科学

磁気浮上

同じ極どうしが反発し合う、磁石の見えない力で、重い列車を宙に浮かせる技術です。

  • 約3分
  • 図 2点
  • 2026-10-17 検証

定義

磁気浮上は、磁石が互いに押し返し合う力や引き寄せ合う力を使って、物を宙に浮かせる技術です。地面と触れ合うことで生じる摩擦をなくすので、車輪の騒音や振動を大きく減らせて、とても速いスピードを出せます。

磁石の見えない手が、列車を持ち上げます

子どものころ、同じ極の磁石を2つ、無理やりくっつけようとして、ぐいっと押し返された感触を味わったことがあるはずです。磁石の間に働くこの見えない押し返す力を、斥力と呼びます。

磁気浮上式の列車は、まさにこの原理を使っています。列車の底面とレールの両側に強力な電磁石を取り付けて、同じ極が向かい合うようにすると、列車はレールの上でふわりと宙に浮かびます。反対に、磁石が引き寄せ合う力(引力)を使って、下からレールをそっと抱え込むように引き上げて浮かせる方式もあります。

物が地面に触れないということは、レールとの摩擦力が完全になくなるということです。車輪がレールの上を転がるときのガタゴトという騒音や振動はなくなり、部品がすり減る心配もありません。転がることで生じる摩擦のロスがないので、なめらかに滑るように進みます。ただし、速く走るほど空気抵抗が大きくなるので、それに打ち勝つにはやはり大きな力が必要です。

どうして弾き飛ばされず、安定して走れるのでしょうか

ただ磁石の上に物をのせるだけでは、バランスを崩して横にずり落ちやすくなります。机の上で磁石を浮かせようとしても、すぐにひっくり返ったり弾き飛ばされたりするのと同じです。

そこで、引き寄せる力で浮かせる列車は、ただ浮かせるだけで終わらず、レールの中心から外れないようにリアルタイムの電子制御技術もあわせて使います。センサーがレールとの間隔をたえず測り、コンピューターがごく短い間隔で電流の強さを細かく調整して、列車がいつもレールの真ん中に浮かぶように、位置をぴんと整えてくれます。

列車を前へ押し出す力も、磁石で作ります。レールの周りの磁石の極性をN極とS極でたえず交互に切り替えると、列車の前方では引き寄せ、後方では押し出す形になって、強力な推進力が生まれます。浮かせる、中心を保つ、前へ走る。そのすべてが磁石の力で行われているわけです。

もう少し正確に言うと:超電導体が生む超高速

もう少し正確に言うと、列車を10センチメートル近い高さまで浮かせて超高速で走らせるには、とても強い磁石が必要です。ふつうの電磁石に強すぎる電流を流すと、膨大な熱のせいでコイルがもたなくなるからです。

ここで使われる中核技術が、電気抵抗が完全になくなる超電導という現象です。超電導体のコイルは、熱を出さずに莫大な電流を流し続けられるので、ふつうの電磁石とは比べものにならないほど強力な電磁石の役割を果たします。

列車に積まれた超電導磁石がレール側のコイルのそばを速く通り過ぎると、電磁誘導という現象によって、レール側のコイルにも電流と磁場が生まれます。これらの磁場が互いに押し返したり引き寄せたりして、列車を10センチメートルの高さに浮かせ、左右に揺れるたびに中心の方へ押し戻す磁気的な復元力を生み出し、安定して走れるようにしてくれます。

よくある誤解

誤解

磁気浮上式の列車は、磁石が互いに押し返し合う力(斥力)だけで浮かせている。

事実

磁石どうしが押し返し合う方式(斥力式)だけでなく、レールの下から上へ引き寄せる力(引力式)を使って浮かせる方式も広く使われています。

日常で出会う場面

  1. 上海のリニア(磁気浮上式列車)は車輪がなく宙に浮いて走り、かつては最高時速430キロメートルで営業運転していました。

  2. 日本の超電導リニア(SCMaglev)は、超電導電磁石を使って、時速603キロメートルという最高速度を記録しました。

つまり ひとことで

磁気浮上は、磁石の力で物を浮かせて摩擦をなくすことで、より速く静かに走れるようにしてくれる技術です。

作成 2025-03-31 更新 2026-10-17 検証 2026-10-17