公図(地籍図)

土地ひとつひとつに名札とフェンスを正確に描き込んだ、いわば「土地の公式な身分証明書」となる地図です。

定義 公図(地籍図)とは、国がすべての土地を精密に測量し、境界や形状、地番(土地の番号)、地目(土地の用途)を公式に登録した公的な地図面のことです。 私たちが住民票で個人の身元を確認するように、公図は土地の一筆一筆の公式な法的境界線を証明するもっとも基本的な公簿です。

カーナビやスマホの地図とは何が違うの?

私たちがスマートフォンで見る地図アプリやカーナビは、目的地へ行くための道案内ツールです。建物の外観や道路の場所はわかりやすく教えてくれますが、土地の所有権がどこまで及んでいるかという法的な境界線までは教えてくれません。

一方、公図(地籍図)は国土全体を巨大なジグソーパズルのように細かく区切った図面です。このように区切られた土地の最小単位を「筆(ひつ・筆地)」と呼びます。それぞれの筆には固有の番号である「地番」が割り振られ、田畑なのか宅地なのかを示す「地目」が定められています。

自分の土地と隣の家の間にブロック塀が立っていたとしても、法的な本当の基準は目の前の塀ではなく公図に引かれた境界線です。現地の風景を写した写真ではなく、法律上の境界を精密に記録した土地の設計図といえます。

ポータル地図と地籍図の境界比較図 Web地図 地籍図 12②畑 12③林 12①宅 12④道

もう少し詳しく:登記簿謄本と公図(地籍図)の違い

不動産を調べるとき、「登記簿謄本(登記事項証明書)」と「公図」をセットで確認するように勧められます。この2つの書類は、役割分担が明確に分かれています。登記簿謄本は「この土地の所有者は誰で、銀行のローン(抵当権)がいくら残っているか」といった権利関係を主に証明する書類です。

一方、公図をはじめとする地籍公簿は「その土地が物理的にどこにあって、どんな形をしているか」という現況を扱う台帳です。もし登記簿に書かれた面積と公図側のデータにズレがある場合は、物理的事実を優先する地籍公簿の内容が基準となります。

公図には縮尺も正確に表示されています。500分の1や1200分の1など決められた縮尺で描かれているため、図面上の長さを測れば実際の土地の幅や奥行きを正確に割り出すことができます。

家を建てたり土地を買うとき、なぜ真っ先に確認するの?

家を新築したり郊外の土地を購入したりするとき、公図を見ないと大きなトラブルに巻き込まれる恐れがあります。その代表的なリスクが「袋地(無道路地)」です。袋地とは道路にまったく接していない孤立した土地のことで、見た目には道路のような通路があっても、それが公図上で他人の敷地であれば自由に通行や工事ができない場合があります。

また、何十年も自宅の庭として使っていたスペースが、公図を確認したら隣人の敷地だったという話も珍しくありません。庭木やフェンスは人が勝手に動かせてしまいますが、公的に登録された図面の境界線は勝手に変えられません。

そのため、不動産を契約する前は現地の見た目だけを信用せず、法務局の窓口やオンライン情報サービスで公図を取得し、実際の敷地の形と図面が一致しているかを必ず照合することが大切です。

公図上の無道路地・未接道構造 隣地A 隣地B 手前の私有地(他人地) ⚠️ 袋地(孤立地) 進入路なし・建築不可 公図上の公道

🤔 よくある誤解

✕ 誤解

公図に描かれた境界線と、現地に立っているフェンスの位置は必ず一致している。

✓ 事実

フェンスやブロック塀は、過去に位置を誤って建てられた可能性があります。法的な本当の境界は、現地の塀ではなく国が認めた公図の境界線を基準に判断されます。

🧺 日常で出会う場面

1 家を建てる前に、自分の土地が公道にしっかり接しているかを公図で確認する。
2 お隣と境界フェンスの位置をめぐって揉めた際、公図を基準に専門家(土地家屋調査士)に測量を依頼する。
💡 つまり ひとことで

公図(地籍図)は、国が土地の形・番号・用途・境界を正確に測量して記録した「土地の公的な身分証明書」です。