定義
特定の管理者に頼ることなく、ネットワークに参加する全員が取引記録(台帳)のコピーを共有し、互いに検証し合う技術です。新しい取引を一定時間ごとにまとめた記録の束(ブロック)を作り、それを時系列に沿って鎖(チェーン)のようにつなげて保管します。
村の共同台帳のしくみ
銀行経由で友人にお金を送るときは、銀行のコンピューターが残高を確認して取引を記録します。私たちは銀行という信頼できる仲介者を全面的に信じて取引を任せていますよね。しかし、もし銀行のサーバーが攻撃されたり、内部の管理者が記録を改ざんしたりすれば、大混乱が起きてしまいます。
ブロックチェーンはこの問題をまったく別の方法で解決します。たった1人の管理者を信じる代わりに、参加者全員にまったく同じ取引台帳を配ってしまうのです。 例えば、太郎さんが花子さんにリンゴを3個送ったとすれば、その記録が全員の台帳に一斉に書き込まれます。
台帳を持っている人が何千人もいれば、誰か1人が自分の台帳の数字をこっそり書き換えても意味がありません。参加者全員が「新しい記録がルールや前の記録と合っているか」を確かめ合うため、1人だけが改ざんした記録はネットワークから弾かれてしまうのです。
ブロックとチェーンがつながる仕組み
ブロックチェーンという名前は、「取引記録を入れた箱(ブロック)」を「鎖(チェーン)」でつないだことに由来します。一定時間の間に世界中で起きた取引をまとめて、ひとつのブロックを作ります。
このとき、特別な暗号技術が使われます。新しいブロックを作るときは、直前のブロック固有の指紋情報(ハッシュ値)を必ず含めなければなりません。 前のブロックの文字がたった1文字変わっただけでも、この指紋情報はまったく別物になってしまいます。
もし過去の取引記録をひとつでも改ざんしようとすると、その後に続くすべてのブロックを順番に作り直さなければなりません。ビットコインのように作業の証明(プルーフ・オブ・ワーク)を用いる仕組みでは、ブロックごとに膨大な計算を一からやり直す必要があります。参加者が多く規模の大きいブロックチェーンほど、後ろに新しいブロックが連なるほど、過去の記録を書き換えることは事実上不可能に近くなります。 逆に、参加者が少ない小規模なブロックチェーンでは、計算能力の半分以上を乗っ取られて記録が覆されたケースも存在します。
もう少し正確に言うと
もう少し正確に言うと、ブロックチェーンの本質は単にデータをコピーすることではなく、「誰の記録を正しいものとして認めるか」を決める合意のルール(合意アルゴリズム)にあります。世界中にある何万台ものコンピューターが異なるタイミングで取引情報を受け取っても、数学的なルールに従って、ただひとつの共通した台帳を作り上げていきます。
また、ブロックチェーンが「改ざんできない」というのは台帳の記録を後から書き換えるのが極めて困難という意味であって、個人の暗号資産ウォレットのパスワード(秘密鍵)が盗まれることまで防げるわけではありません。 中央で管理する組織がないため、パスワードを紛失しても再発行してくれるサポート窓口は存在しないのです。
現在、ブロックチェーンは暗号資産(仮想通貨)だけでなく、商品の流通経路の追跡、実験的に進む電子投票、高級品の真贋証明書の発行など、記録の透明性が求められるさまざまな産業分野へと活用が広がっています。
よくある誤解
ブロックチェーンはビットコイン(仮想通貨)そのものである。
ビットコインは、ブロックチェーン技術を金融取引に応用した最初の事例にすぎません。ブロックチェーン自体は契約、投票、物流の追跡など、信頼が求められる多くの分野で活用できる汎用技術です。
日常で出会う場面
ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産(仮想通貨)の取引履歴を、銀行を通さずに安全に保管します。
ブランド品や生鮮食品の生産・流通プロセスの履歴を、後から改ざんできない形で記録してトレーサビリティに役立てます(ただし、最初に入力された情報自体が本物かどうかまでは保証されません)。
つまり ひとことで
中央の管理者を置かず、参加者全員が同じ取引記録を共有して互いに検証し合うことで、データの改ざんを極めて困難にする技術です。