定義
タイポスクワッティング(Typosquatting)とは、インターネットのアドレス(URL)をキーボードで直接入力する際に起きる打ち間違い(タイプミス)を狙い、有名サイトと酷似した偽のドメインをあらかじめ登録しておくサイバー攻撃の手口です。ユーザーが誤ったスペルを入力した隙を突いて偽サイトへ誘導し、金融情報を盗み出したり悪意のあるプログラム(マルウェア)を拡散させたりします。
通り道に仕掛けられたタイプミスの罠
人気ポータルサイトや普段よく使うネットショップのURLをキーボードで急いで入力しているとき、文字を打ち間違えたり、キーのすぐ隣を押してしまったりした経験は誰にでもあるはずです。たとえば、英語キーボードで「o」を押そうとしてすぐ隣にある「p」や「i」を押してしまうと、一瞬でまったく別のURLになってしまいます。
攻撃者は、急いでいる人がやってしまいがちなこうしたささいなタイプミスをあらかじめ研究しています。そして、誤入力されそうなドメインを先回りしてお金を払って取得し、本物そっくりの偽サイトを用意しておくのです。
サイトを訪れた人は、自分がアドレスを打ち間違えたことに気づかないまま、画面に現れたログイン画面に大事なアカウント情報を入力してしまいます。このように、キーボードの打ち間違いを狙ってドメインを先回りして取得する手口をタイポスクワッティングと呼びます。
偽サイトが狙う3つの目的
攻撃者が有名ブランドの名前に似せた誤入力ドメインを買い占めるのには、いくつか明確な狙いがあります。最も代表的な目的は、個人情報や金銭をだまし取るフィッシング詐欺です。本物の銀行や決済サービスそっくりに作った偽ページに誘導し、口座のパスワードやクレジットカード情報を盗み取る手口です。
もうひとつの目的は、マルウェアの感染です。アドレスを打ち間違えてアクセスしてきたユーザーの端末に、本人が気づかないうちに不正なプログラムを仕込んだり、ファイルを暗号化して身代金を要求するランサムウェアに感染させたりします。
最後に、アクセス数(トラフィック)を横取りして広告収入を稼いだり、ドメインを本来の企業に高値で売りつけようとする行為(サイバースクワッティング)もよく見られます。人気サイトへ行こうとしていた多くのユーザーを横取りして広告を見せ、不当な利益を得るのです。
もう少し詳しく言うと
もう少し詳しく言うと、純粋な打ち間違いを狙うタイポスクワッティングだけでなく、人の目を錯覚させる類似ドメイン(ルックアライクドメイン)の手口も併用されます。自分でキーを打つときのミスではなく、表示されたリンクを見て本物だと信じ込ませる点で仕組みが少し異なります。見た目が非常によく似たアルファベット小文字の「l(エル)」と数字の「1」、「rn」と「m」、「o」と数字の「0」を巧妙に入れ替えるのが代表例です。
さらに、アルファベットと見た目は全く同じでも、コンピューターが処理する文字コードが異なるキリル文字などを混ぜるホモグラフ攻撃(IDNホモグラフ攻撃)もあります。主要なブラウザはこうした怪しいアドレスを「xn--」で始まる文字列に変換して表示するなど対策を進めていますが、メールのリンクなどでは一見本物に見えてしまい、肉眼で見分けるのは困難です。
こうした被害を防ぐには、よく使う金融機関やポータルサイトのURLをアドレスバーに手入力せず、ブックマーク(お気に入り)に登録してアクセスする習慣をつけるのが最も確実です。不審なリンクは安易にクリックしないようにしましょう。検索サイトを使う際も広告リンクや上位の結果を過信せず、アクセス後にアドレスバーのドメインが公式サイトと一致しているか確認することが大切です。また、公式アプリを利用するのも有効な予防策です。
よくある誤解
タイポスクワッティングは入力ミスをした側の単なる不注意であり、サイバー攻撃ではない。
ユーザーのミスを計算に入れたうえで、攻撃者があらかじめドメインを購入し、精巧な偽サイトまで構築して待ち構えている計画的なサイバー攻撃です。
アドレスのスペルを目視で入念に確認すれば100%防げる。
見た目がアルファベットと瓜二つの別言語の文字を混入させる手口(ホモグラフ攻撃)などもあり、肉眼での確認だけで完璧に見抜くのは困難です。
日常で出会う場面
ポータルサイトの「yahoo.co.jp」と入力しようとして、キーボードで隣の文字を押してしまい「tahoo.co.jp」などにアクセスしてしまうケース
「google.com」のアルファベット「o」の代わりに数字の「0」を混ぜた偽ドメイン(g00gle.comなど)でユーザーを誘い込むケース(ミス入力より視覚の錯覚を狙う変種)
つまり ひとことで
アドレスバーでのタイプミスを狙って偽サイトを先回りして設置し、個人情報や金銭をだまし取ろうとするデジタルの罠です。