原状回復義務
友達から借りたおもちゃで遊んだ後、最初に借りたときの状態にきちんと戻して返す約束のことです。
定義 借りていた部屋や店舗の契約期間が終了して退去するとき、最初に引き渡された元の状態に戻して明け渡さなければならないという法律上の約束です。民法上、借り手には他人の物を注意深く管理して使う義務(善管注意義務)があるため生じるルールです。
借りたものを元通りにして返す基本ルール
友達からきれいな漫画本を借りたら、読み終わって返すときも落書きなどせずきれいな状態で返すのが当たり前ですよね。賃貸契約もこれとまったく同じです。敷金や家賃を払って他人の部屋や店舗を借りている間は自由に生活できますが、契約が終了したら最初に引き渡されたときの姿に戻して返さなければなりません。
もし住んでいる間に必要だからとリビングの壁に大きな棚を取り付けたり、部屋のドアにペット用の出入り口穴を開けたりした場合はどうすればよいでしょうか? 退去するときにはその棚を外して穴を埋めたり、壊れたドアを修理して大家さんに明け渡さなければなりません。
このように、他人の物を借りて使った後に元の状態に整えて返す責任を、法律用語で原状回復義務と呼びます。契約書に特段の記載がなくても、法律上当然に発生する基本的なルールです。
どこまで直して退去すべき?
では、何年間か暮らすうちに生じた経年劣化や傷みを、すべて新品同様に直して退去しなければならないのでしょうか? 結論から言うと、決してそんなことはありません。人が普通に生活する中で自然に生じる汚れや色あせ、傷みのことを法律では通常損耗(経年劣化)と呼びます。
日当たりによってリビングの壁紙が黄色く変色してしまったり、タンスを置いていた床に自然な凹み(へこみ)跡がついたりしたものは、入居者が費用を負担して修繕する必要はありません。大家さんが受け取る家賃には、部屋が自然に古くなっていくコストがあらかじめ含まれているからです。
より正確に言うと、入居者の故意や明らかな不注意・過失によって壊してしまった部分だけが修繕の対象となります。例えば、壁に太い釘を何本も打ち込んでコンクリートを傷つけたり、室内喫煙(タバコ)で壁紙をひどく汚してヤニまみれにした場合は、入居者が自費で元に戻さなければなりません。
トラブルを防ぐための一番賢い方法
原状回復をめぐるトラブルは、多くの場合、敷金精算や退去の立ち会いのタイミングで発生します。大家さんは「最初からこんな傷はなかった」と敷金から修繕費を引こうとし、入居者は「入居した時からすでに汚れていた・壊れていた」と主張して対立してしまうためです。
こうしたトラブルを防ぐ最も確実な方法は、入居当日の念入りな写真・動画撮影です。家具や荷物を運び入れる前に、部屋の隅々の傷、床の凹み、タイルのヒビなどをスマホで撮影し、日付が分かる形で記録して不動産会社や大家さんと共有しておくのが賢明です。
壁掛けテレビの設置やエアコン用の穴あけなど、部屋の構造に手を入れる工事をする際は、必ず事前に大家さんの承諾を取り、退去時にどう原状回復するかをメッセージなどの文字で記録に残しておきましょう。そうすることで、後々の無用なトラブルを防ぐことができます。
🤔 よくある誤解
退去するときは、住んでいる間に古くなった部分をすべて新築のように完全に修繕しなければならない。
年月の経過に伴う自然な劣化(経年劣化・通常損耗)は修繕する必要はありません。故意や過失、不注意によって壊した部分だけが原状回復の対象です。
🧺 日常で出会う場面
借りていた部屋を元の状態に戻して明け渡す義務ですが、自然な経年劣化や通常損耗は除かれ、不注意や故意で壊した部分のみを修繕すれば大丈夫です。