定義
重さの代わりに、生き物の体の中で発揮する働きの強さで物質の量を表す単位です。物質ごとに基準となる標準試料を決めておき、それと比べて量を決めます。だから、1 IU が指す実際の重さは物質によって違います。
重さよりも大事なのは、体の中で出す力です
同じ100グラム(g)の唐辛子でも、ししとうと鷹の爪では辛さが天と地ほど違います。重さが同じだからといって、辛さまで同じとは限りません。だから辛さは、重さではなく「どれくらい辛いか」を測る専用のものさしで表すこともあります。
ビタミンやホルモンのような物質にも、似た事情がありました。こうした物質が初めて知られたころは、純粋に取り出したり、分子の構造を突き止めたりするのが難しかったのです。重さを量っても、その中に目当ての物質がどれだけ入っているのかは分かりませんでした。
そこで発想を変えました。公認の基準試料をひとつ決めておき、その試料が動物や細胞に起こす働きと比べて「これだけ働いたら何単位」と取り決めたのです。こうして働きの強さで決めた量が、国際単位(IU)です。今は世界保健機関(WHO)のような国際機関が、こうした基準試料を管理しています。
なぜ 1 IU の重さは物質ごとに違うのでしょうか?
1メートル(m)は、木の棒でもアルミのパイプでも、どこでも同じ長さを指します。ところが IU には、すべての物質に通用する決まった重さがありません。ビタミン A の 1 IU とビタミン D の 1 IU は、秤にのせると実際の質量が大きく違います。
たとえばビタミン D は約0.025マイクログラム(µg)が 1 IU で、ビタミン A(レチノール)は約0.3マイクログラムが 1 IU です。同じ 1 IU なのに、重さは10倍以上も開きます。
理由は、IU が物質ごとに別々に決めたものさしだからです。ビタミン A の IU はビタミン A の基準試料で、ビタミン D の IU はビタミン D の基準試料で決めました。そのため、2つの物質の 1 IU は同じ大きさの働きを意味するわけでもなく、違う物質どうしの IU の数字を比べることもできません。
同じ物質の中でも、形が違えば IU の換算が変わることがあります。ビタミン E は、自然から得られる形と合成した形とで、1 IU の重さが異なります。
もう少し正確に言うと:国際単位系(SI)との違い
名前に「国際単位」とあるからといって、物理学で広く使われる国際単位系(SI)の仲間というわけではありません。メートル(m)、キログラム(kg)、秒(s)のような SI の単位は、何に対しても同じものさしを当てられるように決めた基本の目盛りです。
一方、IU は最初から、生き物の体の中で物質が起こす働きを基準試料と比べて決めた取り決めです。客観的な物理量をひとつ測るのではなく、物質ごとにどれだけ働くかをその物質の基準に合わせて数える、実用的な数え方だと言えます。
物質を純粋に取り出して正体を突き止められるようになるにつれ、成分によっては IU ではなくマイクログラム(µg)のような重さで書く方向へ移りつつあります。そのため、同じビタミンでも、国や時期によって IU で書かれた表と µg で書かれた表が並んで見られます。
よくある誤解
1 IU は、どの栄養成分でも同じ重さにそのまま換算できる。
1 IU の重さは物質ごとに違います。ビタミン D の 1 IU は約0.025µg、ビタミン A の 1 IU は約0.3µg です。物質ごとに基準試料を別々に決めているからです。
国際単位(IU)は、メートルやキログラムのような国際単位系(SI)に属する公式の単位だ。
名前が似ているので混同しやすいのですが、別のものです。国際単位系(SI)は物理量を測る標準の体系で、IU は物質ごとに働きの強さを基準試料と比べて決めた、別の単位です。
日常で出会う場面
栄養成分表示でビタミン D の含有量が重さではなく IU で書かれている場合。同じ商品が、別の国の表では µg で書かれていることもあります。
インスリンやヘパリンのように、生き物から得られ、純粋に取り分けるのが難しかった物質の量を、長いあいだ IU のような単位で書いてきた場合。
唐辛子の辛さを重さではなく「どれだけ薄めれば辛さが消えるか」で測るスコヴィル値。IU と同じ発想で、量を働きの強さで数えます。
つまり ひとことで
国際単位(IU)は、重さではなく働きの強さを、物質ごとに決めた基準試料と比べて表す単位です。だから 1 IU の重さは物質によって違い、国際単位系(SI)とも別のものです。