定義
複数のデータを大きさの順に並べたとき、ちょうど真ん中に位置する値のことです。極端に大きい値や小さい値に振り回されず、集団全体の代表的な姿を捉えるのに役立つ基準です。
平均の罠を避ける『背の順』並び
体育の授業で生徒たちを背の順に一列に並べる場面を思い浮かべてみてください。全校生徒の中で、一番前でも一番後ろでもなく、ど真ん中に立っている友達の身長を選んだら、それがまさに中央値(メディアン)です。
私たちは普段、集団を代表する数字として平均(すべての値を足してデータの数で割った値)を思い浮かべがちです。しかし、平均には致命的な弱点があります。とてつもなく大きな数字が一つ混ざるだけで、全体の結果が歪んでしまうという点です。
例えば、平均的な収入の8人が集まる場に、世界的な大富豪が1人加わったとしましょう。9人の平均年収は一瞬で跳ね上がりますが、元からいた8人の実際の暮らしは何一つ変わっていません。このとき、9人を年収順に並べてちょうど真ん中の5人目の年収を選べば、大富豪が1人混ざってもその値はほとんど動きません。真ん中の位置が1人分ずれる程度の影響しか受けないからです。
データが偶数個のときはどう求める?
データの数が奇数なら、真ん中の位置を見つけるのはとても簡単です。数字が5つあれば、3番目の数字がそのまま中央値になります。
しかし、データの数が偶数だと、ぴったり真ん中になる位置がありません。例えば6つの数字が並んでいると、3番目と4番目の数字の間が真ん中になりますよね。そんなときのための決まりがあります。
それは、真ん中にある2つの数字の平均を中央値とする方法です。例えばテストの点数が10点、20点、30点、40点、50点、60点なら、真ん中にある30点と40点を足して2で割った35点が中央値になります。こうすれば、データの数が偶数であっても誰でも同じ一つの代表値を導き出せます。
もう少し詳しく:どんなときに平均の代わりに使う?
統計学では、極端にかけ離れた数値を外れ値(極端値)と呼びます。不動産価格や世帯所得、ウェブサイトの滞在時間など、現実世界の多くのデータは少数の極端な値のせいで右側に長く裾を引いた形になります。
データが左右対称な正規分布(真ん中が盛り上がった釣鐘型の分布)を描くときは、平均値と中央値がほぼ一致します。しかし、格差が激しかったり極端な数値が存在したりする状況では、平均値は現実の実感をうまく反映できません。
そのため、ニュースで世帯年収や住宅価格を報じるときには「所得中央値」や「成約価格中央値」といった指標がよく使われます。集団全体のちょうど50%の地点を示すため、一般的な人々の実感にずっと近い数字を表してくれるからです。
よくある誤解
中央値は必ず元のデータの中に含まれる数値になる。
データの数が偶数のときは真ん中の2つの値の平均をとるため、元のデータには存在しなかった数字が中央値になることがあります。例えば「2と4」の中央値は、元のデータにない「3」になります。
日常で出会う場面
1億円、2億円、3億円、4億円、100億円のマンションが並ぶ地域の成約価格中央値は3億円です。
韓国などの行政では、世帯所得の中央値を基に毎年定められる「基準中位所得」を福祉支援の支給基準として活用しています。
つまり ひとことで
データを大きさ順に並べたときちょうど真ん中にくる値で、極端な数値による歪みを避けることができます。