定義
クリッピングマスク(Clipping Mask)は、ペアにした図形や文字の形を輪郭の型として使い、一緒に束ねた画像や色が、その型の内側だけに見えるように隠してくれるグラフィック編集の技術です。元の画像をナイフで直接切り抜かなくても、好きな形の窓の中にすっと収めたような効果が得られます。
丸い額縁に写真をすっと収める仕組み
きれいな丸いプロフィール写真を作りたいとき、四角い写真の角をハサミで一つひとつ切り落とす必要はありません。下に丸い図形を1つ描き、そのすぐ上に写真を重ねてクリッピングマスクを適用するだけです。
すると、コンピューターは下にある丸が描かれた領域だけを透明なガラス窓として認識します。写真はもともとの四角い形のまま残っていますが、丸と重なる部分だけが私たちの目に通って見えるようになります。
この方法のいちばんの長所は、元のデータを傷めないことです。写真の位置を横に少しずらしたり、サイズを小さくしたりしても、丸い窓の型はそのまま保たれるので、いつでも自由に構図を調整し直せます。
ただし、上下の順番はソフトによって違います。PhotoshopやFigmaでは型になる図形が下、写真が上に置かれている必要がありますが、Illustratorでは逆で、型になる図形を一番上に置かないと機能しません。InDesignは、レイヤーの順番ではなく、図形の枠の中に写真をペーストする方式を使います。
もう少し正確に言うと:レイヤーマスクとの違い
デザインソフトを使っていると、「レイヤーマスク」という似た機能に出会います。どちらも特定の部分を隠すという目的は同じですが、型の作り方にはっきりした違いがあります。
レイヤーマスクは、写真1枚の上に黒と白のペイントを塗って、「どの部分をどれだけ透明にするか」をブラシで直接指定する方式です。黒く塗った部分は消しゴムで消したように隠れ、白い部分だけがくっきり現れます。
一方、クリッピングマスクは、別の「図形レイヤー」や「テキストレイヤー」の形をそのまま借りてきます。ブラシで塗らなくても、あらかじめ作っておいた星形や太い文字の形に合わせて、写真がその場で型に閉じ込められるかたちになります。
文字の中に宇宙の写真を満たすコツ
映画のポスターや雑誌の表紙には、太い文字の中にきらめく夜空や都会の夜景がぎっしり詰まった、かっこいいデザインがよくあります。これもクリッピングマスクを使った代表的な演出です。
テキストレイヤーで好きな単語を大きく入力し、その上に天の川の写真を重ねて、クリッピングマスクをかければ完成です。文字の線が引かれた場所ごとに宇宙の写真がすっと入り込み、センスのよいタイポグラフィがあっという間にできあがります。
さらに、1つの型の上に、複数の写真や影の効果、グラデーションを何枚も連ねて重ねることもできます。一番下にある基準の図形を1つ変えるだけで、上に重なったすべてのデザイン要素がまとめて新しい型に合わせて整うので、作業効率がぐんと上がります。
よくある誤解
クリッピングマスクを適用すると、型の外にはみ出した画像の部分は永久に切り取られて消えてしまう。
画像の元データはそのまま残っています。マスクを解除したり、型の中で画像をあちこち動かしたりすれば、隠れていた部分はいつでもまた現れます。
日常で出会う場面
PhotoshopやFigmaで、丸い円の中に人物写真をきれいに収めて、プロフィールアイコンを作るときに使います。
ポスターのタイトル文字の太い線の内側に、海や炎のようなテクスチャ画像を満たしたいときに活用します。
つまり ひとことで
ペアにしたレイヤーの輪郭の形を窓のように使い、画像を傷つけることなく型の中にぴったり収めて見せるグラフィック技術です。