一般常識

韓国語の連音化(リエゾン)

前の文字のパッチムが空席を見つけ、次の文字の頭の音へと滑り込む「発音の近道」です。

  • 約5分
  • 図 1点
  • 2026-10-11 検証

定義

韓国語において連音の法則(連音化)とは、パッチム(終声)がある文字の後に母音で始まる言葉が続くとき、前のパッチムの音が後ろの文字の初声(語頭の音)へと自然につながって発音される現象です(パッチム「ㅇ(イウン)」や「ㅎ(ヒウッ)」のように移動しない例外もあります)。話すときに口や舌へ余計な力を入れず、滑らかに動かせるようにするための代表的な発音ルールです。

空っぽの席へパッチムがお引っ越し

満員バスで隣の席が空いていれば、自然とそちらへ体をずらして楽に座りたくなりますよね。韓国語の発音にも、空いている席を見つけると自然に移動して埋めようとする性質があります。前の文字の末尾についていたパッチムは、すぐ後ろの文字の最初の位置が空いていると、そこへ滑らかに滑り込んでいきます。

ハングルで文字の頭(初声)に書かれる丸い「ㅇ」は、実は音のない「空席」の記号です。母音だけでは文字の形として成り立たないため、一時的に置かれた空の椅子のようなものです。パッチムのある単語の後に母音が来ると、発音する口は無駄な力を抜くため、パッチムをその空席へと押し上げます。

たとえば、「옷이(オシ・服が)」と声に出して読むと[오시(オシ)]になり、「밥을(パブル・ご飯を)」は[바블(パブル)]になります。文字を一音ずつ途切らせて読むと唇や舌に毎回力が入ってしまいますが、音の出る空席へとスッと移動する現象のおかげで、水が流れるように滑らかに言葉をつなぐことができるのです。

もう少し詳しく:単パッチムと二重パッチムの違い

パッチムの形や後ろに続く言葉の性質によって、連音化のルールは少しずつ異なります。子音が2つついた「二重パッチム(겹받침)」の後に母音で始まる助詞や語尾が来ると、2つの子音が両方移動するのではなく、前の子音はその場に残り、後ろ側の子音だけが次の文字へと移動します。

たとえば「닭이(タルギ・鶏が)」は、前の「ㄹ(リウル)」がパッチムの位置に残り、後ろの「ㄱ(キヨク)」だけが移動して[달기(タルギ)]と発音されます。「값이(カプシ・値段が)」も同様に「ㅂ(ピウプ)」が残り、「ㅅ(シオッ)」が移動して濃音化し[갑씨(カプシ)]と発音されます。舌が複雑な2つの子音を一度に発音するのではなく、自然に分けて発音できるように助ける仕組みです。ただし「ㄶ」「ㅀ」は例外で、後ろの「ㅎ」は発音されず前の子音が移動するため、「않아(アナ・〜しない)」は[아나(アナ)]、「싫어(シロ・嫌だ)」は[시러(シロ)]となります。単パッチム(홑받침)にも例外があり、パッチム「ㅇ」は移動せず(「강이(カンイ・川が)」は[강이(カンイ)])、パッチム「ㅎ」は母音の前で音が脱落します(「좋아(チョア・好きだ/良い)」は[조아(チョア)])。

さらに、後ろに来る言葉が実質的な意味を持つ単語(実質形態素)で、「ㅏ, ㅓ, ㅗ, ㅜ, ㅟ」で始まるときは、もう一段階の手順を踏みます。たとえば「옷 안(服の中)」を発音するときは、すぐに連音化して[오산(オサン)]と読むのではなく、パッチムの代表音である「ㄷ(ティグッ)」に変わってから移動して[오단(オダン)]と発音します。「겉옷(コドッ・上着)」のようにひとつの単語の中でも同様です。文法的な助詞や語尾が来るときはそのまま連音化しますが、実質的な意味を持つ言葉の前では、パッチムがいったん代表音に変化してから移動するという順序をたどるのです(韓国の『標準発音法』第15項)。一方、「ㅣ, ㅑ, ㅕ, ㅛ, ㅠ」で始まる言葉の前では「ㄴ(ニウン)」の音が挿入されることが多く、「옷 입다(服を着る)」は[온닙따(オンニプタ)]と発音します。ただし、「맛있다(マシッタ・美味しい)」「멋있다(モシッタ・かっこいい)」のように、[마싣따(マシッタ)]と[마딛따(マディッタ)]の両方が標準発音として認められている例外もあります。

発音は変わっても表記を崩さない理由

では、なぜ聞こえる通りに「오시」や「바블」と書かず、元の形のまま「옷이(オシ・服が)」「밥을(パブル・ご飯を)」と書くのでしょうか?文字を書くときに発音通りにばかり書いてしまうと、読む人が単語の本来の意味を一目で理解するのが難しくなるからです。

もし連音化が起きるたびに文字を変えて書いていたら、「옷(オッ・服)」というひとつの単語が、状況に応じて「옷」「오시」「오슬」「오세」のようにめまぐるしく変わってしまいます。そうなると、文章を読むたびにこれが着る服のことなのか別の言葉なのか、頭の中でいちいち解読しなければなりません。

そのため、韓国のハングル正書法では、発音は楽にしつつも、文字は単語本来の意味を一目で把握できるように、元の形態を保って表記するよう定められています。連音の法則は、耳には最も心地よく滑らかな音を届けながら、目では文章の意味を素早く捉えられるように手助けしてくれる、調和のとれたルールなのです。

よくある誤解

誤解

連音化が起きたら、ハングルの表記も発音通りに変えて書かなければならない。

事実

連音化はあくまで「発音」にのみ適用されるルールです。文字を書くときは、単語固有の意味を保つために元の形である「옷이(オシ・服が)」「꽃을(ッコチュル・花を)」と書かなければなりません。

日常で出会う場面

  1. 「달이 밝다(タリ パルタ・月が明るい)」を発音するとき、「달이」が[다리(タリ)]と発音される現象

  2. 「꽃을 심다(ッコチュル シムタ・花を植える)」を発音するとき、「꽃을」が[꼬츨(ッコチュル)]と滑らかにつながる現象

  3. 「흙에 묻다(フルゲ ムッタ・土に埋める)」を発音するとき、二重パッチムの後ろの子音が移動して[흘게(フルゲ)]と発音される現象

つまり ひとことで

パッチムの後に母音が来ると、空いている初声の席へパッチムを移動させて発音し、意味を見分けやすくするために文字は元の形のまま書き表します。

作成 2026-06-12 更新 2026-10-11 検証 2026-10-11