定義
分解者とは、生き物の死骸や排せつ物などの有機物(炭素を含む、生き物のからだをつくる複雑な物質)を、水・二酸化炭素・土の中の養分といった単純な無機物に分解して、自然に返す生き物のことです。おもに細菌(バクテリア)とカビ(菌類)がこの大切な役目を担っています。
なぜ森は落ち葉や死骸で埋まらないの?
秋になるたびに山へ降り積もる落ち葉を思い浮かべてみてください。毎年ものすごい量の葉っぱや枝が地面に落ちるのに、何年たっても森の地面が人の背丈ほど積み上がることはありません。
誰かが毎日大きなほうきで森を掃いているわけでもないのに、不思議ですよね。実は、土の中にひそむたくさんの細菌やカビ、キノコが、昼も夜も休まず有機物を土と空気に戻す掃除をしてくれているからなのです。
もし分解者がいなくなったらどうなるでしょう? 数十年もすれば、動植物の死骸や落ち葉が片づけられないまま積もり続けます。そのうえ土に戻る養分も途絶え、新しい植物が育つための肥料がだんだん底をついてしまいます。
分解者は、目に見えないところで休まずゴミを片づけ、自然の空間をきれいに空けてくれるありがたい存在なのです。
生態系という工場の最後のリサイクルライン
生態系は、あらゆる資源がぐるぐる回り続ける、巨大でエコな工場のようなものです。植物(生産者)は太陽の光を受けて光合成をし、栄養をつくります。草食動物や肉食動物(消費者)はそれを食べてエネルギーを得て、成長します。
でも、生き物は借りてきた元素を永遠に持ち続けることはできません。いつか命を終えて地面に倒れると、分解者がそれをとても小さな粒の単位までバラバラにし始めます。
分解者は、タンパク質や脂肪のような大きなかたまりを、植物が根からたっぷり吸い上げられる窒素やリンなどの土の中の養分に変えてくれます。つまり分解者は、すべての生き物が残した跡を新しい命の肥料に変える、生態系の物質循環のゴールであり、スタート地点なのです。
このしくみのおかげで、地球上の元素の量は決まっていても、数十億年ものあいだ生命活動が途切れることなく続いてこられたのです。
もう少し正確に言うと:分解を助ける動物と分解者の違い
もう少し正確に言うと、動物の死骸をついばむハゲワシや、地面の落ち葉を飲み込むミミズは、厳密な生物学的な意味での分解者ではありません。広い意味ではミミズのような動物を分解者に含めることもありますが、狭い意味では区別して考えます。
ハゲワシは動物の死骸を食べる「腐肉食動物(スカベンジャー)」、ミミズは落ち葉などの有機物のくずを食べる「腐食性動物(デトリタス食者)」です。どちらも大きなかたまりをちぎったり飲み込んだりして、体の中で消化する動物です。狭い意味の分解者は、体の外に酵素を出して有機物を溶かし、それを吸収する細菌やカビなどの微生物です。
ミミズや昆虫のような腐食性動物が死骸を細かく砕いて表面積を広げておくと、カビや細菌がその細かなかけらを化学的に溶かして、無機養分に変えていきます。
食べ物を細かく砕いて表面積を広げる動物と、体の外で酵素を使って有機物を溶かす微生物。この二者がチームを組み、息ぴったりに連携してはじめて、自然の大きな浄化・リサイクルのしくみが完成するのです。
よくある誤解
ミミズやハゲワシも、生態系の代表的な分解者だ。
ハゲワシは死骸を食べる「腐肉食動物」、ミミズは有機物のくずを食べる「腐食性動物」で、どちらも食べ物を飲み込んで体の中で消化します。広い意味ではミミズのような腐食性動物を分解者に含めることもありますが、狭い意味での分解者は、体の外に酵素を出して有機物を溶かしてから吸収する細菌やカビです。
日常で出会う場面
森の中で倒れた丸太にキノコが生えて、木が少しずつやわらかい土に変わっていく過程です。
生ゴミ入れの中でバナナの皮にカビが生え、だんだんやわらかくなって消えていく現象です。
つまり ひとことで
死んだ生き物を細かく分けて、植物がふたたび使える土や空気中の養分に戻してくれる、自然のリサイクル担当です。