定義
ゴルディロックスゾーン(生命居住可能領域、ハビタブルゾーン)とは、中心にある恒星から、熱すぎも冷たすぎもしない距離にあって、惑星の表面に液体の水が安定して存在できる宇宙空間の範囲のことです。生命が生まれて栄えるための、最初の必須条件とされる場所です。
熱すぎも冷たすぎもしない、ちょうどいい場所
寒い冬の日に、屋外でたき火にあたっているところを想像してみてください。火のすぐ前まで近づくと肌が焼けるように熱く、逆に離れすぎると冷たい風で体が凍えてしまいます。火から適度に距離をとって輪になって座ってこそ、心地よいぬくもりを楽しめますよね。
宇宙でも、太陽のような中心の恒星は、巨大なたき火の役目をしています。もし惑星が恒星に近すぎれば、熱気ですべての海水が蒸発して飛んでいってしまい、遠すぎれば、世界中が分厚い氷におおわれます。
生命が生まれ、生き続けるために欠かせない液体の水が、惑星の表面でちゃぷちゃぷと残っているには、恒星との距離が絶妙でなければなりません。この名前は、イギリスの有名な昔話「ゴルディロックスと3びきのくま」で、少女ゴルディロックスが熱すぎも冷たすぎもない「ちょうどいい温度」のおかゆ(ポリッジ)を食べたお話に由来しています。
恒星の大きさによって、特等席の位置が変わります
たき火が大きければ離れて座り、小さなろうそくなら手をぐっと近づけないと温まらないように、ゴルディロックスゾーンの位置や幅も、中心の恒星の性質によってさまざまです。
私たちの太陽よりずっと重くて熱い青い星のまわりでは、ゴルディロックスゾーンはとても遠い外側に広がります。一方、宇宙全体でいちばんありふれた「赤色矮星」のように小さくて暗い星は、出す熱が少ないので、惑星が星のすぐ目の前まで近づかないと、暖かい温度を得られません。
天文学者は、新しい系外惑星を見つけると、まず中心の恒星の明るさと温度を分析します。それをもとに計算した生命居住可能領域の中をその惑星が公転しているかを確かめ、条件に合う惑星を「第2の地球」の有力候補として登録し、精密な観測を進めます。
もう少し正確に言うと:ゾーンの中にいればおしまい、ではありません
もう少し正確に言うと、ゴルディロックスゾーンの内か外かという距離だけで、その惑星が生命の暮らせる楽園になるかどうかが決まるわけではありません。太陽系のとなりの金星と火星を見ればわかります。
金星は、ゴルディロックスゾーンの内側の境界より少し太陽に近い上に、分厚い二酸化炭素の大気が熱を閉じこめる極端な温室効果を起こし、鉛さえ溶かすほど熱い灼熱の世界になりました。逆に火星は、ゴルディロックスゾーンの外側の境界のあたりに入っていますが、惑星が小さいため内部が早く冷えて磁場が消え、守りを失った大気を太陽風が宇宙へはぎ取ってしまい、けっきょく乾いて寒い砂の惑星になってしまいました。
つまり、地球のような生命が表面で生き、呼吸するには、ちょうどいい距離だけでなく、適度な厚さの大気、有害な宇宙放射線を防ぐ磁場、そして足を踏みしめられる固い岩石の表面まで、さまざまな環境条件の調和が完璧にそろわなければならないのです。
よくある誤解
ゴルディロックスゾーンにある惑星には、必ず地球外生命が暮らしている。
ゴルディロックスゾーンは、液体の水が存在するための「距離の条件」にすぎません。大気の成分と厚さ、磁場の有無、惑星の大きさなど、ほかの環境条件もすべてそろって、はじめて生命が暮らせます。
日常で出会う場面
地球は太陽のゴルディロックスゾーンの内側に位置しているので、海や川が液体のまま保たれています。
地球から約40光年はなれたトラピスト1(TRAPPIST-1)惑星系では、ゴルディロックスゾーンにある地球サイズの岩石惑星が3つも見つかっています。
つまり ひとことで
中心の恒星との距離が近すぎも遠すぎもせず、惑星に液体の水が安定して存在できる領域のことです。