定義
向心力(求心力とも呼ばれます)は、物体が円を描いて回転するときに、軌道の外へ飛び出さないよう円の中心に向かって絶えず引っ張り続ける力のことです。「中心に向かう力」という意味を持っています。
握っていたヒモを離したらどうなる?
糸の先にゴムボールを結び、頭の上で勢いよくぐるぐる回す場面を想像してみてください。指先にヒモがピンと張り、ずっしりとした手応えを感じるはずです。もし回している最中にパッと手を離したら、ボールはどこへ飛んでいくでしょうか?
多くの人は、ボールが外側に向かって弾き出されると考えがちです。しかし、ヒモを離したまさにその瞬間、ボールは円の外側ではなく、その位置から真っ直ぐ前へ伸びる直線(接線)方向へと飛んでいきます。動いている物体には、もともと進んでいた方向にそのまま進み続けようとする性質(慣性)があるからです。
このように、真っ直ぐ進もうとする物体の進行方向を常に曲げて丸い軌道の内側にとどめておくには、内側へと引き戻す力が絶え間なく必要になります。こうして円の中心に向かって引っ張り、回転軌道を保たせる力のことを向心力と呼びます。
さまざまな姿を見せる向心力
向心力は、摩擦力や重力のような独立した新しい種類の力ではありません。物体を円軌道で回転させる、あらゆる「中心向きの力」に与えられたいわば役割の名前です。状況によって、まったく異なる力が向心力の役割を担当します。
例えば、スピードを出してカーブを曲がる車を見てみましょう。車が横滑りせずにカーブを曲がりきれるのは、タイヤとアスファルトの路面との間に生じる摩擦力が、車を中心側へとグッと引き留めてくれるからです。このときは地面との摩擦力が向心力の役割を果たしています。
宇宙でも同じです。月が地球の周りを安定して公転できるのも、地球と月の間で引き合う重力のおかげです。ヒモで結ばれていなくても、重力が向心力となって月が宇宙の彼方へ飛んでいかないよう、しっかりとつなぎ留めています。
もう少し詳しく:向心力と遠心力の違い
遊園地のアトラクションに乗ったり、車で急カーブを曲がったりするとき、私たちは体が外側へと押し出される強い力を感じます。一般にこれは「遠心力」と呼ばれ、向心力と逆向きに働く本物の力だと錯覚されやすい存在です。
しかし、外で見ている観察者の視点に立つと、外側へ押す力などどこにも存在しません。自分の体はただ元の進行方向へ真っ直ぐ進もうとしているだけで、車の座席が体を内側へと無理やり曲げているため、押し付けられているように感じるだけなのです。
つまり、外から見れば外向きの力はありません。座席が押す力、摩擦力、重力など、物体に働くいくつかの実際の力をすべて足し合わせた結果が中心を向いており、この中心向きの合力こそが向心力です。外へ追いやられるように感じる遠心力は、回転している物体の中にいる人だけが感じる慣性が生み出した見かけの力にすぎません。
よくある誤解
遠心力は、向心力に対抗して物体を外側へ実際に押し出す力である。
遠心力は実際に作用している力ではなく、物体が直線に進み続けようとする慣性によって、回転している観察者にだけ感じられる見かけの力です。
日常で出会う場面
洗濯機の脱水槽が高速回転するとき、衣類は槽の壁に押されて向心力を受けますが、向心力を失った水滴だけが穴から外へ飛び出していきます。
ジェットコースターが宙返りループのてっぺんを通過するときに落下しないのは、レールが座席を押す力と重力が合わさって向心力として働くためです。
つまり ひとことで
円を描いて回るときに、物体が軌道を外れないよう中心へ向かって絶えず引き寄せ続ける実際の力です。