定義
教師あり学習は、問題(データ)とそれに合う正解(ラベル)をセットにしてコンピュータにあらかじめ見せ、新しい問題に出会ったときに自分で正解を見つけられるように教える、機械学習(マシンラーニング)の方式です。人がそばで答案を見せながら指導するように教えるので、「教師あり(Supervised)」という名前が付きました。たくさんの例と正解を一緒に示すことで、データに隠れたルールをコンピュータ自身につかませる、最も代表的なAIの学習方法です。
答えつきの問題集で勉強します
小さな子に、猫と犬の見分け方を教えるときを思い浮かべてみてください。私たちは子どもに写真を1枚ずつ見せながら、「これは猫だよ」「これは犬だよ」と名前を付けて教えます。子どもは何百枚もの写真を見ながら、とがった耳や丸い顔といった、猫ならではの特徴を自分の頭の中で整理していきます。
コンピュータが学ぶ仕組みも、これとまったく同じです。AIに、たくさんの写真(入力データ)と一緒に、「この写真は猫」という正解の札(ラベル)を1セットにして入力します。するとコンピュータは、写真を作る膨大なピクセルの数字を分析しながら、猫の写真にだけ現れる共通のルールを探し始めます。
こうして何万回もの練習を終えたAIは、学習に使われていないまったく新しい猫の写真を見ても、「この写真は猫である確率が99%です」と、自分で正解をすらすら当てられるようになります。正解のある問題集をひたすら解いて実力をつける受験生と同じ仕組みです。
もう少し正確に言うと
もう少し正確に言うと、教師あり学習とは、入力値(X)を入れたときに正解(Y)が出てくる、最も正確な数式を、コンピュータが自分で探していく過程です。ニューラルネットワークのように広く使われているモデルは、最初はランダムな数字から始まるので、でたらめな値を出します。
コンピュータが間違った答えを出すたびに、用意された本当の正解とどれだけ差があるか、誤差(損失)を計算します。そして次回は、誤差が少しでも減るように、内部の計算式に入っている無数の数字(重み)をごくわずかに修正します。
この過程を何度もくり返して、誤差を減らしていきます。ただし、学習に使った問題の誤差をゼロに近づけることが目標ではありません。そうすると問題集だけを丸暗記した過学習が起きることがあるので、初めて見るデータでもよく当てられることが本当の目標です。結局、コンピュータは問題と答えをまるごと暗記するのではなく、問題と正解のあいだを貫く数学的なルールとパターンを見つけ出しているのです。
結果によって分類と回帰に分かれます
教師あり学習で解く問題は、大きく2種類に分けられます。1つ目は「分類」です。届いたメールが迷惑メールか通常のメールかを見分けたり、写真の中の文字がどの文字かを当てたりするように、決まったいくつかの選択肢の中から1つを選び出す作業です。
2つ目は「回帰」です。部屋の広さと駅からの距離を見てマンションの取引価格を予測したり、過去の気象記録をもとに明日の日中の最高気温を当てたりするように、連続した数値の大きさを言い当てる作業です。
私たちが日常で毎日使っているスマートフォンの顔認証、動画サイトの自動字幕生成、多言語翻訳アプリ、迷惑メールのブロックフィルターまで、教師あり学習が重要な役割を果たしています。
よくある誤解
教師あり学習は、人がコンピュータのそばでリアルタイムに見守りながら、間違いを指摘してくれる方式である。
人がずっと見守っているのではなく、コンピュータが「あらかじめラベル付けされた正解データ」と自分の予測結果を照らし合わせながら、自分で誤差を減らしていく方式です。
日常で出会う場面
迷惑メールと通常のメール数十万通を、正解ラベルと一緒に学習させて、迷惑メールを自動で振り分けるフィルター
工場の生産ラインで、部品の写真と正常・不良の別を学習して、不良品を自動で取り除く品質検査システム
つまり ひとことで
問題と正解が一緒に書かれたデータを通じて、コンピュータが自分でルールを見つけ、誤差を減らしながら学ぶ方法です。