科学

シースタック(海食柱)

海岸のすぐ沖に巨大なローソクのようにそびえ立つ、波が長い年月をかけて崖を削った浸食のあとです。

  • 約3分
  • 図 1点
  • 2026-10-13 検証

定義

シースタック(海食柱)とは、波の強い浸食作用によって海岸の崖から切り離され、海岸近くの海に一本だけ柱のように立っている岩のことです。日本の和歌山県の橋杭岩や、韓国の白翎島(ペンニョンド)の頭武津(トゥムジン)、釜山の五六島(オリュクト)などで見られる、代表的な海岸地形です。

波が彫刻する3段階の魔法

海辺の崖に荒波が長い年月、休みなく打ちつけると、硬い岩も少しずつ砕けはじめます。波が岩の割れ目の空気をぎゅっと圧縮しては一気に解き放つ力と、小石がぶつかる摩擦によって、岩の下のほうに深いくぼみができ、やがて海食洞(海の洞窟)になります。

岬(海に突き出た陸地)の両側から掘り進んだ洞窟がついに真ん中でつながって貫通すると、ゾウの鼻や虹の橋のように真ん中に穴があいた海食アーチ(海のアーチ)が完成します。この段階では、まだ上の屋根の部分で陸とつながっています。

ところが年月がたち、波が橋の下を削り続け、風雨が屋根をもろくしていくと、天井部分は重さに耐えられず、ガラガラと海へ崩れ落ちます。その結果、陸から完全に切り離され、海の上にぽつんと独立した石の柱だけが残ります。この見事な岩こそがシースタックです。

どうして柱の形だけが残るの?

波が崖を均一に削るなら、平らな海だけが残るはずです。なのに、なぜ背の高い柱として生き残る場所があるのでしょうか。その秘密は、岩の硬さや割れ目の違いから生まれる差別浸食(差別侵食)にあります。

岩の崖は一見ひとかたまりに見えますが、中をのぞくと、岩が冷えたり力を受けたりしてできた割れ目(節理)がたくさんあったり、やわらかい地層が混ざっていたりします。波は力の弱い割れ目ややわらかい層を集中的に攻めて、より速く砕いてしまいます。

一方、割れ目が少なく、とくに硬く固まった部分は、荒波の衝撃を最後まで耐え抜きます。まわりの弱い岩がすべて削られて海の底に消えたあとも、いちばん丈夫だった部分だけが一人踏ん張って立ち続け、堂々とした石柱の姿を見せるというわけです。

もう少し正確に言うと:永遠ではない、時間の彫刻

もう少し正確に言うと、私たちが目にするシースタックは完成した彫刻ではなく、いまも削られている途中のほんの一瞬の姿です。海の上に一本だけ残されたシースタックも、24時間絶え間なく押し寄せる荒波と、塩分を含んだ風の攻撃から逃れられないからです。

波はシースタックの根元をしつこく削り、やがて重心を失った石柱は、ある日海へ崩れ落ちます。こうしてシースタックが崩れ、平らな岩の根元だけが残ったり、引き潮のときだけ少し顔を出したりする地形をシースタンプ(Sea Stump、岩の切り株という意味)と呼びます。

つまり、硬かった海岸の崖が洞窟とアーチを経てシースタックになり、最後にシースタンプとなったあと砕けて砂になる。この一連の流れは、海と岩が長い年月をかけて繰り広げる、壮大な自然のドラマなのです。

よくある誤解

誤解

シースタックは、もともと海の真ん中から突き出して生まれた火山島である。

事実

シースタックは海底火山の噴火でできた島ではなく、陸の海岸の崖が波に削られ、硬い部分だけが取り残されてできた浸食地形です。

日常で出会う場面

  1. 韓国・江原道の秋巖(チュアム)海岸にローソクのように尖ってそびえるローソク岩(チョッテバウィ)は、代表的なシースタックです。

  2. 韓国の鬱陵島(ウルルンド)の海辺に立つ三仙岩(サムソナム)も、波の浸食で削られてできたシースタックです。

つまり ひとことで

波が海岸の崖の弱い部分を削り取ったあとに残る、いちばん硬い岩の柱。それがシースタックです。

作成 2025-04-27 更新 2026-10-13 検証 2026-10-13