定義
三伏(サンボク)は、韓国で古くから受け継がれてきた風習で、1年で最も暑い時期にあたる初伏(チョボク)・中伏(チュンボク)・末伏(マルボク)をまとめて呼ぶ言葉です。太陽暦や旧暦の決まった日付ではなく、夏至と立秋を基準に、十干の「庚(かのえ)」がつく日を数えて決めます。日本の「土用の丑の日」に近い存在と考えるとイメージしやすいでしょう。
暑すぎて秋の気配が地面に伏せる日
息が詰まるような真夏の昼間、横断歩道を渡っていると、アスファルトから立ちのぼる熱気に思わず体が縮こまりますよね。昔の人たちも、1年で最も熱いこの時期を過ごしながら、似たようなことを感じていました。
三伏の「伏」という字は、人が犬のように地面に伏せている姿をかたどった文字です。季節の巡りでいえば、そろそろ秋のひんやりした金(ごん)の気が顔を出す頃です。ところが夏の火の気があまりに強くて、秋の気が起き上がれず、ぺたんと伏せてしまうという意味が込められています。
昔の人は、この時期は汗をたくさんかいて気力が抜け、おなかの中は冷えてしまうと考えました。そこで犬肉のスープ、小豆粥、鶏を煮込んだスープなど熱い料理を食べて夏を乗り切り、今ではサムゲタン(参鶏湯)やうなぎを食べる人が多くなっています。日本で土用の丑の日にうなぎを食べるのとよく似た、熱を熱で制する「以熱治熱(イヨルチヨル)」の知恵が生きた夏の風習です。
三伏の日付は旧暦でも24節気でもありません
三伏を旧暦の行事や24節気のひとつだと思っている方は多いのですが、実は正式な節気ではありません。日本の「雑節」(土用や八十八夜など)のように、特別な日を別枠で数える「雑節(ザッセツ)」にあたります。
三伏を決めるときは、昼がいちばん長い「夏至」と、秋の始まりである「立秋」を羅針盤のように使います。日を数える10個の十干(甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸)のうち、ひんやりした金属の性質を持つ「庚(かのえ)」がつく日だけを選び出すのです。
夏至を過ぎて3番目に来る庚の日が「初伏」、4番目の庚の日が「中伏」です。そして立秋を過ぎて最初に迎える庚の日が「末伏」になります。太陽の周期と昔の暦の記号を、うまく組み合わせて日付を決めているわけです。
もう少し正確に言うと:伏と伏の間が20日になる理由
ふつう、初伏から中伏までは、ちょうど10日です。十干で「庚」のつく日は、10日に一度めぐってくるからです。だから中伏から末伏までも10日後になりそうですが、実際には20日後になる年がよくあります。
末伏は、中伏の次の庚の日であればよいわけではなく、必ず「立秋を過ぎたあとの最初の庚の日」でなければならないという決まりがあるためです。中伏の次の庚の日が立秋より前に来てしまうと、その日は飛ばされて、さらに次の庚の日が末伏になります。夏至から中伏を経て立秋までまだ日数があるときは、中伏と末伏の間で庚の日がもう一度飛ばされる現象が起こります。
こうして中伏と末伏の間が20日に開く年を「越伏(ウォルボク)」と呼びます。越伏の年は三伏の期間が長くなりますが、これはあくまで日付の数え方の結果で、実際の天気とは関係ありません。このように三伏は、毎年日付が変わる精巧な計算の産物なのです。
よくある誤解
三伏(初伏・中伏・末伏)は24節気に含まれる固有の節気だ。
三伏は24節気ではありません。24節気である夏至と立秋を基準に、十干の「庚日(かのえの日)」を数えて決める歳時風俗(雑節)です。
日常で出会う場面
初伏や末伏のお昼どきには、スタミナ料理を食べようとする人たちで、サムゲタン専門店の前に長い行列ができます。
カレンダーを見ると、毎年、初伏と末伏の太陽暦の日付が少しずつ変わります。
つまり ひとことで
秋の気配が伏せてしまうほど熱い三つの日で、夏至と立秋のあとの「庚日」を数えて決める、猛暑を乗り切る韓国の風習です。