一般常識

二重パッチムの発音法

狭い1人用のイスに並んで座った2つの文字のうち、どちらを残してどちらを隣の席へ送るかを決めた交通整理のルールです。

  • 約5分
  • 図 2点
  • 2026-10-12 検証

定義

韓国語の二重パッチム(겹받침)発音法は、「ㄳ, ㄵ, ㄼ, ㄺ」のようにパッチムの位置に子音が2つ並ぶ際、どちらを発音すべきかを定めた韓国の標準発音規則です。後ろにどんな言葉が続くかによって、片方の子音だけを残して読むか、後ろの子音を次の文字へと送って発音します。

2つのうち、どちらを先に発音する?

1人用のイスに2人が同時に座れないのと同じで、韓国語のパッチム(終声)の位置では一度に1つの子音の音しか出せません。文字としてはパッチムに2つの子音を並べて書きますが、音を出すときは原則として前側(左側)の子音を選んで発音します。

例えば、「값(カプ・値段)」はㅂ(ピウプ)とㅅ(シオッ)のうち前のㅂを活かして[갑(カプ)]と発音します。「앉다(アンタ・座る)」はㄴ(ニウン)とㅈ(チウッ)のうち前のㄴを残して[안따(アンタ)]と読み、「외곬(ウェゴル・一筋)」はㄹ(リウル)とㅅのうち前のㄹを活かして[외골(ウェゴル)]と読みます。ほとんどの二重パッチムはこのように、左側(前)の子音が代表として音を出します。

しかし、例外のない規則はありません。「ㄺ, ㄻ, ㄿ」のように後ろ側(右側)の子音を活かす3つの仲間が存在します。そのため、「닭(タク・鶏)」は[닥(タク)]、「삶(サム・人生)」は[삼(サム)]、「읊다(ウプタ・詠む)」は[읍따(ウプタ)]と発音します。「닭」を「달(タル)」と読まず、「삶」を「살(サル)」と読まないのは、まさにこの「後ろの子音優先ルール」があるからです。

もう少し詳しく:間違いやすい「밟-」と「맑게」

基本ルールを知っていても、日常で非常によく間違えられる例外があります。それが「ㄼ」と「ㄺ」の特別な変化です。「ㄼ」は本来、前の子音を活かして[ㄹ]と発音するのが原則なので、「여덟(ヨドル・8)」は[여덜(ヨドル)]、「넓다(ノルタ・広い)」は[널따(ノルタ)]と読みます。

ところが、「밟-(パプ・踏む)」という語幹は、子音の前で例外的に後ろのㅂ(ピウプ)を活かして常に[밥(パプ)]と読みます。そのため、「밟다(踏む)」は[밥따(パプタ)]、「밟고(踏んで)」は[밥꼬(パプコ)]と読みます。芝生を踏むときに[발따(パルタ)]ではなく[밥따(パプタ)]と言うのはこのためです。「넓다(広い)」の活用形(「넓고[널꼬・広く]」「넓게[널께・広く]」)は原則どおり[ㄹ]で読みますが、「넓죽하다[넙쭈카다・平たい]」「넓둥글다[넙뚱글다・平丸い]」「넓적하다[넙쩌카다・平たい]」のようなごく一部の単語でのみ[넙(ノプ)]と発音します。

逆に「ㄺ」は、普段は後ろの子音である[ㄱ]を活かして「흙(フク・土)」を[흑(フク)]、「읽다(イクタ・読む)」を[익따(イクタ)]と読みます。ただし、「맑다(澄んでいる)」「읽다(読む)」「묽다(薄い)」のように動詞・形容詞の語幹末尾のㄺは、後ろに「ㄱ」が来るときに前のㄹを活かします。そのため、「맑다」は[막따(マクタ)]ですが、「맑고[말꼬(マルコ)]」「맑게[말께(マルッケ)]」「읽고[일꼬(イルコ)]」のように音が変わります。なお、「닭과[닥꽈・鶏と]」や「흙과[흑꽈・土と]」のように名詞にはこの例外は適用されません。

母音の仲間に出会うと席が広がります

二重パッチムの後ろに「이(イ・〜が)」「을(ウル・〜を)」「은(ウン・〜は)」「아(ア・〜して)」のように母音で始まる助詞・語尾・接尾辞が来ると、ルールがガラリと変わります。1人だけで立っていた狭いパッチムの席の隣に空席ができたため、あえてどちらかの子音を捨てる必要がなくなるからです。

このときは、前の子音が本来のパッチムの位置を守り、後ろ側の子音が次の文字の初声(先頭の音)へと自然に移って、両方とも本来の音を取り戻します。これを「連音化(リエゾン現象)」と呼びます。ただし、「ㄶ, ㅀ」は母音の前でㅎ(ヒウッ)の音が脱落するため、「않아[아나(アナ・〜しない)]」「싫어[시러(シロ・嫌だ)]」と発音します。

例えば、「닭이(鶏が)」は[다기(タギ)]ではなく[달기(タルギ)]と読み、「값이(値段が)」は[가비(カビ)]ではなく[갑씨(カプシ)]と発音します。このとき後ろへ移るㅅは濃音の[ㅆ]になります(「넋이[넉씨(ノクシ・魂が)]」)。「앉아(座って)」も[안자(アンジャ)]、「넓은(広い〜)」は[널븐(ノルブン)]となります。つまり、母音で始まる助詞や語尾がやって来ると、隠れていた2つ目の子音が移動して両方の席を満たすのです。ただし、「닭 앞[다갑(タガプ・鶏の前)]」や「값어치[가버치(カボチ・値打ち)]」のように、後ろに実質的な意味を持つ独立した単語が続く場合は発音ルールが異なります。

よくある誤解

誤解

「닭(鶏)」が[닥(タク)]だから、「닭이(鶏が)」も[다기(タギ)]と読むのが正しい。

事実

後ろに母音(ㅇ)で始まる助詞が来ると、後ろの子音(ㄱ)が次の文字の初声へと移るため、[달기(タルギ)]と発音するのが韓国の標準発音です。

誤解

「넓다(広い)」が[널따(ノルタ)]と発音されるのだから、「밟다(踏む)」も[발따(パルタ)]と読むべきだ。

事実

「밟다」はㄼパッチムを持つ単語の代表的な例外です。子音の前では後ろの子音を活かして[밥따(パプタ)]と読むのが韓国の標準語規定です。

日常で出会う場面

  1. 「흙에[흘게(フルゲ・土に)]水をあげたら、흙이[흘기(フルギ・土が)]しっとりしました。」

  2. 「雲が晴れて、天気が맑게[말께(マルッケ・すっきりと)]晴れ渡りました。」

  3. 「靴を履いて芝生を밟지[밥찌(パプチ・踏まないで)]ください。」

つまり ひとことで

二重パッチムは、単独や子音の前では1つだけを選んで発音し、後ろに母音で始まる助詞・語尾・接尾辞が来ると後ろの子音を次の文字へ移して発音します(ただし、「ㄶ・ㅀ」は母音の前でㅎを発音しません)。

作成 2026-05-05 更新 2026-10-12 検証 2026-10-12