科学

ベテルギウス

燃え尽きる寸前のたきぎが最後の炎を激しく吹き上げるように、巨大な爆発を目前に控えた宇宙の赤い星です。

  • 約3分
  • 図 2点
  • 2026-10-16 検証

定義

冬の夜空のオリオン座で赤く輝く巨大な星で、一生の最終段階に入り、いつか超新星爆発を起こすと予想されている赤色超巨星です。体積は太陽の何億倍にもなり、星の進化の最終段階を自分の目で観察できる特別な天体です。

オリオン座の赤い肩、どれくらい巨大なの?

冬の夜空を見上げると、砂時計の形をしたオリオン座が目に入ります。その左上の肩の位置で、ひときわ赤く明るく輝いている星がベテルギウスです。

この星を私たちの太陽系のど真ん中に置いたら、どうなるでしょうか。太陽はもちろん、水星、金星、地球、さらには火星の軌道まで、ベテルギウスの中にすっぽり飲み込まれてしまいます。表面が火星の軌道を越えて、木星の軌道の内側にまで届く大きさと推定されているからです。体積で比べると、太陽を何億個も詰め込めるほどの想像を超える巨体を誇っています。

これほど大きいのは、星の中心で燃料が尽きて、外側の部分が風船のようにふくらんだからです。星が年をとって老いていくにつれて、温度が下がって赤い色になり、体はふくらんだ状態の赤色超巨星(赤色巨星よりはるかに大きい老いた星)になったのです。

時限爆弾のようにカチカチ時を刻む、星の最期の瞬間

星は一生のあいだ、中心部で元素を融合させてエネルギーを生み出しています。若い星が水素を燃やすのに対し、ベテルギウスのような年老いた巨人は、ヘリウム、炭素、酸素を順に燃やしてもちこたえます。そしてついに、核融合でこれ以上エネルギーを出せない鉄が中心にたまると、星を支えていた力のバランスが完全に崩れてしまいます。

中心部が一瞬で内側へ崩壊し、すさまじい衝撃波が起こります。これが宇宙でも指折りの大爆発である超新星です。ただし、2020年の研究では、ベテルギウスはまだ中心でヘリウムを燃やす段階にあるとされました。

もう少し正確に言うと、天文学でいう「もうすぐ爆発する」という時間は、人間の感覚とは違います。その研究は、爆発までおよそ10万年あると推定しており、残り時間をもっと短く見る意見もあります。宇宙の数十億年の歴史に比べれば10万年も瞬きほどの一瞬なので、「もうすぐ」と呼ぶのです。

爆発したら、地球は危なくないの?

ベテルギウスが爆発したら地球に大災害が起きるのではと心配する人はたくさんいます。幸い、ベテルギウスは地球から約550〜720光年(光の速さで何百年もかかる距離)離れていて、衝撃波や放射線が地球に直接被害を与えるほど近くはありません。

その代わり、人類の歴史上もっとも幻想的な宇宙ショーを見ることになります。超新星爆発が起こると半月ほどの明るさにまで輝きを増し、昼間でも肉眼で見えるほど明るく光ります。夜には影ができるほどの明るい光が数か月続き、その後だんだん暗くなっていくでしょう。

爆発がすべて終わると、ベテルギウスのあった場所には星の残骸であるガスの雲(星雲)が広がり、中心には小さな中性子星が残ると予想されています。オリオン座の赤い肩が夜空から永遠に消え、まったく新しい宇宙の姿が広がるのです。

よくある誤解

誤解

ベテルギウスが超新星として爆発すると、地球にも致命的な放射線被害が出る。

事実

ベテルギウスは地球から約550〜720光年離れています。超新星が地球の生命に大きな被害を与えるには数十光年以内でなければならないと考えられているので、この距離では宇宙ショーとして見えるだけです。

日常で出会う場面

  1. 冬の夜空のオリオン座の左上で、赤い光でまたたくベテルギウスを肉眼で探すことができます。

  2. 2019年末にベテルギウスの明るさが突然半分以下に暗くなり、爆発の前兆ではないかと世界中の天文学界が注目したことがあります。

つまり ひとことで

ベテルギウスは、太陽の位置に置くと火星の軌道まで飲み込むほど巨大な老いた星で、いつか超新星として爆発すると予想されている天体です。

作成 2024-12-14 更新 2026-10-16 検証 2026-10-16