定義
地球を1周するときに生じる丸1日分の時差を整理するために、太平洋の真ん中に引かれた仮想の境界線です。この線を西から東へ越えると日付が1日戻り、東から西へ越えると1日進みます。
一歩またいだだけなのに、昨日に戻るって本当?
地球は丸いボールのような形をしており、自転しながら東側から順番に朝を迎えます。私たちが飛行機に乗って東へ進み続けると、太陽に向かって走る形になるため時間がどんどん進みます。逆に西へ進むと、太陽を追いかける形になるため時間が後ろへ巻き戻されていきます。
もし地球を休まずに1周して元の場所に戻ってきたらどうなるでしょうか? 東回りに進むと、地球上では7日しか経っていないのに自分の時計は8日進んでおり、西回りに進むと自分の時計は6日分しか進んでいないことになります。名作小説『八十日間世界一周』の主人公や、かつての探検家たちが日付のズレに混乱したのもこれが理由です。
こうした時差の蓄積による計算の混乱を防ぐため、人類はひとつのルールを決めました。地球上のどこかに仮想の基準線を定め、そこを通るたびに日付を1日足したり引いたりすることにしたのです。これこそが、太平洋の真ん中に引かれた日付変更線です。
線を越えると日付はどう変わるの?
日付変更線は、基準点であるイギリスの本初子午線(経度0度)のちょうど反対側、つまり経度180度付近に位置しています。この線を挟んで、地球上で最も早く新しい朝を迎える場所と、最も遅く昨日を見送る場所が隣り合っています。
日本のあるアジア(西側)からアメリカやハワイ(東側)方面へ日付変更線を越えるときは、日付を1日戻す必要があります。例えば、月曜日の午後に出発して線を越えると、再び日曜日の午後に戻ることになります。昨日をもう一度やり直せるわけです。
逆に、アメリカ(東側)からアジア(西側)へ線を越えてくるときは、1日を丸ごとスキップします。日曜日に出発したのに、線を越えた瞬間に月曜日になってしまうイメージです。進む方角に合わせてカレンダーの日付を1日引いたり足したりすることで、地球全体の時間のつじつまを合わせています。
もう少し詳しく:なぜジグザグに曲がっているの?
地球儀に描かれた日付変更線を見ると、真っ直ぐな直線ではなく、あちこち折れ曲がったジグザグ模様をしています。幾何学的には経度180度に合わせて真っ直ぐ引いたほうが分かりやすいはずですが、現実的な生活の都合から曲がりくねった線になりました。
もし線を一直線に引いてしまうと、同じ国や同じ島の中を真っ二つに横切ってしまうことがあります。そうなると、通りを挟んだ向かいの家は月曜日なのに自分の家は火曜日という大変な混乱が生じてしまいます。役所の業務や学校、商店の営業に至るまで、日常生活が完全に麻痺してしまいますよね。
実は、日付変更線は国際法などで厳密に固定された線ではありません。それぞれの国がどの日付を使うかを自主的に決めた結果としてできた境界線なので、人が暮らす陸地を避けて海の上を通るように引かれています。実際に南太平洋の島国キリバスやサモアなどは、近隣諸国との貿易や行政の利便性を考えて、自ら日付変更線の西側へ移動して日付を1日進める決断をしました。
よくある誤解
日付変更線は、地図上に真っ直ぐな一本の直線として引かれている。
同じ国内で日付が2つに分かれてしまう大混乱を防ぐため、人が暮らす島や領土を避けてジグザグに曲げて引かれています。
日常で出会う場面
日本から土曜日の朝に飛行機でハワイへ向かうと、日付変更線を越えて、まだ金曜日の夜であるハワイに到着します。
すぐ隣同士にあるサモア独立国と米領サモアは日付変更線を挟んでいるため、同じ瞬間であってもカレンダーの日付が1日ずれています。
つまり ひとことで
日付変更線は、地球を周回する際に生じる丸1日分の時差を調整するために、太平洋上にジグザグに設定された取り決めの境界線です。