定義
地下深くでマグマの熱に温められた地下水が、狭い通り道で大きな圧力に耐え、充電時間がたまるたびに、断続的に地表へ勢いよく噴き出す不思議な温泉です。
巨大な水柱は、どうして空へ噴き上がるの?
家庭用の圧力鍋はふたをしっかり閉めておくと、水が100度を超えても沸騰せず、高い温度を保ちます。間欠泉の地下の配管も、この圧力鍋とまったく同じ原理で働いています。
地下深くへ行くほど、上にたまった水の重さで水圧がとても高くなります。強い圧力で押さえつけられた地下水は、100度をはるかに超えても沸騰できず、熱をため込み続けます。これを、水が過熱された状態と呼びます。
熱が限界に達して、いちばん深いところで大きな水蒸気の泡が狭い通り道を押し上がってくると、状況は一瞬で変わります。上のほうの水が少し外へ押し出されるだけで、下を押さえていた水圧がすっと下がるからです。ふたを開けた炭酸飲料のように、圧力がゆるんだ地下水全体が爆発的に気化して、巨大な水柱を地表へ噴き上げるのです。
ふつうの温泉とは何が違うの?
ふつうの温泉と間欠泉を分ける決定的な違いは、地下の通り道の構造にあります。ふつうの温泉は地下の通り道が広いため、熱い水と冷たい水が対流で自然に混ざり合い、地表へおだやかに流れ出ます。
一方、間欠泉は水の通り道がとても狭くて曲がりくねっているので、上下の水が混ざり合えません。さらに、周りの岩に溶けていたケイ素の成分が通り道の壁に付着し、固い防水のコーティング膜をつくります。この丈夫な配管のおかげで、地下の強烈な蒸気の圧力にも、破れずに耐えられるのです。
水柱が噴き出したあと、空っぽになった地下の通り道には冷たい地下水がふたたびしみ込んで満たされます。この水がまたマグマの熱で沸き立つまで充電時間が必要なので、休まず流れ続けるのではなく、ひと休みしては断続的に噴き出すという特徴があります。ただし、オールド・フェイスフルのように間隔が比較的一定の間欠泉はむしろまれで、ほとんどの間欠泉は噴出の間隔がまちまちです。
もう少し正確にいうと:宇宙へ噴き出す氷の間欠泉
地球で間欠泉ができるには、豊富な地下水、マグマという強力な熱源、そして高い圧力に耐える狭い岩石の配管という三つの条件が、完璧にそろわなければなりません。条件が厳しいため、世界の火山地帯の中でも、ごく限られた地域でしか見られません。
驚いたことに、間欠泉は地球だけの現象ではありません。太陽系の外縁にある冷たい氷の衛星、土星のエンケラドゥスでは、氷の間欠泉(氷の火山)が力強く噴き出しています。探査機カッシーニがその噴出の柱を直接通り抜け、成分まで測った、確かな事実です。木星のエウロパでも似た噴出があるという観測の状況証拠が報告されましたが、こちらはまだ確認中です。
こうした氷の衛星では、マグマの代わりに、惑星が引っぱる重力の力(潮汐摩擦熱)が地下の巨大な海を温めています。氷の殻の割れ目を突き抜けて、水蒸気と氷の粒を宇宙空間へ打ち上げていて、その氷の粒から塩と有機物が検出されました。科学者たちはこれを手がかりに、地球外の海が生命の住める環境かどうかを探っています。
よくある誤解
間欠泉は、火山の噴火のように、マグマそのものが地表へ噴き出す現象だ。
噴き出しているのはマグマではなく、マグマの熱で熱くなった地下水と水蒸気です。
日常で出会う場面
アメリカのイエローストーン国立公園にある「オールド・フェイスフル(Old Faithful)」は、約90分ごとに数十メートルの高さまで水を噴き上げる、代表的な間欠泉です。
アイスランドの「ゲイシール(Geysir)」は、世界中のすべての間欠泉を指す英語「Geyser」の語源になった場所です。
つまり ひとことで
マグマの熱で狭い地下の通り道の中で過熱された水が、水圧の変化によって断続的に噴き上がる、自然の噴水です。