定義
高いところから落とした物が地面にぶつかって少し跳ね返るように、株や暗号資産(仮想通貨)の価格が大きく下がったあと、一時的に少し反発し、またストンと下落に戻る現象のことです。下落トレンドを完全に抜け出したわけではなく、ひと息ついただけの「だまし」の反発なんです。
どこから来た言葉なのでしょう?
金融の世界には「たとえ死んだ猫でも、とても高いところから落ちれば、地面にぶつかって少し跳ね上がる」という、ちょっと意地悪な格言があります。記録で確認できる早い時期の使用例は1985年の英フィナンシャル・タイムズの記事で、その後ウォール街をはじめ金融界に広まりました。物が地面にぶつかると、物理的な弾力で自然に跳ね返る。その仕組みを市場にたとえた言葉です。
株式市場でも、特定の銘柄や市場全体が急激に暴落すると、それまで値下がりに賭けていた投資家が利益を確定するために株を買い戻したり(ショートカバー)、「さすがに安くなりすぎた」と考える人たちが一斉に買いに入ったりして、株価が一時的に上がります。
ただし、これは企業の業績が良くなったり、景気が上向いたりして生じた上昇ではありません。暴落の反動として起きた自然なテクニカル反発にすぎないので、やがて元の下落トレンドに戻ってしまいます。
なぜ多くの投資家がだまされてしまうのでしょう?
価格が連日下がり続けると、人は不安や恐怖を感じながらも、心のどこかで「そろそろ底を打って上がるんじゃないか」という、かすかな希望を抱くようになります。そんな状態で株価が1~2日、赤いローソク足(※日本では上昇は陽線=白や赤で表示されることが多いです)を灯して反発すると、あっという間に心が揺らぎます。
「今買わないとチャンスを逃す」という焦りから急いでお金を投じてしまうのですが、これを市場では「底を拾おうとして罠にはまった」と表現します。このとき飛び込んだ投資家は、反発が止まって株価が以前よりさらに深い底へ落ちたときに、大きな損失を抱えることになります。
下落相場のまっただ中で起きる反発が、本物の回復なのか偽物の反発なのかを見分けるのは、とても難しいものです。だからプロの投資家でさえ、底を安易に決めつけないという原則を守ろうと努めています。
もう少し正確に言うと
では、本当に底を打っての反発と、デッドキャットバウンスはどう見分ければいいのでしょうか。先に答えを言うと、反発が起きているまさにその瞬間には、誰にも100%確実には見分けられません。時間がたってから、株価が反発局面の直前の高値を超えて安値が切り上がっていくのか、それとも再び以前の安値を割り込んで下がっていくのかを見て、はじめてわかります。
とはいえ、いくつかヒントはあります。本物のトレンド転換は、時間がたつにつれて、企業の利益回復や利下げといった本質的な環境の変化に裏づけられることが多いものです。ただし、株価はそうした変化が数字で確認される前に、先に底を打つこともあります。一方、デッドキャットバウンスは、根本的な悪材料はそのままなのに、単に「ずいぶん値下がりしたから」という理由だけで、少ない出来高のなか一瞬だけ反発するケースが多いです。
そのため、デッドキャットバウンスという名前は、たいてい反発が終わって株価が再び安値を割り込んだあとに、過ぎたチャートを振り返りながらつけられることが多いのです。
よくある誤解
株価が何日か連続で上がったら、下落相場が完全に終わったサインだ。
大きな下落相場のなかでも、10~20%程度の一時的な反発はよく起こります。本質的な悪材料が解決されていなければ、再び下落することもあります。
日常で出会う場面
2008年のリーマン・ショック(世界金融危機)のとき、株価が暴落する途中でも、数日間急反発する場面が何度もありましたが、結局株価はさらに深く下がりました。
たとえば、ある暗号資産の価格が半値になったあと、1日で15%反発したものの、1週間後にまた最安値を更新する、といった具合です。
つまり ひとことで
デッドキャットバウンスは、深い暴落のあとに、根本的な回復がないまま一瞬だけ跳ね上がり、またすぐ下がってしまう「だまし」の反発です。