定義
SWIFT(国際銀行間通信協会)は、世界中の金融機関が国境を越えてお金をやり取りする際に利用する国際的な安全通信ネットワークです。言語やコンピューターシステムが異なる1万以上の金融機関を統一されたフォーマットで結び、金融メッセージを安全かつ確実に送受信できるように支えるグローバルな金融インフラです。
国境を越える銀行同士の秘密メッセンジャー
私たちが海外にいる友人へスマートフォンで送金するとき、飛行機に現金の束を載せて運んでいるわけではありません。自国の銀行が相手国の銀行へ「誰それの口座にいくら入金してほしい」という取り決められた連絡を送っているだけです。
問題は、世界中の銀行ごとに使っているコンピューターシステムや言語がバラバラだという点です。かつて銀行はテレックスなどで個別に連絡を送っていましたが、速度が遅く、途中で内容が改ざんされたり別の人にお金が届いたりする危険がありました。
そこで世界の主要銀行が集まり、誰もが理解できる統一された通信ネットワークを作りました。各銀行に固有の識別番号(SWIFTコード)を割り当て、決められた暗号方式でのみメッセージをやり取りするルールを定めたのです。
この通信網のおかげで、日本の銀行員と地球の裏側の銀行員が間違いなく正確にやり取りできます。銀行はSWIFTという国際金融取引の共通言語を使い、毎日数千万件もの金融メッセージ(送金指示など)を安全かつ正確に処理しています。
お金を直接保管する銀行ではありません
SWIFTという名前を聞くと、世界中のお金が集まる巨大な国際金庫や世界銀行のような組織をイメージしがちです。しかし、SWIFTのシステムの中には実際のお金は1円たりとも入っていません。
SWIFTは、銀行同士が会話するための専用メッセージプラットフォームに近い存在です。実際にお金が動くプロセスは、各銀行が相手国の銀行にあらかじめ開設しておいた口座や、大手中継銀行(コルレス銀行)の決済網を通じて別途行われます。
つまり、SWIFTはお金を直接運ぶトラックではなく、送金指示書を届ける特急の郵便配達員なのです。メッセンジャーが指示を届けると、実際の残高移動は各銀行の帳簿上で処理されます。
したがって、SWIFTの最も本質的な役目は、お金を保管することではなく、統一された規格の金融メッセージを改ざんやハッキングなしに正確に届けることです。
「金融の核ボタン」と呼ばれる理由
もう少し正確に言うと、SWIFTは単なる便利な連絡ツールを超えて、世界貿易の生命線としての役割を果たしています。現在、200以上の国や地域の1万1000を超える金融機関が、貿易代金の決済などにこの通信網を不可欠なものとして活用しています。
もしある銀行がこの通信網から排除されると、海外の銀行と標準メッセージをやり取りすることが極めて難しくなります。迂回ルートはあるものの、非常に不便でコストが高く、決済が大幅に遅れてしまいます。工場で作った製品を海外へ輸出して代金を受け取ったり、海外から原油や食料を輸入して代金を支払ったりすることが著しく困難になります。
例えるなら、世界の金融ハイウェイにおいて国際金融通信網への接続を遮断され、孤島に取り残されてしまうようなものです。
そのため、米国やEUなどの主要国が特定の国や銀行に経済制裁を科す際、SWIFTからの排除が手段として使われます。軍事力を行使することなく相手国の経済に甚大な打撃を与えられるため、「金融の核兵器」とも呼ばれています。
よくある誤解
SWIFTは世界中のお金を預かり、直接送金を行っている巨大な国際銀行である。
SWIFTはお金を保管したり直接移動させたりしない、金融専門の「安全なメッセージ通信網」です。実際のお金の決済や口座残高の移動は、各銀行間の相互口座(コルレス口座)などを通じて別途行われます。
日常で出会う場面
海外留学中の子どもに生活費を送る際、銀行で相手先銀行のSWIFTコードを入力して送金手続きを行う。
企業が海外から原材料を輸入して代金を決済する際、SWIFTメッセージを通じて銀行間で安全に送金指示が伝達される。
つまり ひとことで
SWIFTは、世界中の銀行が安全かつ正確に送金指示などのメッセージをやり取りするための国際標準金融通信ネットワークです。