定義
遅延時間(レイテンシ)とは、データや信号を送った瞬間から、目的地に届く、または返事を受け取るまでにかかる時間の間隔のことです。インターネット通信、ゲーム、ビデオ通話などで、反応がどれだけ即座に返ってくるかを決める重要な基準です。
帯域幅と遅延時間はどう違うのでしょう?
手紙を送るのに大きなトラックを使っても、目的地まで走るには決まった時間がかかります。インターネット通信も同じです。一度に送れるデータの容量と、実際に信号が行き来する速さは、別々の概念です。帯域幅が高速道路の車線の数だとすると、遅延時間は、車が道路を走って到着するまでの実際の移動時間です。
10車線もあって道幅が広くても、制限速度が時速30キロなら、到着は遅くなります。逆に1車線でも時速100キロで走れば、小さな荷物ひとつはずっと早く着きます。大容量の映画をダウンロードするときは車線(帯域幅)が広いほうが有利ですが、リアルタイムのゲームのように素早い反応が必要なときは、遅延時間が短い環境のほうがずっと大切です。
遅延時間は通常、ミリ秒(ms、1000分の1秒)単位で測ります。10ミリ秒以下なら人はほとんど遅れを感じませんが、100ミリ秒を超えると、マウスのクリックや画面の切り替えがはっきりもたつくようになります。
なぜ遅延時間が生まれるのでしょう?
光や電波はとてつもなく速いのですが、移動する速さには物理的な限界があります。ソウルから太平洋を越えてアメリカのサーバーへ信号を送るとき、光ファイバーの中を光の速さで走っても、往復でおよそ100ミリ秒前後はかかるのが基本です。このように物理的な移動距離そのものが、遅延時間が生まれる第一の理由です。
データが通る経路にある、たくさんの通信機器も時間を使います。信号は目的地に着くまでに、ルーター(道順を見つけてくれるネットワーク機器)や交換機を何十か所も通ります。このとき、各機器がデータを確認して次の道へ渡す過程で、処理の遅れが加わります。
最後に、データの渋滞があります。高速道路の料金所の前で車が列を作るように、通信機器の一時保管場所にデータがたまると、待ち時間が一気に増えます。遅延時間は、距離、機器の処理速度、ネットワークの混雑がすべて合わさって生まれます。
もう少し正確にいうと
オンラインゲームやインターネット環境で私たちがよく口にする遅延時間は、たいてい往復時間(RTT)のことです。自分のパソコンから送った信号がサーバーに届いたあと、サーバーの応答が自分のパソコンに戻ってくるまでの往復の移動時間全体を指します。ネットワークの状態を調べるときに使うPing(ピング)テストも、まさにこの往復時間を測った値です。
一方で、特定のセンサーや機械制御の分野では、信号を送ってから届くまでの片道の時間だけを遅延時間と呼ぶこともあります。そのため、状況に応じて片道なのか往復なのかを区別する必要があります。
また、遅延時間は固定されたものではなく、刻一刻と変わります。通信網の状態によって遅延時間が不規則にゆれる度合いを、ジッター(Jitter)と呼びます。遅延時間が少し長くても一定なら映像はなめらかに流れますが、ジッターが大きいと、画面がカクカクと途切れてしまいます。
よくある誤解
ネットの料金プランを高額な1Gbpsの高速プランに変えれば、ゲームの遅延(ラグ)も必ずなくなる。
1Gbpsのプランが広げてくれるのは帯域幅(データの通り道の広さ)であって、データが移動する物理的な速さや距離を縮めてくれるわけではありません。サーバーとの物理的な距離や経路の状態がそのままなら、遅延時間はほとんど減りません。
日常で出会う場面
オンライン格闘ゲームで攻撃ボタンを押したのに、キャラクターが半拍遅れて動く場面です。
海外にいる人とビデオ通話をすると、お互いの声が重なったり、半拍遅れて聞こえたりする理由です。
自動運転車が障害物を検知してブレーキの信号を伝えるとき、遅延時間を数ミリ秒単位まで縮めてこそ安全が保てます。
つまり ひとことで
遅延時間とは、データが出発してから到着するまでの反応の速さのことで、データの通り道の広さを表す帯域幅とは区別されます。