科学

光合成

太陽の光というクリーンなエネルギーを使って、水と空気を甘いごはんに変える、植物のお料理法です。

定義

植物が太陽の光エネルギーを使って、水と二酸化炭素を、生きもののもとになる栄養であるブドウ糖と酸素に変える生化学反応です。地球上のほとんどすべての生きものが生きるのに必要な食べものと呼吸のための酸素を届けてくれる、もっとも根本的なエネルギーの生産システムです。

葉っぱのキッチンで起きる不思議な料理

植物の葉を顕微鏡でぐっと近くからのぞくと、緑色の粒である葉緑体という小さなキッチンがぎっしり並んでいます。このキッチンは、太陽から降り注ぐ光エネルギーを吸収して、料理を始める準備をします。

料理の材料はとてもシンプルです。地面の下の根から吸い上げた水と、葉の裏側にある小さな穴(気孔)から取り込んだ二酸化炭素、それだけです。植物は日光の力を借りて、このシンプルな材料を分解し、組み立て直して、ブドウ糖という中身のつまった栄養をつくります。

この過程で、おもしろい「余りもの」が一つ出ます。水から水素を切り離して栄養づくりに使ったあとに残るもの、それが酸素です。植物にとっては料理のあとに残った副産物ですが、地球の動物たちにとっては、息をすることを可能にしてくれるいちばん大切な贈りものになります。

光を集める段階と、糖をつくる段階

光合成は一度で終わる単純な反応ではなく、精密な2段階の工程に分かれています。第一段階は、日光が当たっているときだけ動く明反応(光反応)です。クロロフィル(葉緑素)という色素が光をつかまえて水を分解し、そのとき生まれる力で、バッテリーを充電するように生体エネルギーをたっぷりためます。

第二段階は、ためておいたエネルギーで本当の栄養をつくり上げる暗反応(炭素固定反応)です。名前に「暗」の字が入っているので夜にだけ起こると誤解しやすいのですが、光を直接は使わず、先に充電したエネルギーのバッテリーを使って二酸化炭素をまとめ、糖をつくるという意味です。実際には、そのバッテリーが充電され続ける昼間に主に起こります。

植物はこうしてできたブドウ糖を、そのままエネルギーとして使ったり、保存しやすいデンプンに形を変えてたくわえたりします。私たちが食卓でおいしく食べるお米やジャガイモ、サツマイモは、植物が日光を包んでためこんだ濃縮された太陽エネルギーのかたまりというわけです。

もう少し正確にいうと、植物も呼吸しています

多くの人が、植物は昼に二酸化炭素だけを吸って酸素だけを吐き出していると誤解しています。でももう少し正確に見ると、植物も昼も夜も私たちと同じように呼吸しています。生きている細胞は、活動に必要なエネルギーを得るために、酸素を取り込んで二酸化炭素を出す呼吸を必ず行っているからです。

日差しの強い昼間は、光合成の速さが呼吸の速さを何倍も上回ります。外から見ると植物が酸素ばかりどんどん出して二酸化炭素ばかり吸収しているように見えるだけで、実際には光合成と呼吸、2つの工場を同時にフル稼働させている状態です。

光のない夜になると、光合成の工場はシャッターを下ろし、呼吸だけが続きます。1日全体を合計すると、光合成で出した酸素のほうが、呼吸で吸った酸素より多くなります。植物はこうして余った栄養で体を大きくし、海のプランクトンとともに、地球の大気に酸素を供給する主役になっているのです。

よくある誤解

誤解

植物は呼吸をせず、光合成だけをしている。

事実

植物も生きものなので、24時間ずっと酸素を吸って二酸化炭素を出す呼吸をしています。ただ、昼は光合成の量が呼吸の量よりずっと多いので、見かけ上、酸素だけを出しているように見えるのです。

日常で出会う場面

  1. 窓辺に置いた鉢植えの葉が日光を浴びてどんどん茂っていくのも、光合成でつくった栄養のおかげです。

  2. 私たちが主食として食べるごはんやパンは、植物が日光を使ってつくりためた炭水化物のかたまりです。

つまり ひとことで

植物が日光と水と二酸化炭素から、生きもののごはんであるブドウ糖と酸素をつくる、自然の偉大な工程です。

この概念が登場するストーリー

作成 2025-12-01 更新 2026-10-16 検証 2026-10-16