反応前と比べて質量がごくわずかに減る代わりに、その減った質量が途方もない量の光や熱エネルギーとなって爆発的に放出されるのです。

天才物理学者アインシュタインは、質量とエネルギーが互いに変換できること(E=mc²)を理論で解き明かし、のちに実験でも証明されました。現代の物理学では、物質の質量だけでなく放出されたエネルギーも質量に換算して一緒に考える質量・エネルギー保存の法則によって、自然界の完全なバランスを説明しています。

よくある誤解

誤解

木を燃やすと灰しか残らないので、全体の質量が減った。

事実

目に見えない気体(二酸化炭素や水蒸気)となって空気中へ逃げただけです。逃げた気体と燃焼に使われた酸素まで密閉容器に閉じ込めて量れば、反応前後の質量はまったく同じです。

日常で出会う場面

  1. 密閉したガラス瓶の中でろうそくを燃やしても、火をつける前と火が消えた後でガラス瓶全体の重さはまったく同じです。

  2. 水100gに砂糖20gを溶かすと、砂糖の粒は見えなくなっても砂糖水の重さは120gになります。砂糖が溶けるのは化学反応ではなく状態変化(物理変化)ですが、このときも質量は保存されます。

つまり ひとことで

化学反応の前後で、物質を構成する原子の種類と数は変わらないため、全体の質量は常に一定に保たれます。

作成 2024-08-11 更新 2026-10-12 検証 2026-10-12