科学

太陽風

地球まで飛んできてオーロラを光らせ、人工衛星を悩ませる、太陽が吹き出した粒子の風です。

  • 約3分
  • 図 1点
  • 2026-10-13 検証

定義

ストーブのそばに立つと熱を感じるように、太陽は光と熱だけを私たちに送っているわけではありません。太陽の外側の大気は温度が非常に高いため、その中の粒子がつなぎ止められず四方八方へ逃げ出します。こうして太陽から流れ出し、太陽系全体を吹き抜けていく粒子の流れを太陽風と呼びます。

太陽がつかまえておけない粒子たち

やかんのお湯が沸騰すると、湯気がふたのすき間から外へ逃げていきますよね。太陽の外側の大気でも、似たことが起きています。この外側の大気は非常に高温なので、中の粒子が太陽の重力を振り切って宇宙へ逃げ出します。

逃げ出すのは空気の粒ではなく、電気を帯びた粒子です。原子から電子が離れた状態をプラズマと呼びますが、太陽風はこのプラズマの流れです。だから風というより、電気を帯びた粒子の大きな川に近いのです。

速さは秒速数百キロメートルにもなります。地球まで数日で届く速さです。太陽が静かなときもこの流れは続き、太陽の表面が荒れているときはさらに強く、速くなります。

この流れは太陽系の外側まで広がり、巨大な泡のような空間をつくります。惑星たちはその泡の中で、太陽風を浴びながら回っているのです。

地球はどうやって防いでいるの?

地球には目に見えないバリアがあります。地球の内部でつくられた磁場が、宇宙空間まで広く広がっているのです。電気を帯びた太陽風の粒子はこの磁場をまっすぐ突き抜けられず、横へ滑るように通り過ぎていきます。

そのため磁場は、風を受ける側が押しつぶされ、反対側は尾のように長く伸びた形になります。小川の岩の後ろで水の流れが長く伸びる様子とよく似ています。

バリアにもすき間はあります。太陽風が地球の磁場とからみ合うことで蓄えられたエネルギーが、磁場の内側に閉じ込められていた粒子を加速し、その粒子が極地方に集まる磁力線をたどって降りてきます。この粒子が高い空の酸素や窒素とぶつかると光を放ちます。それがオーロラです。太陽風の粒子が極地方へそのまま降り注ぐわけではありません。

だからオーロラは極地方に近い場所でよく見えます。太陽が活発なときは、ふだんより低い緯度でも観測されることがあります。

もう少し正確にいうと

もう少し正確にいうと、太陽風は私たちが知っている風とは性質が違います。空気の分子が押し流されるのではなく、電気を帯びた粒子が磁場を引きずりながら一緒に動くのです。そのため太陽風が強まると、地球の磁場とその上の高層大気(電離層)がまとめて揺れることがあります。

太陽風と太陽の爆発を一つにして考えてしまいがちですが、区別されています。静かに続く流れが太陽風で、太陽の表面から物質のかたまりが丸ごと飛び出す現象は別の名前で呼ばれます。そのかたまりが地球の方を向くと、太陽風はしばらくのあいだ強まります。

このとき、人工衛星が誤作動したり、位置情報や無線通信が乱れたりすることがあります。地上の送電網に余計な電流が流れ、停電につながることもあります。

そこで多くの国が太陽を見守り、宇宙天気を天気予報のように知らせています。

よくある誤解

誤解

太陽風は、太陽が吹き出す熱い空気が吹いてくるものだ。

事実

空気ではなく、電子や陽子のように電気を帯びた粒子の流れです。地球で吹く風は空気が動くものなので、性質が異なります。

誤解

太陽風は、太陽で大きな爆発が起きたときだけ地球に届く。

事実

太陽が静かなときも流れは続いています。大きな爆発が起きると、その流れがしばらく強く、速くなるのです。

日常で出会う場面

  1. 冬の北欧やアラスカの空を緑色に染めるオーロラです。

  2. 彗星のイオンの尾(ガスの尾)が、進行方向に関係なく太陽と反対側へまっすぐ伸びる様子です。

つまり ひとことで

太陽の熱い外側の大気から逃げ出した電気を帯びた粒子が太陽系へ流れ出す現象で、地球の磁場とぶつかってオーロラをつくります。

作成 2025-01-25 更新 2026-10-13 検証 2026-10-13