定義
地球のまわりに目に見えない形で広がっている、巨大な磁石の力のことです。地球の中心部にある液体の金属が動くことで生まれ、太陽から飛んでくる電気を帯びた粒子(太陽風)や宇宙放射線の多くをそらし、大気とともに地球の生き物を守る役割をしています。
地球はどうして巨大な磁石になったのでしょうか?
地球の奥深くには、ぐつぐつと煮えたぎる金属でできた巨大な海があります。地球の中心部の近くを「外核」と呼びますが、ここは温度が数千℃にもなるので、鉄やニッケルのような金属が溶けて液体になっています。
この熱い液体の金属はじっとしておらず、地球の自転と内部の熱によって、休むことなく渦を巻きながら動いています。電気をよく通す金属の液体が激しく回転すると、強い電流が流れ、その電流が自然と巨大な磁石の力を生み出します。
発電機を回して電気をつくり、電磁石を働かせるのとまったく同じ原理です。科学ではこれを地球ダイナモ理論と呼びます。地球は、自分で電気をつくり、磁気を生み出す巨大な「生きた発電機」というわけです。もし地球の内部が冷えて固まってしまえば、磁場も消えてしまいます。
宇宙から飛んでくる矢を防ぐバリア
太陽は私たちに暖かい日差しを与えてくれますが、同時に、莫大なエネルギーと電気を帯びた危険な粒子を、宇宙空間へ絶えず吹き出しています。これを強い風にたとえて「太陽風」と呼びます。
もし地球磁場がなければ、この粒子が大気の上層にまっすぐぶつかり、長い年月をかけて大気が少しずつ削られてしまうおそれがあります。地表に届く放射線も、今より増えます。かつて水と大気がもっと豊かだった火星が今のように乾いた惑星になったのも、内部が冷えて磁場を失ったあと、太陽風に大気を奪われたことが主な原因のひとつと考えられています。
地球磁場は、この目に見えない宇宙の矢をはね返したり、そらしたりします。このとき、はね返された太陽の粒子の一部が南極と北極の上空に引き込まれ、大気とぶつかって華やかな光をつくります。これが夜空のオーロラです。
もう少し正確に言うと:磁石の北極は南にあります
方位磁針のN極が北を指す理由を、じっくり考えたことはありますか? 磁石は異なる極どうしが引き合うので、地球の北の極地には、実は磁石のS極の性質があるのです。私たちがふつう「北極」と呼んでいる場所は、磁石の見方ではS極ということになります。
もう少し正確に言うと、地図に示される本当の北極(真北)と、方位磁針が指す北(磁北)は、まったく同じ場所ではありません。地球内部の液体金属が絶えず揺れ動きながら流れているため、方位磁針の指す地点も毎年数十キロメートルずつ移動しています。
地球の長い歴史を振り返ると、不規則な間隔で、平均すると数十万年に一度のペースで、N極とS極が完全に入れ替わる地磁気逆転という現象も何度も起きてきました。渡り鳥、ウミガメ、サケなどの動物は、太陽や星、においといった手がかりとともに、この磁場を道しるべにして、数千キロメートルを移動します。
よくある誤解
地球の中心には、巨大な棒磁石がしっかり埋まっている。
地球の内部は数千℃という超高温なので、永久磁石は磁石の性質を保てません(キュリー温度)。固体の内核を取り巻く外核で、液体の鉄とニッケルが休みなく対流して電流を生み出す、「巨大な電磁石」に近いものです。
日常で出会う場面
方位磁針はいつも北を指し、海や山で道に迷わないよう助けてくれます。
渡り鳥やウミガメは、体の中にある微小な磁気センサーをコンパスのように使い、数千キロメートルの道のりを正確にたどります。
つまり ひとことで
地球の中心部で液体金属が回転してつくられる巨大な磁場は、太陽風を防いで生命を守る、宇宙のバリアです。