定義
ダンバー数とは、一人の人が他者と継続的で安定した社会的関係を築き、維持できる人間関係の上限を指す考え方です。イギリスの人類学者ロビン・ダンバーが霊長類の脳の大きさと群れの規模を調べて導き出し、人間が無理なく付き合える人数は約150人だと主張しました。ただし、この数字には反論もあります。
なぜ150人なのでしょうか?
サルやチンパンジーなどの霊長類は、お互いに毛づくろいをして仲を深めます。毛づくろいにはとても時間がかかるので、群れが大きくなりすぎると、全員と親しくすることはできません。しかも、誰と誰が仲良しで、誰が強いのかといった複雑な序列や関係の網の目を、頭の中で覚えておかなければなりません。
イギリスの進化人類学者ロビン・ダンバーは、霊長類の脳で大脳新皮質が占める割合が大きいほど、群れの規模も大きくなる傾向を見つけました。大脳新皮質は、思考や記憶、複雑な社会的コミュニケーションを担う脳の部位です。新皮質が発達するほど、覚えて気にかけられる仲間が増える、という考え方です。
人間の新皮質の割合をこの比例の式に当てはめて計算すると、約150という数字が出ました。つまり、生物学的に本当に親しい関係を保てる脳の定員が150人前後だ、という主張です。ところが2021年にスウェーデンの研究チームが同じ方法で計算し直したところ、推定範囲が数人から数百人まで広がりすぎてしまい、特定の数字は決められないという反論も出ています。
SNSの友達が1,000人いても同じです
今はスマホを数回タップするだけで、何百人、何千人ともオンラインで友達になれます。SNSには、フォロワーが数千人いる人も珍しくありません。でも、見かけの友達リストがどれほど長くても、ダンバー数が大きく増えることはありません。
実際、2011年にTwitter(現X)の会話を分析した研究では、フォロワーがどれだけ多くても、継続的にやり取りする安定した関係は最大で100〜200人程度にとどまりました。リストに並んでいる人の大半は、実質的には他人と変わらないのです。
誰かと深い関係を築くには、継続的な時間と感情のエネルギーが必要です。デジタル技術がどれだけ進歩しても、私たちの脳が1日に使える認知能力や物理的な時間は、原始時代の祖先と同じだからです。
もう少し正確に言うと:5-15-50-150の秘密
150人という数字は、全員と同じ深さで親しいという意味ではありません。ロビン・ダンバーは、人間関係は中心から約3倍ずつ広がっていく、何重もの同心円の構造をしていると説明しました。
一番内側には、ピンチのときにためらわず助けてくれる中核の親友5人がいます。その外側には、定期的に会って本音を話せる一番親しい友人15人、よく一緒に過ごす仲のよい友人50人がいます。
そして、結婚式などの冠婚葬祭に呼びたくなり、道でばったり会っても気まずくならずに笑顔で挨拶できる限界ラインが150人です。150人の外側には約500人の知り合いの層があり、名前と顔が一致する人は約1,500人くらいだと考えられています。
よくある誤解
ダンバー数の150人は、一生のうちに覚えていられる人の総数である。
単に顔と名前が一致する人は約1,500人くらいと考えられています。150人は、お互いの事情を知り、感情的に意味のある交流を続けられる最大人数です。
日常で出会う場面
ダンバーは、狩猟採集社会で一緒に暮らす集団は30〜50人ほどで、それより大きな氏族や共同体の単位が平均150人前後だったと分析しました。ただし、この解釈にも反論があります。
軍隊で一人の指揮官が部下一人ひとりの特性を直接把握して統率できる「中隊」の規模も、およそ100〜200人前後で、よく比較されます。
つまり ひとことで
人間の脳(新皮質)の大きさと時間の限界のせいで、本当の絆を保てる人間関係の定員は約150人だ、という主張です。