定義
インターネットで送られたデータの一部が、目的地に届かずに消えてしまう現象のことです。データはひとかたまりで送られるのではなく、「パケット」と呼ばれる小さな箱に小分けされて運ばれます。しかし、途中の機器が混雑したり電波が乱れたりすると、そのうちのいくつかが途中で捨てられてしまいます。
ゲームのキャラクターが瞬間移動してしまう理由
オンラインゲームをしていて、自分のキャラクターが突然数秒前の位置に引き戻された経験はありませんか? この現象を理解するには、まずインターネットがどのようにデータを運んでいるのかを知る必要があります。
インターネットはデータをひとかたまりでは送りません。大きな荷物をいくつかの小さなダンボール箱に分けて詰めるように、データを細かく分けて、箱ごとに宛先と番号をつけて送ります。この箱一つひとつのことを「パケット」と呼びます。
箱は目的地まで一直線に飛んでいくわけではありません。途中でいくつかの中継倉庫を経由しますが、インターネットの世界ではこの倉庫の役割を「ルーター」という機器が担当しています。倉庫に箱が集中すると、処理できるまで棚に並べて一時保管し、順番に出荷していきます。
しかし、棚がいっぱいになると新しく届いた箱を置く場所がなくなってしまいます。そのとき、倉庫はその箱をそのまま捨ててしまうのです。このようにいくつかの箱が届かなくなってしまうことをパケットロスと呼びます。キャラクターの現在地が入った箱が消えてしまうと、ゲーム画面は最後に受け取った位置へとキャラクターを無理やり引き戻してしまうのです。
消えた箱はもう一度送り直せばいいのでは?
幸いなことに、ほとんどの通信には箱を送り直すルールがあらかじめ組み込まれています。受け取る側が「3番の箱が届いていません」と知らせると、送る側がその箱をもう一度送ってくれます。これを「再送」と呼びます。
そのため、Webページを見たりファイルをダウンロードしたりするときは、パケットロスが起きても中身が壊れることはありません。ただし、再送して受け取り直す分だけ時間がかかるため、画面の読み込みがいつもより遅く感じられます。
問題なのは、遅れて届いても役に立たないデータです。ゲーム内の現在地や通話中の音声などがまさにそうです。1秒前の位置情報を今さら受け取っても、画面に正しく反映できません。
そのため、こうしたリアルタイムの通信では、消えてしまった箱をわざわざ待たずにそのまま先へ進めます。その結果、抜け落ちた箱の分だけ画面がカクついたり、声がプツプツ途切れたりする現象として現れるのです。
もう少し詳しく言うと:パケットロスと「回線が遅い」は別物
倉庫の話に戻ってみましょう。箱が捨てられることと、道路が狭いことは全く別の問題です。道路が狭いと一度に運べる箱の数が減るため、大きなファイルをダウンロードするのに時間がかかります。一方で箱が捨てられてしまうと、ファイルサイズに関係なく画面や音声が途切れてしまいます。
そのため、より高速なインターネット回線プランに変更しても、ゲームのカクつきが直らないことがあります。倉庫が混雑していたり、電波が乱れたりする問題は、道路の広さ(回線速度)とは別だからです。特にWi-Fiは、電波が壁や他の家電に邪魔されると箱が壊れて捨てられやすくなります。
正確に言えば、わずかなパケットロスが起きること自体は故障ではありません。インターネットは最初から、箱がたまに捨てられることを前提に設計されています。ただ、その割合があまりに高くなると、画面が飛んだり途切れたりして私たちの目に留まるようになるのです。
よくある誤解
パケットロスが起きると、ファイルが壊れた状態で保存されてしまう。
ファイルの送受信では、失われたデータを再送してもらう仕組みが働きます。そのためデータが壊れることはなく、完了までに少し時間が余計にかかるだけです。
ゲームがカクつくのは回線速度が遅いからで、高速なプランに変えれば解決する。
一度に運べるデータ量(速度)と、データが途中で捨てられる問題は別です。中継機器の混雑や電波の乱れによるロスは、契約プランをアップグレードしても改善しないことがあります。
日常で出会う場面
ビデオ通話中に相手の声がプツプツ途切れて、いくつかの言葉が丸ごと抜け落ちてしまう現象。
Wi-Fiルーターから離れた部屋でゲームをすると、キャラクターが元の位置へ何度も引き戻されてしまう現象。
つまり ひとことで
小分けにして運んでいたデータの一部が途中で捨てられてしまう現象のことで、画面のカクつきや音声の途切れとして現れます。