定義
オームの法則は、電気回路を流れる電流の大きさが、かけた電圧に比例し、流れを妨げる電気抵抗に反比例するという物理法則です。記号では V = I × R と書き、電気が回路の中でどう動くかを説明する、最も基本的で強力なルールです。
水道のパイプで考える電気の流れ
蛇口をひねって水が出てくる様子を想像してみてください。水を強く押し出す圧力が強いほど、水の流れは太く勢いのあるものになります。逆に、パイプの中に砂が詰まっていたり、管が細すぎたりすると、水はちょろちょろとしか流れません。
電気回路でもまったく同じことが起こります。電池が電気を回路の中に押し出す力を電圧(V)と呼び、その力に押されて導線を実際に流れていく電気の流れを電流(I)と呼びます。水圧が強くなるほど水がたくさん出るように、電圧が大きくなるほど導線を流れる電流も大きくなります。
一方、電気の通り道をふさいで邪魔する性質を電気抵抗(R)と呼びます。パイプの中の砂粒のように、電子の動きを妨げる障害物の役割です。結局、回路を流れる電流は、「押す力である電圧」が大きいほど強くなり、「邪魔者である抵抗」が大きいほど弱くなります。
計算がラクになる3文字の式
オームの法則は、電圧・電流・抵抗の比例関係を数式にすっきりまとめてくれます。式では、電圧(V)は電流(I)と抵抗(R)の積、つまり V = I × R と書きます。
この式のいちばんの強みは、3つのうち2つが分かれば残りの1つが自然に求められることです。たとえば9ボルト(V)の電池に、抵抗が3オーム(Ω)の電球をつなぐと、回路には3アンペア(A)の電流が流れるという計算が簡単に出てきます。
逆に、ある部品の両端にかかる電圧と、その部品を流れる電流を測れば、その部品がどれだけ電気を妨げるか、抵抗値を逆算することもできます。電線に強すぎる電流が流れて火事になる事故を防いだり、電子機器が壊れないようにふさわしい部品を選んだりするときの、あらゆる電気工学の出発点となる計算です。
もう少し正確に言うと:すべての物質で成り立つの?
オームの法則は、宇宙のあらゆる物質でいつも完璧に成り立つ絶対的な法則ではありません。私たちが普段使う銅やアルミニウムのような一般的な金属の導線では、電圧を2倍にすると電流もきっかり2倍になる、きれいな規則を示します。このような性質を持つ物質を「オーム性の物質」と呼びます。
ところが、スマートフォンやコンピューターの中核部品であるダイオードやトランジスタのような半導体は、まったく違う反応をします。電圧を少しかけただけでは電流がほとんど流れず、ある基準の電圧を超えた瞬間に電流が爆発的に増えるのです。このように、電圧と電流がきれいな比例の直線を描かないものを非オーム性素子と呼びます。
また、金属の電線であっても、電気が流れて熱が出ると事情が変わります。導線の中の原子が熱を受けて激しく振動し、電子の通り道をいっそう強くふさぐからです。そのため、オームの法則は温度が一定に保たれる条件でのみ正確に成り立ちます。
よくある誤解
抵抗の式が R = V / I だから、電圧(V)を2倍にすると抵抗(R)も2倍になる。
抵抗は、物体の材質・太さ・長さ(そして温度)によって決まる値です。電圧を2倍にしても抵抗が変わるわけではなく、電圧につれて電流(I)が2倍に増えるのです。
家電につながっている電線には電気抵抗がまったくない。
銅線にもごくわずかですがはっきりした抵抗があります。ただ、電球などの部品の抵抗に比べて数値がとても小さいので、日常的な回路計算では無視しているだけです。
日常で出会う場面
懐中電灯の電池が減って電圧が下がると、豆電球を流れる電流が減って、明かりが暗くなります。
濡れた手で電子機器に触ると危ないのは、水で皮膚の表面の抵抗が急に下がり、体にたくさんの電流が流れてしまうからです。
電気ストーブには、わざと抵抗の大きいニクロム線を使います。電子がぶつかりながら、たくさんの熱を出すようにするためです。
つまり ひとことで
電圧は電気を押す力、抵抗は邪魔者。電流の大きさは電圧に比例し、抵抗に反比例します。