定義
光の吸収とは、物質が光を跳ね返したり通り抜けさせたりせず、光のエネルギーを自分の中に取り込んでしまう現象です。こうして吸収された光エネルギーは、物質内部の分子をより活発に動かし、主に熱エネルギーに変わります。
赤いリンゴはなぜ赤く、黒い服はなぜ熱くなるのでしょう?
太陽や照明から出る白色光は、実は虹のように、赤・橙・黄・緑・青・藍・紫のすべての色の光が混ざった状態です。この光が物体に当たると、物質の性質によって、ある色は跳ね返され、ある色は物体の中に吸い込まれます。
リンゴが赤く見えるのは、リンゴの皮が赤い光を自分で出しているからではありません。青や緑など、ほかの色の光はほとんど吸収し、主に赤い光を跳ね返して私たちの目に届けているからです。
反対に黒い服は、目に見えるほぼすべての色の光を余すところなく吸収します。跳ね返ってくる光がないので目には黒く見え、光のエネルギーがそのまま服にたまって熱に変わるため、真夏の日差しの下では黒い服がとりわけ熱くなるのです。
もう少し正確に言うと:電子が光を取り込むしくみ
物質をごく小さく分けて原子のレベルで見ると、中心に原子核があり、そのまわりを電子がとびとびのエネルギーの軌道で回っています。この軌道は決まった高さの階段のようなもので、電子は段と段の間の中途半端な場所にはとどまれません。
光は「光子(光の粒)」というエネルギーのかたまりとして飛んできます。このとき、飛んできた光のエネルギーが、電子が次の段へ上がるのに必要なエネルギーとぴったり一致すると、電子はその光を吸収して高い段へぴょんと跳び上がります(励起状態)。
電子の階段の高さは、物質ごとにすべて違います。そのため、物質ごとに、吸収できるエネルギーの段差にぴったり合う色の光が決まっているのです。段差と合わない光は吸収されず、そのまま通り抜けるか、反射されます。ただし、原子が集まってできた分子や固体では、段が非常に細かく重なり合っているので、一つの色ではなく、ある範囲の色をまとめて吸収します。黒い服がほぼすべての色を吸収できるのも、このためです。
植物のごはん作りから日焼け止めまで
自然も人間も、光の吸収という現象をとても上手に活用しています。植物の葉が緑色に見えるのは、クロロフィル(葉緑素)という色素が、光合成に必要な赤い光と青い光を集中的に吸収し、比較的吸収されにくい緑の光が多く反射されるからです。植物はこうして吸収した光エネルギーを化学エネルギーに変換して、栄養分を作ります。
夏に塗る日焼け止めに含まれる有機化合物も、似た原理で働きます。皮膚の細胞を傷つけかねない強い紫外線を、皮膚の代わりにぐっと吸収し、人体に害のないごくわずかな熱エネルギーに変えて放出することで、肌を守ってくれます。
太陽光発電パネルも光の吸収を利用しています。半導体が光を吸収すると、その中の電子が励起されて動けるようになります。この電子の流れを電気として取り出し、私たちが使うクリーンエネルギーを生み出しているのです。
よくある誤解
赤い物体は、内部に赤い光を抱えているから赤く見える。
赤い物体は赤い光を抱えているのではなく、ほかの色の光はほとんど吸収し、主に赤い光を反射するから赤く見えるのです。
日常で出会う場面
真夏の日差しの下では、白い服より黒い服を着たほうがずっと熱く感じます。
サングラスのレンズは、まぶしい可視光線と有害な紫外線を吸収して、目を守ってくれます。
植物の葉にあるクロロフィルは、光合成のために赤い光と青い光を吸収します。
つまり ひとことで
光の吸収とは、物質が特定の波長の光エネルギーを受け取り、熱などほかの形のエネルギーに変える現象です。