トラス構造

手で押すと簡単にゆがむ四角い箱ではなく、どこを押してもビクともしない三角形を組み合わせて作った巨大な骨組みです。

定義 トラス構造とは、複数の真っ直ぐな部材(棒状の材料)を三角形の網目状につなぎ合わせ、大きな重みに耐えられるようにした骨組み構造のことです。鉄橋やタワークレーン、体育館の屋根のように、重い荷重を受けながらも柱のない広い空間を支えたいときに広く使われています。

なぜあえて三角形なのか?

割り箸4本で四角い枠を作り、角を軽く横から押してみると、釘でしっかり留めていても簡単に平行四辺形にゆがんでしまいます。角の角度が簡単に変わってしまうからです。ところが、割り箸3本で三角形を作ると、頂点をどれだけ押したり引いたりしても、3つの辺の長さが変わらない限り絶対に形がゆがみません

数学的に三角形は、3辺の長さが決まると角度までただ一つの形に固定される唯一の多角形です。この性質のおかげで、接合部をガチガチに溶接で固定しなくても、ピン留めで緩くつなぐだけで構造全体が形を保ち続けます。

建築家や技術者たちはこの性質を利用して、巨大な橋や高いタワーを建てるときに頑丈な三角形を細かく組み合わせる方法を考え出しました。四角い構造よりもはるかに少ない材料で、ぐらつきのない強固な骨組みを作り上げることができるのです。

四角形と三角形の外力への構造安定性比較(トラスの原理) 横に押される 四角形: 容易に変形 上から押す 三角形: 形状を完全維持

力を分散して耐える秘密

重い橋の上を電車が通過すると、橋の床板には下へと押し曲げようとする強い力がかかります。普通の板なら真ん中からしなってポキリと折れてしまいますが、トラス構造ではこの「曲げる力」をシンプルに「引っ張る力」と「押し合う力」に分解して分散させます。

三角形の頂点を上から強く押すと、斜めの2辺は押しつぶされる力(圧縮力)を受けます。同時に、底にある下辺は両側へピンと引っ張られる力(引張力)を受け止めます。

すべての部材が「曲げられる負担」を負わず、自分の受け持つ押し引きの力だけに耐えればよいため、細い鉄パイプや木材だけでも巨大な重量を安全に分散して支え切ることができるのです。

トラス構造の力分散原理図 押す力(荷重) 압축력 (밀리는 힘) 압축력 (밀리는 힘) 인장력 (당겨지는 힘)

もう少し詳しく言うと

もう少し厳密に言うと、実際の建物や橋のトラス構造は、接合部が完全に回転するピン留めばかりではなく、頑丈に溶接されているためわずかに曲げの力も発生します。それでも設計者は計算を単純化し安全性を確保するため、まずは部材の軸方向の力(引張・圧縮)だけを受ける理想的な結合として基本設計を進めます。

中身の詰まった巨大なコンクリートや厚い鉄板の代わりにトラス構造を使えば、建材を大幅に減らすことができます。建材が減れば構造物自体の重さ(自重)が軽くなり、柱と柱の間をより長く飛ばした橋を架けられるようになります。

さらに、骨組みの隙間を風が通り抜けるため、強い台風が吹いても風の抵抗を最小限に抑えることができます。東京タワーやエッフェル塔、ドーム球場の大屋根が強風の中でもビクともせず立ち続けている秘密が、まさにここにあるのです。

🤔 よくある誤解

✕ 誤解

トラス構造は骨組みが細く隙間だらけなので、中身が詰まった壁や板よりも強度が低い。

✓ 事実

中身をぎっしり詰めると構造物自体の重さでかえって崩れやすくなります。トラス構造は力が伝わるルートだけに材料を配置するため、非常に軽量でありながら、同じ重量の一枚板や塊よりもはるかに大きな荷重に耐えられます。

🧺 日常で出会う場面

1 鉄道の鉄橋(トラス橋)や東京ゲートブリッジを見ると、無数の鉄骨が三角形に組まれています。
2 工事現場に立つ巨大なタワークレーンの長いアームも、すべて三角形の骨組みでできたトラス構造です。
3 自転車のフレーム(ダイヤモンドフレーム)を見ると、車輪とペダルの間が2つの三角形を合わせた頑丈な構造になっています。
💡 つまり ひとことで

形が変わらない三角形の幾何学的性質を利用して、曲げの力を引っ張る力と押す力に分散させる、最も合理的で頑丈な骨組み構造です。