生態ピラミッド

街の小さなお店を一つ成り立たせるために数多くの農場や工場が必要なように、頂点に立つ捕食者1匹を生かすために、その下で膨大な量の植物や草食動物が支えている階段のような構造です。

定義 食物連鎖における各栄養段階(食べる・食べられるの位置)に属する生物の個体数、生物量(バイオマス)、エネルギー量を下から順に積み上げた図のことです。上の段階へ行くほど受け渡されるエネルギーが急激に減るため、通常はピラミッドのように上に向かって狭くなります。

なぜ上に行くほど狭くなるの?

ビュッフェにいくらたくさんの料理が並んでいても、私たちが食べて消化し呼吸するだけでほとんど消費してしまうように、生物も自分が得たエネルギーの大部分を生きていくために使い果たします。植物が太陽の光から作り出したエネルギーのうち、次の段階であるバッタに実際に受け渡される量は通常わずか10%ほどにすぎません。

バッタが草を食べても、その草のエネルギーはバッタの体温維持やジャンプ、呼吸などに使われ、排泄物としても体の外に出ていきます。バッタ自身の肉や筋肉として蓄えられ、カエルの獲物として届くエネルギーはごく一部だけです。

カエルを食べたヘビ、ヘビを食べたワシへと段階が上がるごとに、エネルギーは約10分の1ずつ減っていきます。そのため、頂点に立つ捕食者を生かしていくには、土台に途方もなく巨大な生産者の層がどっしりと支えていなければならないのです。

生態ピラミッドのエネルギー移動と損失図 生産者(草) 10,000 一次消費者(バッタ) 1,000 二次消費者(カエル) 100 三次消費者(タカ) 10 1割 伝達 9割 熱エネ 放出・損失

ピラミッドの3つの顔

生態ピラミッドは、何を基準に測るかによって大きく3種類に分かれます。生きている生物の数を数える「個体数ピラミッド」、生物全体の重さを測る「生物量(バイオマス)ピラミッド」、そしてエネルギー量を測る「エネルギーピラミッド」です。

一般的には、何百万本もの草の上に数万匹のバッタ、数千匹のカエル、そして1羽のワシが暮らすように、3つとも上に行くほど狭くなります。しかし、1本の巨大なナラの木に何千匹もの毛虫が群がって暮らす森林などでは、個体数ピラミッドが逆転してツボのような形になることもあります。

これは生物の大きさがそれぞれ異なるために起こる現象です。見た目の数や重さは環境によって一時的に逆転することがあっても、流れるエネルギーを測れば、どんな生態系であっても例外なく美しい正ピラミッドの形を保ちます。

もう少し詳しく:海ではピラミッドが逆さまになる?

広大な海では、一見とても不思議な現象が見られます。海の一次生産者である植物プランクトンの総重量よりも、それを食べる動物プランクトンや小型魚類の重量のほうが重いという、逆ピラミッド型の生物量が観察されるのです。

食べる側(口)のほうがごはんよりも重いのに、なぜ生態系は崩壊せずに成り立つのでしょうか? その秘密は「成長スピード(回転率)」にあります。植物プランクトンは体が極めて小さいものの繁殖スピードが信じられないほど速く、食べられたそばからわずか数時間で新しい個体が補充されます。

つまり、ある瞬間の写真をパシャリと撮って重さだけを測ると小さく見えますが、1年間に生み出したエネルギーの総量を計算すれば、やはり植物プランクトンのほうが圧倒的に多いのです。生態系の土台を支える法則は、海の中でも寸分の狂いもなく働いています。

陸上と海洋の生物量ピラミッド比較 陸上生態系 生産者(草) 海洋生態系 大型消費者 植物プランクトン 超高速繁殖・回転

🤔 よくある誤解

✕ 誤解

生態系のピラミッドは、どんな場合でも必ずまっすぐな正三角形の形をしている。

✓ 事実

1本の巨木に大量の昆虫が暮らす森や海洋生態系では、個体数や生物量のピラミッドが一時的に逆転することがあります。ただし、エネルギーピラミッドだけはどのような場合でも決して逆転しません。

🧺 日常で出会う場面

1 アフリカのサバンナで、何万頭ものシマウマやヌーの群れに対してライオンの数がほんの数頭しかいない現象です。
2 1本の巨大なナラの木が、何百匹もの毛虫や小鳥たちを養っている森の個体数分布です。
💡 つまり ひとことで

生態ピラミッドは、上の段階へ進むごとにエネルギーが約10%しか受け渡されないため、自然と先細りになる生態系のバランス構造です。