科学

海面上昇

熱いお湯の入ったやかんがあふれるように、地球が温まって海水がふくらみ、陸の氷の水が流れ込んでくる現象です。

  • 約3分
  • 図 2点
  • 2026-10-16 検証

定義

地球の平均気温が上がるにつれて、海水の体積が膨張し、陸の氷河がとけ落ちて、世界中の海の表面の高さがじわじわと高くなる現象のことです。これによって、海辺の都市や島が水没する危険にさらされています。

海水も温まるとふくらみます

鍋にスープをいっぱいに入れて火をつけると、煮立つ前にスープが上へ上がってくるのを見たことがあるでしょう。液体は温度が上がると分子の動きが活発になって体積が大きくなります。これを熱膨張(温度が上がって体積が増える現象)と呼びます。

海も同じ原理で動いています。地球温暖化で気候システムにたまった余分な熱のうち、約90%を巨大な海が吸収しています。海水の温度がほんの少し上がるだけでも、水の量があまりに膨大なので、ふくらむ量はとてつもなく大きくなります。

実際、ここ数十年に起きた海面上昇の約3分の1から半分ほどは、氷がとけたからではなく、温まった海水が自らふくらんだ結果です。目に見えない水の分子の膨張が、海全体を持ち上げているのです。

水に浮かぶ氷より「陸の氷」が危ないのです

もちろん、氷がとけて海に流れ込むことも大きな原因です。ただ、ここで大事な区別があります。ジュースのコップに浮かんだ氷がとけても、ジュースがコップの外にあふれることはありません。すでに水に浮いている氷は、自分の重さの分だけ水を押しのけているからです。

ですから、北極海のように海の上に浮かんでいる海氷(海の氷)は、とけても海面をほとんど上げません。本当の問題は、南極大陸やグリーンランド、高い山脈のように陸の上にのっていた氷がとけ落ちるときです。

陸に閉じ込められていた膨大な量の淡水がとけて海に流れ込むのは、コップの外から新しい水をどんどん注ぎ足すのと同じです。特にグリーンランドや南極の巨大な氷床と山岳氷河がとける速度が速まり、21世紀に入ってからは、陸の氷のとける量が熱膨張より大きな要因になりました。

もう少し正確にいうと、すべての海が同じように上がるわけではありません

海面上昇というと、お風呂に水をためるように地球のすべての海が同じ高さで上がってくると思いがちですが、実際は違います。地球の自転、風、海流の流れ、そして重力の違いによって、地域ごとに上昇の速さがばらばらなのです。

たとえば、巨大な南極の氷がとけると、その周辺の重力が弱まって、かえって南極付近の海面は下がり、遠く離れた赤道付近の海のほうがより大きくふくらむこともあります。さらに、地下水のくみ上げすぎで地面そのものが沈んでいる海岸都市では、体感する上昇幅がずっと大きくなります。

海面が数十センチ上がるだけでも、満潮のときに海水が街にあふれ、台風が引き起こす高潮の被害が大きく増える可能性があります。地下水に塩水がしみ込んで飲み水や農地がだめになるなど、複合的な災害につながります。

よくある誤解

誤解

北極の氷がとけることが、海面上昇の主な原因である。

事実

北極の海にすでに浮かんでいる氷(海氷)は、自分の重さの分だけ水を押しのけているので、とけても海面をほとんど上げません。海面を上げる本当の主役は、海水の熱膨張と、陸の上に積もっていた南極・グリーンランドの大陸氷河です。

日常で出会う場面

  1. 南太平洋のツバルのような低地の島国は、国土の水没によって国の移転を迫られる危機に直面しています。

  2. 雨の降らない晴れた日でも、満潮のたびに海沿いの道路が海水につかる冠水現象が増えています。

つまり ひとことで

海面上昇は、温まった海水が自らふくらむ「熱膨張」と、陸の氷河がとけて流れ込む現象が合わさって起こります。

作成 2024-07-24 更新 2026-10-16 検証 2026-10-16