定義
アルファチャンネルは、デジタル画像で各ピクセル(画面を構成する最も小さな点)がどれくらい透明かを記録しておく特別なデータの通り道です。赤・緑・青(RGB)の3つの色情報に透明度という4つ目の値を加えることで、絵をほかの背景の上に自然に重ねられるようにします。
透明なセロハンを重ねる魔法
アニメをつくるとき、透明なシート(セル)の上にキャラクターを描き、背景画の上にのせる方法を思い浮かべてみてください。キャラクターの周りの何も描かれていないシートは完全に透明なので、後ろの背景がはっきり透けて見えます。デジタル画面でも、この透明なシートの役割を果たす仕組みがアルファチャンネルです。
コンピューター画面の絵は、たくさんの小さな点(ピクセル)でできています。ふつうは赤(R)、緑(G)、青(B)という3つの光を混ぜて、ほしい色を表現します。これをRGBカラーモデルと呼びます。けれども、この3色の組み合わせだけでは「透明であること」そのものを表せません。
そこで、コンピューターグラフィックスの開発者たちは、色情報のあとに透明度を表す4つ目の欄を加えました。これがアルファ(A)です。色がどんなに鮮やかでも、このアルファ値が0なら、画面上では完全に透明な空白として現れます。
0から255まで、透明度を調節するしくみ
アルファチャンネルは、「穴があいている」か「ふさがっている」かの2通りだけで動くわけではありません。コンピューターはふつう、0から255までの256段階の細かな数値で透明度を表します。
数値が0なら完全な透明になり、後ろの背景が100%そのまま現れます。逆に、いちばん大きい数値の255(または100%)なら完全な不透明になり、後ろの絵を完全に隠します。
その中間にある128のような数値は、自然な半透明の効果をつくり出します。ガラス窓、水滴、あるいはゲームの幽霊キャラクターのように半透明に透けて見えるグラフィックは、手前の色と後ろの背景色をアルファ値の比率に合わせて数学的に混ぜる「アルファブレンディング」という技術のおかげです。
もう少し正確にいうと:なぜファイル形式によって違うのでしょうか?
ネットからダウンロードした画像のなかには、背景が白くふさがっているものもあれば、背景がきれいに抜けているものもあった、という経験があるでしょう。これは、ファイル形式によってアルファチャンネルに対応しているかどうかが違うからです。
写真にいちばんよく使われるJPEG(JPG)ファイルには、アルファチャンネルを入れる場所がそもそもありません。そのため、透明な部分を保存できず、保存するときにふつう白や黒などの単色の背景で埋められてしまいます。
一方、PNGやWebPのような形式は、アルファチャンネルをそのまま保持します。グラフィックデザイナーがロゴやキャラクターのステッカーをつくるときにPNGを使う理由はここにあります。画像編集ソフトでよく見かける、灰色と白の格子模様のチェック柄は、画像が透明であることを人の目でわかるように画面の上だけに仮に表示している、見た目上の約束事です。
よくある誤解
PNGファイルの背景に見える灰色と白のチェック柄が、アルファチャンネルそのものだ。
チェック柄は、ユーザーが「ここは透明な空きスペース」だと見分けられるように、ソフトが仮に塗っておいた目印にすぎません。実際のアルファチャンネルのデータは、画面には見えない0から255までの透明度の数値としてだけ保存されています。
日常で出会う場面
YouTube動画の字幕の後ろにうっすら敷かれる、半透明の黒い背景ボックス
ゲームのキャラクターが敵に攻撃されたとき、点滅しながら半透明になる無敵状態のエフェクト
ウェブサイトのロゴの背景が透明に処理されていて、どんな背景色の上にも自然にのせられるPNGファイル
つまり ひとことで
アルファチャンネルは、RGBの3原色に透明度(A)を加えて、画像をほかの背景と自然に合成できるようにするデータです。