科学

シンクホール

中が空っぽの砂のお城を踏むと足がズボッと沈むように、地面の下にできた空洞のせいで地表が突然崩れ落ちてできる穴のことです。

  • 約3分
  • 図 1点
  • 2026-10-16 検証

定義

シンクホール(陥没穴)とは、地下の岩石が溶けたり土が流されたりして大きな空洞ができ、その上の地表が重さに耐えきれず、突然ズボッと落ち込む現象です。

自然がつくる巨大な穴

浜辺で固く積み上げた砂のお城の下に海水がしみ込むと、見た目は何ともなくても、足をのせた瞬間にガラガラと崩れてしまいます。自然に起こるシンクホールも、とてもよく似た仕組みでできます。

最もよく起こるのは、地下で石灰岩が水に溶けて大きな空間ができるときです。雨水は空気中の二酸化炭素を吸い込んで、弱い酸性になります。この酸性の雨水が地下にしみ込むと、炭酸カルシウムでできた石灰岩を、何万年もかけて少しずつ溶かしていきます。これを溶食作用と呼びます。

時間がたつと、地下には大小さまざまな洞窟ができていきます。洞窟がどんどん大きくなったり、上をおおう土や岩の層が薄くなったりすると、やがて地表の重さを支えきれなくなり、天井が一瞬で崩れて、深い穴が現れます。

都心のアスファルトが陥没する理由

石灰岩の地域ではない、コンクリートにおおわれた都心のど真ん中でも、シンクホールはよく起こります。都市型のシンクホールは、自然の浸食よりも、人間による地下開発や設備の老朽化が主な原因です。

地中に埋まった古い上下水道管にひびが入ると、噴き出した水が周りの土を少しずつ削っていきます。水の通り道に沿って地下水と土がいっしょに流れ出し、アスファルトのすぐ下に大きな空洞ができます。見た目はふつうの道路でも、中身は空っぽの卵の殻のような状態です。

そこへ大型トラックやバスが通って衝撃が加わると、薄いアスファルトの板は力なく割れ、車も道路もそのまま下へ落ちてしまいます。大規模な地下鉄工事や高層ビルの基礎工事で地下水をくみ上げすぎたときにも、周囲の地盤が沈んで起こります。

もう少し正確にいうと

シンクホールは、あっという間に突然できるように見えますが、たいていはその前から地下で空洞が育ってきた結果です。石灰岩の地域では数千年以上、都市の配管からの水漏れでは数週間から数年のあいだに、その空間ができます。

普段、地下の土や砂のすきま、地下の洞窟を満たしている地下水は、上の地盤の重さの一部を支えています。土の粒のあいだにある水が生むこの圧力を、間隙水圧といいます。ところが、干ばつが起きたり地下水をたくさんくみ上げたりして水が抜けると、地下水が支えていた力がなくなり、土の重さがそのまま下にかかって、空洞の天井が崩れやすくなります。

ですから、シンクホールが何の前触れもなく来るとは限りません。道路がわずかにでこぼこになったり、歩道のブロックにすきまが開いたりといったサインが先に現れることもありますし、道路のすぐ下の浅いところにある空洞は、地中レーダー(GPR)などの機器で前もって見つけられることもあります。

よくある誤解

誤解

シンクホールは、地震のように地面が裂けたり割れたりしてできる現象だ。

事実

シンクホールは、地殻変動で地面が裂けるのではありません。地下水や雨水によって地中の土や岩が溶けたり流されたりしてできた空洞が、地表の重さに耐えられず崩れ落ちる現象です。

日常で出会う場面

  1. 石灰岩の地域では、雨水で岩が溶け、エメラルド色に輝く巨大な地下の水たまりが姿を現す自然のシンクホール(セノーテ)があります。

  2. 都心の道路の下で古い水道管が破裂し、土が流されてアスファルトの道路がズボッと陥没する、人為的なシンクホールの事故があります。

つまり ひとことで

シンクホールとは、水に溶けたり流されたりしてできた地下の空洞に耐えきれず、地表が一瞬でズボッと落ち込む現象です。

作成 2024-09-25 更新 2026-10-16 検証 2026-10-16