定義
シークレットモードは、開いているシークレットウィンドウ(スマホではシークレットタブ)をすべて閉じた瞬間に、閲覧履歴やクッキー(Cookie)、ログイン情報といった端末に残るインターネットの利用痕跡を自動的に消去してくれる機能です。家族や友人と共有するパソコンやスマホで、プライバシーを守りたいときに役立ちます。
自分の端末に残る「足跡」を消してくれます
砂浜を歩くと足跡が残るように、普段インターネットを使うとたくさんの痕跡が残ります。どのサイトを見たかが記録される「閲覧履歴」や、ログイン状態を保持する「クッキー(Cookie)」、ページの表示を速くするために一時保存された「キャッシュ」といったデータが、使っている端末にどんどん溜まっていきます。
シークレットモードを使うと、こうした痕跡は一時的な保存場所にだけ置かれます。そして、開いているシークレットウィンドウをすべて閉じた瞬間、その一時データはゴミ箱へ送られ完全に消去されます。次に同じパソコンを使う人がブラウザを開いても、履歴からは直前にどんなサイトを見ていたのか分かりません。ただし、ダウンロードしたファイル自体や新しく追加したブックマーク(お気に入り)は端末にそのまま残ります。
そのため、友達の家で自分のアカウントにログインしたいときや、家族に内緒でサプライズプレゼントを選びたいときなどにとても重宝します。ウィンドウをすべて閉じさえすれば、端末の中に残る痕跡はすっきり消えてくれるからです。
また、ダウンロード履歴のリスト(ファイル自体は残ります)や、入力した検索候補(オートコンプリート)の履歴も一緒にリセットされます。他の人にプライベートな利用状況を見られないよう、わざわざ設定画面を開いて手動で履歴を消す手間を省いてくれる便利な機能なのです。
もう少し正確に言うと、完全な「透明マント」ではありません
シークレットモードを使えば、ネットの世界で完全に透明人間になれると思われがちです。しかし、自分の端末の外にあるインターネットの世界からは、今でもあなたの足跡を見ることができます。
たとえば、会社や学校のWi-Fiを使っている場合、ネットワーク管理者はあなたがどのサイトにアクセスしたかを把握できます。インターネット接続を提供する通信会社(プロバイダ)にも通信ログが残ります。シークレットモードはパソコンの中に書き込まれる記録帳を破り捨てるだけであり、ネットの回線を行き交うデータそのものを覆い隠してくれるわけではないからです。
また、訪問したWebサイトのサーバー側でも、端末のネット上の住所である「IPアドレス」が記録されます。さらにサイト内でログインしてしまえば、相手側にはあなたが誰なのか当然わかってしまいます。つまり、シークレットモードは外部の監視を防ぐ「盾」というより、端末の中を綺麗にしてくれる「掃除機」に近い存在なのです。
結局のところ、シークレットモードが隠してくれる相手は「次にその端末の前に座る人」であって、「通信回線の向こう側にいる管理者」ではないという点をしっかり知っておく必要があります。
どんなときに役立ち、何と組み合わせて使うべきでしょうか?
シークレットモードは、ネットカフェや図書館など、共用のパソコンを使うときに真価を発揮します。ログアウトをうっかり忘れても、シークレットウィンドウをすべて閉じれば自動的にログアウトされるため、個人情報を守るのに役立ちます。ただし、シークレットウィンドウが1つでも開いたままだとログイン状態は維持されますし、パソコン自体に悪意あるウイルスやスパイウェアが仕込まれている場合は入力した情報までは守れません。
また、YouTubeやネット通販で「普段は見ないけれど、今回だけ調べたいこと」があるときにも重宝します。通常のウィンドウで検索すると、その後の関連動画やおすすめ広告がその話題一色になってしまいますが、シークレットモードを使えば普段のアルゴリズムやおすすめ一覧を乱すことなく検索できます。
同じブラウザを使いながら、サイトの本アカウントとサブアカウントに同時にログインしたいときにも便利です。通常のウィンドウとシークレットウィンドウではクッキーが別々に扱われるため、わざわざログアウトとログインを繰り返す必要がありません。
もし通信会社や外部の監視から「どこにアクセスしているか」まで隠したいなら、シークレットモードではなくVPN(仮想プライベートネットワーク)などの暗号化ツールを併用する必要があります。VPNを使えば端末とVPNサーバー間の通信が暗号化されるため、プロバイダから通信内容を見られにくくなります(ただし、VPN運営会社側には通信が把握されます)。ツールごとに保護してくれる領域が異なることを理解しておくと、より安全にインターネットを活用できます。
よくある誤解
シークレットモードを使えば、会社やプロバイダ(通信会社)にもアクセス先が絶対にバレない。
シークレットモードが消去するのは自分の端末に残る履歴だけです。社内のネットワーク管理者や通信会社、アクセスしたWebサイトのサーバーには通信ログが残ります。
日常で出会う場面
図書館やネットカフェの共用パソコンでメールを確認し、ウィンドウをすべて閉じて履歴を残さず自動ログアウトしたいときに使います。
YouTubeで一度きりの調べ物をするときに、普段のおすすめ動画の表示が崩れないようにするために使います。
つまり ひとことで
シークレットモードは、ウィンドウをすべて閉じることで端末内の閲覧履歴やクッキーを消去してくれますが、外部ネットワークや接続先サーバーに残るログまで隠してくれるわけではありません。