定義
ネットワークインターフェースカード(NIC:Network Interface Card)とは、パソコンやスマートフォンがインターネットなどのネットワークにつながるための物理的な通り道を作る重要ハードウェアです。一般には「LANカード」や「ネットワークアダプター」とも呼ばれ、機器内部のデジタル信号を有線ケーブルの電気・光信号や無線の電波信号に変換してやり取りする玄関口の役割を果たします。
デジタル信号を電波や電気に変える通訳係
パソコンは「0」と「1」で構成されるデジタルの言葉だけであらゆる情報を処理します。しかし、私たちが普段使う有線LANケーブルや空間を飛び交う無線ネットワークは、電圧の変化や光の点滅、電波の周波数によって信号を運んでいます。両者が使う言葉と通信方式はまったく異なるのです。
そこで、パソコン本体とネットワークの架け橋(通訳係)となるのがネットワークインターフェースカードです。CPUやメモリから送信データを受け取ると、それを伝送路に合わせた物理的な信号に変換して外へと送り出します。逆に、外部から届いた電気や電波の信号はエラーがないかチェックしたうえで、パソコンが理解できるデジタルデータに組み立て直します。
もしこの部品が壊れたり無かったりすると、どんなに高性能なパソコンであってもネットワークから完全に孤立し、外界とやり取りできない孤島になってしまいます。
通信カードごとに割り振られる名札「MACアドレス」
手紙を正しく届けるには住所が欠かせません。ネットワークの世界でも、膨大な数の機器が混ざり合わずにデータをやり取りするために、各通信機器を見分ける固有の識別番号が必要です。
すべてのネットワークカードには、製造段階でMACアドレス(MAC Address)と呼ばれる物理的な識別番号が重複しないように割り当てられています。世界中のどの機器とも被らないようにルールが決められているため、まさにカード1枚ごとに付けられた名札のようなものです。そのため、有線LANとWi-Fiの両方を備えたノートPCには、MACアドレスが複数存在します。
ただし、この番号が一生固定というわけではありません。実際に通信で名乗るMACアドレスはソフトウェア上で変更可能で、最近のスマートフォンやノートPCはプライバシー追跡を防ぐため、接続するWi-FiごとにランダムなMACアドレスを生成して通知する機能が標準化されています。設定画面でWi-Fiごとに異なるMACアドレスが表示されるのはこのためです。
Wi-Fiルーターや通信機器はこのMACアドレスを見て、「この動画データはリビングのノートPCへ、この音楽データは部屋のスマホへ」と正確に振り分けます。よく耳にするIPアドレスが引っ越すたびに変わる住居の住所だとすれば、MACアドレスは機器がローカルネットワーク内で自身を名乗るときに提示する名札といえます。
もう少し詳しく:有線LANからWi-Fiまで
かつてはパソコンのケースを開け、マザーボードのスロットに手のひら大の回路基板を直接挿し込んでいたことから「カード」と呼ばれていました。しかし現代では、スマートフォンやタブレット、薄型ノートPCのマザーボード上に極小の半導体チップとして標準搭載されています。
また、LANケーブルを差し込む有線タイプだけがネットワークカードではありません。空間を介してデータをやり取りするWi-FiチップやBluetoothモジュールも、広い意味での無線ネットワークインターフェースカードに該当します。
ネットワークカードには、それぞれ処理できる最大通信速度の規格が決まっています。そのため、いくらプロバイダで高速な10Gbpsの光回線を契約していても、パソコン側のLANカードが1Gbpsまでにしか対応していなければ、実際の通信速度は1Gbpsに制限されてしまいます。
よくある誤解
LANカードとは、パソコン背面に有線ケーブルを差し込むスロット部品のことだけを指す。
ノートPCやスマホの中でWi-Fi電波を送受信している無線チップセットも、すべて無線ネットワークインターフェースカード(WLAN NIC)の一種です。
インターネットが遅い原因は、100%通信事業者や回線の問題である。
端末側のネットワークカードが古い規格だったり性能に限界があったりすると、回線がどれほど高速でも本来の速度は出せません。
日常で出会う場面
デスクトップPCの背面に、カチッと有線LANケーブルを差し込むポートが付いた部品です。
スマートフォンがWi-Fiルーターからの電波を受信し、動画などを途切れずスムーズにダウンロードできるようにする通信チップです。
つまり ひとことで
パソコンやスマホのデジタルデータを電波や電気信号に変換し、有線・無線のネットワークとつなぐ必須の通信ハードウェアです。