定義
地球の表層の下には、「マントル」と呼ばれる分厚い岩石の層があります。下側の熱い岩石は上へと浮かび上がり、冷えた上側の岩石は下へと沈み込みます。この気の遠くなるほどゆっくりとした循環を「マントル対流」と呼びます。この流れが地球の表面を覆うプレートを押したり引いたりして、大陸の位置を少しずつ動かしているのです。
キッチンのお鍋の中で起きていること
家でお味噌汁やスープを温めるとき、お鍋の中をじっとのぞき込んだことはありますか? 火に当たっている底のスープが一番先に温まります。温まったスープは少し軽くなり、上へと押し上げられます。
上まで上がってきたスープは、冷たい空気に触れて冷まされます。冷えたスープは再び重くなって、底へと沈んでいきます。こうして上がっては下りる輪が、火を消すまで休むことなく回り続けます。
お鍋の表面に浮いた刻みネギが、ひとりでにぐるぐると漂っているのも、この輪に乗っかっているからです。ネギ自体が泳いでいるのではなく、下のスープがネギを乗せて回しているのです。
地下深くでも、これとよく似た輪が回っています。地球の中心側はとても熱く、表面は冷たいからです。そのため、マントルの下側にある岩石は上へ、冷えた岩石は下へと、ものすごくゆっくり動いています。
大陸を乗せて回る、途方もなくゆっくりな輪
もう一度、お鍋のネギを思い出してみましょう。スープが回る方向に沿って、ネギもゆっくりと場所を移動しますよね。地球の表面でも、これとそっくりなことが起きています。
地球の表面は一枚岩ではなく、いくつかのピースに分かれています。このピースの一つひとつを「プレート」と呼びます。プレートとは、一番外側の地殻と、そのすぐ下にある硬いマントル最上部が一体になった板のような塊です。このプレートが、その下の少し柔らかいマントルの層の上で、流れに乗って自分自身の居場所を少しずつ変えています。
そのスピードは、もどかしいほどゆっくりです。1年で爪が伸びる程度、つまり数センチメートルほどしか動きません。一人の人間が一生見つめ続けたとしても、数メートル動くかどうかです。しかし、その歩みが数千万年も積み重なると数千キロメートルになり、大陸一つが丸ごと移動するほどの距離になります。
プレート同士が離れていく場所では、下から新しい岩石が湧き出して海底を広げます。逆にプレート同士が押し合う場所では、地面が押し曲げられて高い山脈ができたり、地震が頻発したりします。
もう少し正確に言うと
お鍋のたとえには、ひとつだけ現実と違うところがあります。マントルはスープのようにサラサラとした液体ではありません。金づちで叩けばパリンと割れる硬い岩石ですが、何百万年という単位で見ると、水あめのようにゆっくりと形を変えるのです。
また、プレートがベルトコンベヤーに乗った荷物のように運ばれているというイメージも、少し修正が必要です。プレートは流れの上に置かれた荷物というより、流れの最上部そのものなのです。冷えて重くなったプレートが自ら沈み込むときに、後ろに続く部分をぐいぐい引っ張る力もかなり大きな役割を果たしています。
それでも、お鍋の観察からつかんだ本質はそのまま生きています。熱いところから上がり、冷えたところで下りる輪が、気の遠くなるような時間をかけて地球の姿を変えているのです。ただ、その時計の針が人間の1日ではなく、数千万年単位で進んでいるというだけの違いです。
よくある誤解
マントルはドロドロに煮えたぎるマグマの海で、プレートはその上に船のようにぷかぷか浮かんでいる。
マントルは大部分が硬い固体岩石です。途方もなく長い時間をかけてゆっくりと形を変えながら流動しているだけで、ドロドロに溶けたマグマができるのはごく一部の場所に限られます。
マントル対流だけがプレートを運ぶ唯一の力である。
冷えて重くなったプレート自身が沈み込みながら、後続の部分を引きずり込む力も大きな推進力になっています。プレートそのものが、対流する層のてっぺん部分であると考えるほうが実態に近いです。
日常で出会う場面
大西洋の真ん中にある海底では、プレートが両側に広がりながら新しい岩石が湧き出し、アメリカ大陸とヨーロッパが少しずつ遠ざかっています。
アイスランドでは、プレートが割れて広がる裂け目や熱水が噴き出す様子を、地上に立って自分の目で直接見ることができます。
つまり ひとことで
地下深くの熱い岩石が上昇し、冷えた岩石が沈み込む壮大な対流の輪こそが、地球の表面にあるプレートを動かす巨大なエンジンです。