定義
韓国で、築数十年がたって壁にひびが入り配管も古くなった住宅団地を、いったん完全に取り壊し、その場所に新しいマンション(韓国では「アパート」と呼びます)を建て直す住環境整備事業です。ギシギシ鳴る古い家具を丸ごと分解して、最新の無垢材の家具に組み直すようなイメージです。道路など周辺の環境は悪くないのに、建物が古くなって構造の安全性や住環境、設備に大きな問題が出たときに進められます。
なぜ普通に見える家を丸ごと壊して建て直すのでしょうか?
古い車は部品を一つずつ交換しても、年月がたてば車体そのものに構造的な欠陥が出て、寿命を迎えます。マンションも同じです。30年以上も風雨に耐えるうちに、コンクリートの内部にひびが入り、水道管からは赤サビ水が出て、駐車スペースもまったく足りなくなるなど、暮らしの中の危険や不便が雪だるま式に増えていきます。
壁紙を貼り替えたり、部分的にリフォームしたりするだけでは、地中深くに埋まった古い配管や、建物の重さを支える中心の骨組みの問題を根本から解決するのは難しいものです。そこで住民が心を一つにして、既存の建物を安全に取り壊し、頑丈な基礎から建て直す決断をします。
このプロセスを経ると、老朽化による安全問題が解消されるだけでなく、より快適で暮らしやすい住環境をつくることができます。地上にぎっしり並んでいた車を地下駐車場に収め、地上には散歩道や遊び場、住民向けの施設を整えて、暮らしの質を大きく高められます。
さらに、新しく建つ住宅は省エネ性能が高く、耐震設計が標準で取り入れられます。そのため冷暖房のエネルギー費を抑えやすく、思いがけない自然災害からも家族を守る頼もしい住まいに生まれ変わります。
再開発とは何が違うのでしょうか?
どちらも家を新しく建てるという共通点があるため、多くの人が二つの事業を混同しがちです。でも、街全体を一つのレゴの街の模型として上から眺めると、違いがとても簡単に見分けられます。
再開発は、路地が狭すぎて消防車や救急車が入れず、上下水道のような街のインフラ全体が古くなっている地域を、丸ごと造り替える公益性の強い事業です。一方、再建築は、道路網や学校、公園といった周辺のインフラは比較的整っているのに、マンションの建物だけが古くなったときに行います。
もう少し正確に言うと、どちらも主に住民の組合が中心になって進めますが、再開発は公益性が強いため、同意しない土地を強制的に収用する手続きがあります。再建築では、同意しない所有者に対して「家を売ってください」と請求する方法(売渡し請求)を使います。また再建築では、建物がどれだけ古いかを見る公式な評価(構造の安全性・住環境・設備の老朽度などを判断)を、事業施行計画の認可までに通過しなければなりません。以前はこの評価を先に通らないと事業を始められませんでしたが、2025年から順序が緩やかになりました。
結局、路地や上下水道網まで含めて街全体を作り替えるのか、それとも道路環境はそのままに古い住宅団地の建物だけを入れ替えるのか、という範囲の違いだと考えると、はっきり理解できます。
新しい家は、ただで返してもらえるのでしょうか?
古いマンションの一戸を差し出せば、追加費用なしにピカピカの新築マンションがプレゼントのように返ってくる、と考えがちです。しかし、数百人の住民が暮らす大規模なマンションを建てるには、数千億ウォン(数百億円規模)にもなる莫大な設計費と施工費がかかります。
このとき事業の成否を分ける重要なカギが容積率(敷地面積に対して、建物の各階の床面積をすべて足した広さをどれだけ建てられるかを定めた割合)です。もとの団地の容積率が低く、新たに認められる容積率が高いほど、同じ土地にもっと広い床面積、つまりもっと多くの世帯を建てられます。そのため、5階建ての団地が25階建てに高くなることがよくあります。
こうして、既存の住民の分や公共賃貸住宅などを除いて余った住宅を一般の人に販売(一般分譲)し、その分譲収益で建築工事費の相当部分をまかないます。余る家をたくさん建てて高く売るほど、住民が自分で負担する工事費が減る仕組みです。
組合員は、それぞれ元の家の評価額と、新しく受け取る家の分譲価格との差額を分担金として支払い、逆にお金を受け取ることもあります。工事費が上がったり一般分譲が不調だったりすると、この負担は当初の想定より大きくなります。これを一般に「追加分担金」と呼び、数億ウォン(数千万円)に達することもあります。
よくある誤解
古い家を差し出せば、追加費用なしで新築マンションをただでもらえる。
組合員は、元の家の評価額と新しい家の分譲価格との差額を分担金として支払います。工事費が上がったり分譲が不調だったりすると、この負担が数億ウォン(数千万円)まで膨らむこともあります。
再建築と再開発は同じ意味の言い換えである。
再開発は道路や上下水道など街全体を造り替える事業で、再建築はインフラはそのままに、古い住宅の建物だけを新しく建てる事業です。
日常で出会う場面
築30年以上で赤サビ水が出て駐車難も深刻だった5階建ての古い公営団地を取り壊し、地下駐車場を備えた30階建てのマンションに建て直すケースです。
住民が組合をつくり、老朽度の評価を経て古い団地を取り壊し、新しい団地を建てる、典型的な都市整備のプロセスです。
つまり ひとことで
再建築は、周辺の道路はそのままに、古いマンションの建物を取り壊して最新のマンションを新しく建てる事業です。